咳が止まらない・味がしない時に考えられる原因と受診の目安
咳が続いているうえに味も感じにくいと、「風邪なのか、それとも別の病気なのか」と不安になる方もいるでしょう。こうした症状は、感染症だけでなく、鼻づまりや呼吸器の不調など、さまざまな原因でみられることがあります。
この記事では、自宅で様子を見られる場合と、受診を考えたほうがよい場合の目安をわかりやすく整理します。
1. 咳が止まらない・味がしない時にまず確認したい症状

咳が続いて味も感じにくい時は、まず症状がどのように出ているのかを整理してみましょう。
1-1. 咳が続いている期間と症状の特徴
まず確認したいのは、咳がいつから続いているのか、どのような咳が出ているのかという点です。
たとえば、数日前から急に咳が出始めた場合と、風邪のような症状が落ち着いたあとも咳だけが残っている場合では原因を考える際のポイントが異なります。「〇日前から」「〇週間くらい前から」など、おおよその時期を振り返ってみましょう。
あわせて、次のような咳の特徴も確認しておくと、症状を整理しやすくなります。
・痰の少ない乾いた咳か、痰が絡む咳か
・夜間や明け方、横になった時に強くなるか
・冷たい空気や会話、運動などをきっかけに出るか
・睡眠や仕事、学校など日常生活に影響しているか
こうした咳の出方は、原因を考える際の手がかりになります。咳は風邪などの感染症だけでなく、喘息や咳喘息、鼻水が喉へ流れる後鼻漏(こうびろう)などでも続くことがあります。そのため、「咳がある」という情報だけでなく、いつから、どのような場面で、どの程度出ているのかまで整理しておくことが大切です。
1-2. 味覚の変化とほかの症状
味覚については、「味がまったくわからない」のか、「いつもより薄く感じる」のかを確認してみましょう。また、味だけでなく、食べ物や飲み物のにおいを感じられるかも大切なポイントです。
私たちが食べ物の「味」として感じているものには、舌で感じる甘味や塩味などだけでなく、鼻で感じるにおいも関係しています。そのため、鼻づまりなどで嗅覚が低下すると、「味がしない」「食べ物がおいしく感じられない」と感じることがあります。
【参考情報】『Taste Disorders』NIDCD
https://www.nidcd.nih.gov/health/taste-disorders
さらに、発熱や喉の痛み、鼻づまり、だるさ、息苦しさなど、咳や味覚の変化以外の症状がないかも確認しておきましょう。
大切なのは、症状だけから「この病気だろう」と自己判断しないことです。
咳と味覚の変化は、感染症のほか、鼻や呼吸器の病気など複数の原因でみられます。
症状が始まった時期やその後の変化、発熱・息苦しさ・鼻症状の有無を整理しておくと、受診時に医師が原因や緊急性を判断する手がかりになります。
2. 医療機関を受診する目安

咳や味覚の変化が日ごとに改善しており、息苦しさがなく、水分や食事を取れている場合は、自宅で休養しながら経過を確認するケースもあるでしょう。
一方、症状が改善しない、咳が長引く、呼吸が苦しい、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関を受診しましょう。次の症状を受診の目安として確認してください。
【2週間以上咳が続いている場合】
風邪などのあとに咳だけが残ることもありますが、2週間以上咳が続いている場合は、その後の経過にも目を向けてみましょう。咳が少しずつ軽くなっているのか、変わらないのか、以前より強くなっているのかを確認し、改善がみられない場合には医療機関への相談を検討します。
【息苦しさや胸の症状がある場合】
咳が始まってからの日数にかかわらず、息苦しさや胸の痛み・違和感がある場合は注意が必要です。普段より息切れしやすい、呼吸すると苦しいといった変化がある場合には、医療機関へ相談しましょう。
安静にしていても呼吸が苦しい、会話が難しいほど息苦しい、強い胸の痛みが続くといった場合には、通常の外来受診を待たず119番へ連絡してください。救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合、東京都内では東京消防庁救急相談センター(#7119)へ相談できます。
【発熱や体調不良が続いている場合】
咳や味覚の変化に加えて、発熱や強いだるさなどが続いている場合は、全身の状態も確認しましょう。食事や水分を普段どおり取れているか、十分に休めているかなども判断材料になります。症状が改善しない、普段どおりの生活を送ることが難しい場合には、医療機関を受診してください。
咳や味覚の変化がある時は、症状が続いている日数だけではなく、良くなっているか、呼吸に問題がないか、日常生活に影響していないかをあわせて確認することが大切です。
3. 咳と味覚の変化で考えられる主な原因

