睡眠時無呼吸症候群は呼吸器内科で相談できる?受診目安と検査を解説
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、呼吸器内科は相談先の一つになります。いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されたものの、「何科を受診すべきか」「睡眠外来や耳鼻咽喉科に行くべきなのか」と迷う方も少なくありません。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群で受診する診療科の選び方や、それぞれの診療科で確認できることについて解説します。
1. 睡眠時無呼吸症候群は呼吸器内科に相談できる病気です

呼吸器内科では、睡眠時無呼吸症候群の有無だけでなく、似た症状を起こすほかの呼吸器疾患がないかも含めて診療します。そのため、原因を総合的に確認したい場合の相談先の一つです。
1-1. 呼吸器内科で確認できること
呼吸器内科では、肺や気管支など呼吸に関わる病気を専門的に診療しています。睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に空気の通り道が狭くなったり、呼吸が一時的に止まったりすることがあります。そのため、呼吸の状態を確認するとともに、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、ほかの呼吸器疾患が関係していないかを確認することも重要です。
【慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、主に長年の喫煙などが原因で、気管支や肺に障害が起こり、息苦しさや咳、痰などの症状が現れる病気のこと】
例えば、夜間の咳や息苦しさがある場合、睡眠時無呼吸症候群だけではなく、気道の炎症など別の原因が関係しているケースも少なくありません。 呼吸器内科では、いびきや睡眠中の呼吸停止といった症状だけでなく、呼吸に関わる症状を含めて相談できます。
【参考情報】『Sleep Apnea – Causes and Risk Factors』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/causes
1-2. 耳鼻咽喉科や睡眠外来が関係する場合
睡眠時無呼吸症候群では、耳鼻咽喉科や睡眠外来が関わることもあります。
耳鼻咽喉科では、鼻や喉の状態を詳しく診察します。鼻づまりや扁桃(へんとう)の大きさ、喉の形などが、睡眠中の空気の通り道に影響している場合があるためです。
【扁桃とは、喉の奥にあるリンパ組織の一つで、扁桃が大きい場合には、空気の通り道を狭くすることがあります】
一方、睡眠外来では、睡眠そのものを専門的に診療します。睡眠中の体の変化や睡眠の状態を詳しく調べる体制が整っている医療機関もあります。ただし、睡眠時無呼吸症候群は睡眠に関する病気であると同時に、呼吸に関わる病気でもあります。そのため、どの診療科を受診するかは、気になる症状や医療機関で対応している検査内容を確認して選ぶことが大切です。
【参考情報】『Sleep Apnea – What Is Sleep Apnea?』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea
1-3. 迷う場合は検査内容を確認する
睡眠時無呼吸症候群が疑われるものの、どの診療科を受診すればよいかわからない場合は、検査や治療に対応しているかを確認するとよいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群では、まず症状や生活状況について確認し、必要に応じて睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行います。
自宅で行える簡易検査では睡眠中の呼吸状態や酸素の変化などを確認し、さらに詳しく調べる必要がある場合には、同様に自宅で行える精密検査を行うこともあります。
【簡易検査とは、自宅などで睡眠中の呼吸状態や血中酸素の変化などを測定し、睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べる検査のこと】
そのため、診療科名だけで判断するのではなく、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療に対応しているかを確認することが、受診先を選ぶ上でのポイントといえるでしょう。
【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-05.html
2. 呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群を相談するメリット

呼吸器内科では、睡眠中の呼吸状態だけでなく、日中の症状や呼吸器全体の状態も含めて診察します。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、症状の程度やほかの病気との関連を調べ、必要な検査や治療につなげます。
2-1. 睡眠中の呼吸状態を確認できる
睡眠時無呼吸症候群では、寝ている間に呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が浅くなる「低呼吸」が起こります。しかし、本人は睡眠中の状態を確認できないため、症状に気づかないことも少なくありません。
【無呼吸とは、睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態のこと】
【低呼吸とは、睡眠中に呼吸が浅くなり、空気の取り込みが少なくなる状態のこと】
呼吸器内科では、問診で以下のような内容を確認します。
・いびきの大きさや頻度
・睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがあるか
・起床時のだるさや疲労感
・日中の眠気による生活への影響
必要に応じて睡眠中の呼吸状態を確認する検査を行い、睡眠時無呼吸症候群が疑われるかどうかを確認します。特に、日中の強い眠気がある場合は、仕事中や運転中の集中力低下につながることもあるため、原因を調べることが大切です。
【参考情報】『Sleep Apnea – Symptoms』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/symptoms
2-2. 似た症状を起こす病気も含めて調べられる
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合でも、症状の原因が必ずしも一つとは限りません。例えば、夜間の咳や息苦しさ、喘鳴がある場合には、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患が睡眠に影響している可能性も考えられます。
いびきや日中の眠気がある場合でも、原因が睡眠時無呼吸症候群だけとは限りません。症状の経過や一緒に起きている症状を確認することで、別の病気が関係していないかを考えることが大切です。
呼吸器内科では、呼吸機能や胸部の状態なども含めて確認できるため、「いびきがあるから睡眠時無呼吸症候群」と決めつけず、似た症状を起こす病気も含めて調べることができます。
2-3. 必要に応じて治療や他科との連携につながる
睡眠時無呼吸症候群の治療は、症状の程度や原因によって異なります。代表的な治療方法として、CPAP(シーパップ)療法があります。これは、睡眠中に専用の機器から空気を送り、気道が塞がらないようにする治療です。
そのほかにも、生活習慣の見直しや体重管理、口腔内装置(マウスピース)などが検討される場合があります。また、睡眠時無呼吸症候群の原因によっては、耳鼻咽喉科で鼻や喉の状態を確認したり、歯科で口腔内装置について相談したりすることがあります。
症状や検査結果に応じて、耳鼻咽喉科や歯科などへの相談につながることもあるでしょう。
【参考情報】『Sleep Apnea – What Is Sleep Apnea?』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea
3. 睡眠時無呼吸症候群で受診を検討したい症状

睡眠時無呼吸症候群は、本人が睡眠中の変化に気づきにくい病気です。いびきなどの睡眠中の症状だけでなく、日中の眠気や体調の変化にも注目することが大切です。
3-1. 大きないびきや無呼吸を指摘された場合
睡眠時無呼吸症候群でよくみられる症状の一つが、大きないびきです。ただし、いびきがあるからといって、必ずしも睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。一方で、以下のような場合は一度受診を検討するとよいでしょう。
・ほぼ毎晩、大きないびきが続いている
・いびきが一度止まり、その後に大きく息を吸う様子を指摘された
・睡眠中に呼吸が止まっていると家族や同居人から言われた
・夜中に何度も目が覚め、朝になっても熟睡した感じがない
睡眠中の呼吸停止は本人が気づきにくいため、家族や同居人からの指摘が受診のきっかけになることもあります。また、いびきは鼻づまりや喉の形など、睡眠時無呼吸症候群以外の原因でも起こることがあります。そのため、症状の原因を確認することが大切です。
【参考情報】『AASM publishes new guideline for diagnostic testing for adult sleep apnea』AASM
https://aasm.org/aasm-publishes-new-guideline-for-diagnostic-testing-for-adult-sleep-apnea/
3-2. 日中の眠気や集中力低下がある場合
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何度も呼吸が乱れることで、十分な睡眠時間を確保していても眠りが浅くなりがちです。そのため、日中に強い眠気を感じたり、仕事や家事に集中しづらくなったりすることも少なくありません。さらに、朝起きても疲れが残ったり、休日に長時間寝ても疲労感が取れないと感じることがあるのも特徴です。
睡眠不足と考えて放置してしまう方もいますが、睡眠の質が低下していることが原因の場合もあります。特に、運転や危険を伴う作業を行う方で強い眠気がある場合は、安全面からも原因を確認することが重要でしょう。
【睡眠の質とは、睡眠時間だけでなく、途中で目が覚めずに眠れているか、十分に休息できているかなどを含めた睡眠の状態のこと】
日中の眠気は、睡眠時無呼吸症候群だけでなく、睡眠時間の不足、生活リズムの乱れ、ほかの睡眠障害などでも起こるため、症状の経過を確認しながら原因を調べます。
【参考情報】『Sleep Apnea – Symptoms』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/symptoms
3-3. 高血圧や心血管リスクが気になる場合
睡眠時無呼吸症候群は、血圧や心臓・血管の状態との関連が指摘されています。睡眠中に呼吸が止まると、体内の酸素が低下したり、体が一時的なストレス状態になったりすることで、血圧や心拍数に影響することがあります。
特に、高血圧の治療を受けている方や血圧の管理が難しい方、健診で生活習慣病を指摘された方、肥満や体重増加が気になる方では、睡眠時無呼吸症候群との関連を調べることが多いでしょう。
もちろん、高血圧や体重増加があるからといって、必ず睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。ただし、必要に応じて睡眠時無呼吸症候群の可能性も含めて調べることが大切です。
【参考情報】『Sleep Apnea – Living With』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/living-with
4. 睡眠時無呼吸症候群の健康リスクと受診の流れ