原因を考える際は、咳と味覚の変化が同じ時期に始まったか、発熱や鼻づまりを伴うか、咳だけが長引いているかが手がかりになります。
ここでは、症状の現れ方から考えられる主な原因を解説します。
3-1. 風邪などの感染症
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症では、咳や発熱、喉の痛み、鼻水など、さまざまな症状がみられます。
なかでも新型コロナウイルス感染症では、味覚や嗅覚の変化がみられることがあります。そのため、「咳が出て味がしない」という症状がある場合に考えられる原因のひとつです。
ただし、咳や味覚の変化だけで感染症の種類を判断することはできません。また、感染症が落ち着いてきても、咳など一部の症状が残ることがあります。発熱や喉の痛み、鼻症状なども含め、症状全体の経過をみることが大切です。
【参考情報】『新型コロナウイルス感染症』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
3-2. 鼻炎や副鼻腔炎など鼻の病気
「味がしない」と感じていても、実際には鼻の状態が影響していることがあります。食べ物のおいしさや風味を感じる時には、舌で感じる味だけでなく、鼻で感じるにおいも関係しているためです。
鼻炎や副鼻腔炎などで鼻が詰まり、においを感じにくくなると、「味が薄い」「何を食べても同じように感じる」といった変化につながることがあります。
また、鼻水が喉へ流れ落ちる後鼻漏があると、喉が刺激されて咳が出ることもあるでしょう。このように、鼻の病気があると、嗅覚への影響と咳が同じ時期にみられることがあります。
鼻づまりや鼻水が続いている、においも感じにくいといった場合は、「味覚だけの問題」と考えず、鼻の症状にも目を向けてみましょう。
3-3. 咳喘息や喘息など呼吸器の病気
咳が長引いている場合には、咳喘息や喘息などの呼吸器疾患が関係していることもあります。
咳喘息では、一般的な喘息でみられる「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音が目立たず、咳が主な症状として続きやすいのが特徴です。夜間や明け方、気温の変化、運動などをきっかけに咳が出やすくなることもあります。
咳喘息や喘息は、咳や息苦しさなどの呼吸器症状が中心です。味覚の変化については、鼻づまりや嗅覚低下の有無も含め、別に原因を確認する必要があります。
【参考情報】『もしかしてぜん息?と思っている方へ』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/case/check.html
4. 咳と味覚の変化に応じた受診先

咳と味覚の変化が同時にある場合は、両方の症状が始まった時期や、発熱・鼻づまり・嗅覚低下の有無を確認します。
そのうえで、咳の原因は内科・呼吸器内科、味覚や嗅覚の専門的な評価は耳鼻咽喉科が中心となります**。**
4-1. 咳が続く場合は内科・呼吸器内科
呼吸器内科では、咳が始まった時期、痰の有無、咳が出やすい時間帯やきっかけ、息苦しさなどを確認します。発熱や鼻症状、味やにおいの変化、現在服用している薬についても伝えましょう。
診察結果に応じて、胸部X線検査で肺の状態を確認したり、呼吸機能検査で気道の狭さを調べたりします。咳喘息や喘息が疑われる場合は、呼気一酸化窒素(FeNO)検査を行うこともあります。すべての方に同じ検査を行うのではなく、症状や診察所見を踏まえて必要な検査を選びます。
【参考情報】『Q27. 肺機能検査とはどのような検査法ですか?』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q27.html
4-2. 味覚や嗅覚の変化が続く場合は耳鼻咽喉科
「味がしない」と感じる場合、舌で感じる味覚だけでなく、鼻づまりや嗅覚低下が影響していることがあります。鼻水・鼻づまり・においの低下が目立つ場合や、味覚の変化が続く場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳鼻咽喉科では、鼻や口の状態を確認し、症状に応じて嗅覚・味覚の検査や血液検査などを行います。検査内容は、症状や受診する医療機関によって異なります。
4-3. 受診先に迷う場合
どちらを受診するか迷う場合は、より強く出ている症状を基準に受診先を選び、診察時に咳と味覚の変化の両方を伝えてください。
診察の結果、別の診療科での確認が必要と判断された場合は、呼吸器内科や耳鼻咽喉科など、症状に応じた診療科を案内・紹介されることがあります。
5. 受診までに自宅でできる対応

受診まで自宅で過ごす場合は、無理をせず、できるだけ体を休めることが大切です。
また、咳や味覚の変化が良くなっているか、新たな症状が出ていないかを簡単に記録しておくと、体調の変化を把握しやすくなります。
5-1. 水分補給と過ごしやすい環境づくり
咳が続いている時は、喉が乾燥すると刺激を感じやすくなります。無理のない範囲でこまめに水分を取り、室内が乾燥しすぎないように調整しましょう。
また、たばこの煙やほこり、強い香り、冷たい空気などが刺激となり、咳が出やすくなることもあります。咳が強くなるきっかけに心当たりがある場合は、できる範囲で避けるようにしてください。
味を感じにくいと食事が進まないこともありますが、水分や食事が十分に取れているかにも気を配りましょう。食事や水分を取ることができているかどうかは、体調を判断する材料のひとつになります。
5-2. 市販薬を使用する際の注意点
咳がつらい時には、市販の風邪薬や咳止めを使用することもあるでしょう。ただし、咳の原因によって必要な対応は異なるため、市販薬だけで長期間様子を見続けないことが大切です。
市販薬を使用する場合は、添付文書を確認し、決められた用法・用量を守りましょう。複数の風邪薬や咳止めを併用すると、同じ成分が重複することもあります。ほかの薬を服用している方や持病がある方、妊娠中・授乳中の方などは、購入時に薬剤師や登録販売者へ相談しましょう。
また、市販薬を使用しても咳が改善しない、以前より症状が強くなっているといった場合には、薬を変えながら様子を見続けるのではなく、症状の原因を一度確認することも大切です。
6. おわりに
咳が止まらない、味がしないという症状があっても、原因はひとつとは限りません。感染症のほか、鼻の状態や呼吸器の病気などが関係していることもあります。
まずは、咳がいつから続いているか、息苦しさや発熱などほかの症状がないかを確認してみましょう。
症状が改善しない、2週間以上咳が続く、日常生活に支障が出ているといった場合には、医療機関への相談を検討する目安になります。
症状の強さや変化をみながら、無理に我慢せず適切なタイミングで相談することが大切です。
以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします
- 咳が2週間以上続いている
- 夜間や明け方に咳がひどくなる
- 痰に血が混じることがある
- 咳のせいで眠れない日がある
- 市販の咳止めを飲んでも改善しない
当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?