睡眠時無呼吸症候群が体に及ぼす影響と、受診の流れを解説します。
4-1. 健康リスク
睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすると、血中酸素が低下し、心臓や血管に負担がかかります。その結果、日中の強い眠気や集中力低下が生じ、運転や仕事中の事故のリスクが高まることがあります。
また前述の通り、放置すると高血圧や狭心症、心房細動などの心血管疾患のリスクも増加する可能性があるため注意が必要です。糖尿病などの生活習慣病との関連も指摘されているため、症状やリスクを理解しておくことが早めの受診につながるでしょう。
こうした健康リスクは、症状が軽くても油断せず、医療機関に相談することが大切です。日中の眠気が強い場合や、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、特に早めの相談が大切です。
4-2. 受診の流れと検査・対応

まず問診では、睡眠中のいびきや無呼吸の指摘、日中の眠気、既往歴、生活習慣などを確認します。 症状の頻度や強さ、生活への影響を正確に伝えることが適切な検査や治療を判断するために重要です。必要に応じて実施される検査には、次のようなものがあります。
・簡易検査(HSAT):睡眠中の呼吸や血中酸素の変化を測定します。入院は不要で、普段の生活環境で測定できるため負担が少ないのが特徴です。
・精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ検査):一晩かけて脳波、呼吸の動き、心拍数、血中酸素、筋電図などを測定します。近年では自宅で行うことができるものが増えており、医療機関に相談するといいでしょう。
睡眠中の呼吸状態や無呼吸・低呼吸の回数、睡眠の深さや中途覚醒の回数を詳しく把握でき、治療や生活改善の判断に役立ちます。
検査結果に応じて、CPAP療法や生活習慣の改善、体重管理、寝る姿勢、口腔内装置の使用などが行われます。必要に応じて耳鼻咽喉科や歯科など、ほかの診療科と連携して対応することもあるでしょう。
受診後の流れをあらかじめ知っておくことは、不安を減らし、落ち着いて検査や治療に進むためにも役立ちます。
【参考情報】『Obstructive sleep apnoea/hypopnoea syndrome and obesity hypoventilation syndrome in over 16s』NICE
https://www.nice.org.uk/guidance/ng202
5. おわりに
大きないびきや睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気が続く場合は、睡眠の質だけでなく、呼吸の状態にも目を向けることが大切です。本人が気づきにくい症状もあるため、家族や同居人から指摘された内容も受診時の手がかりになります。
受診先を選ぶ際は、診療科名だけでなく、睡眠中の呼吸状態を調べる検査や治療に対応しているかも確認しましょう。呼吸器内科では、睡眠時無呼吸症候群に加えて、夜間の咳や息苦しさを起こすほかの呼吸器疾患についても相談できます。
症状を放置せず、原因を調べることが、健康リスクの軽減や生活の質を見直す第一歩です。気になる症状がある方は、早めに医療機関への相談を検討しましょう。
こんなときは呼吸器内科の受診をおすすめします
- 咳・痰・息切れなどの呼吸に関する症状がある
- 他の病院で原因がわからなかった
- 呼吸器の専門的な検査を受けたい
- 呼吸器の持病があり、専門医に診てもらいたい
呼吸器の専門医が丁寧に対応いたします。お気軽にご相談ください。
