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オンブレスは追加吸入してもよい?COPDで息苦しい時の対処法と受診の目安

「いつもより息苦しい」「急に呼吸が苦しくなった」と感じた時、オンブレスを追加で吸ってもよいのか迷う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、オンブレスの正しい使い方や、症状が悪化した時の対処法、相談を検討したい症状について解説します。

1. オンブレスはどのような薬なのか


COPDの治療では、症状を安定させながら日常生活を送りやすくすることが重要です。そのために使用される薬の一つがオンブレスです。

まずはオンブレスがどのような役割を持つ薬なのかを理解しておきましょう。

1-1. オンブレスの特徴

オンブレスは、長時間作用性β2刺激薬(LABA)と呼ばれる種類の吸入薬です。気管支を広げる作用が長く続くため、COPDによる息切れや呼吸のしづらさを軽減する目的で使用されます。

【長時間作用性β2刺激薬(LABA)とは、気管支を長時間広げて呼吸を楽にする吸入薬のこと】

通常は1日1回吸入し、継続的に使用することで症状の安定化を目指します。症状がない日でも継続して使用することが大切であり、「苦しい時だけ使う薬」ではありません。

COPDでは気道の炎症や肺の機能低下によって呼吸がしづらくなります。オンブレスはその状態を日常的に管理するために処方される薬であり、毎日の治療を支える役割を担っています。

◆「COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは」について>>

1-2. 急な息苦しさのための薬ではない理由

オンブレスは長期管理薬であり、急な息苦しさに対して追加吸入することを目的とした薬ではありません。

息苦しさを感じると、「もう一度吸えば楽になるかもしれない」と考える方もいるでしょう。しかし、オンブレスは発作時や急性増悪時の使用を前提とした薬ではなく、自己判断による追加吸入は不適切で危険です。

【急性増悪とは、COPDの咳や痰、息苦しさなどの症状が急激に悪化する状態のこと】

COPDでは、風邪や肺炎などの感染症をきっかけに症状が急激に悪化することがあります。そのようなケースでは、吸入回数を増やすことよりも、症状悪化の原因を把握することが重要です。

苦しさを感じた時には、「薬を追加するべきか」ではなく、「いつもと違う症状はないか」という視点で体調を確認してみましょう。

【参考情報】『オンブレス吸入用カプセル150μg 添付文書』PMDA
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/300242_2259710G1020_1_13

1-3. 自己判断で追加吸入しない理由

オンブレスは医師から指示された用法・用量を守って使用することが大切です。

自己判断で吸入回数を増やした場合、動悸や脈が速くなる症状、手の震え、頭痛などが現れる可能性があります。

また、息苦しさの原因がCOPDの増悪や感染症であった場合、追加吸入だけでは十分な対応にならないことも考えられますし、追加吸入は厚生労働省から認められていない使用方法であり、けして実施してはいけません。

息苦しさが続く時は、まず落ち着いて症状の変化を確認しましょう。薬を増やすことだけに意識を向けるのではなく、体調全体の変化に目を向けることが大切です。

医師から発作時や息苦しい時に使用する頓用薬を処方されている場合は、その指示に従って使用してください。

【参考情報】『Medicines to Treat COPD』National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/copd/treatment

【参考情報】『COPD (Chronic Obstructive Pulmonary Disease)』National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/copd

2. COPDで急に息苦しくなった時に考えられること


普段よりも呼吸が苦しい時は、一時的な体調変化だけでなく、COPDの増悪(ぞうあく)が起きている可能性があります。増悪を早めに見つけることは、症状悪化を防ぐためにも重要です。

2-1. COPDの増悪とは

COPDの増悪とは、息切れや咳、痰などの症状が普段よりも急激に悪化した状態を指します。

例えば、

・階段を上るだけで強い息切れがする

・咳の回数が増えた

・痰の量が増えた

・痰の色が黄色や緑色になった

といった変化がみられることがあります。

「少し調子が悪いだけかな」と感じる程度の変化で始まることも少なくありません。

しかし、増悪は早めに対応することが大切です。普段との違いに気付くことが、重症化を防ぐ第一歩といえるでしょう。

2-2. 増悪の主なきっかけ

増悪の原因として多いのが感染症です。

風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、肺炎などをきっかけとして呼吸状態が悪化することがあります。また、気温差や大気汚染、喫煙などが影響する場合もあります。

【大気汚染とは、PM2.5や排気ガスなどの有害物質により空気が汚染された状態のこと】

特に高齢の方では、症状が軽い風邪のように見えても、実際には肺炎が隠れていることがあるため注意が必要です。

「いつもの風邪だから大丈夫」と考えず、呼吸症状の変化に注意することが大切です。

◆「咳が止まらない 風邪以外で考えられる病気」について>>

2-3. 放置による影響

増悪を繰り返すことは、COPDの経過に影響する可能性があると考えられています。

また、息苦しさが続くことで外出や運動の機会が減り、体力の低下につながることもあります。すると、以前は問題なくできていた動作でも息切れしやすくなり、生活の質が低下する場合があります。

【生活の質(QOL)とは、健康状態や日常生活の満足度を表す指標のこと】

「そのうち落ち着くだろう」と我慢してしまう方もいますが、症状が悪化しているサインを見逃さないことが大切です。

【参考情報】『COPD』American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/copd

【参考情報】『COPD』MedlinePlus (U.S. National Library of Medicine)
https://medlineplus.gov/copd.html

3. 急に苦しくなった時の対応方法


息苦しさが強くなると不安になり、慌ててしまうことがあります。しかし、落ち着いて行動することで症状の変化を把握しやすくなります。

3-1. まず安静にする

息苦しさを感じた時は、無理に動き続けず、まずは安全な場所で休みましょう。

椅子に座って少し前かがみになると、呼吸がしやすくなります。また、ベルトや衣類など体を締め付けるものがあれば緩めるのもよいでしょう。

息苦しさが強いと不安になりがちですが、焦ることで呼吸が浅くなり、さらに苦しさを感じることがあります。まずは落ち着いて呼吸を整えることを意識してみてください。

3-2. 口すぼめ呼吸を試す

COPD患者さんの呼吸法として知られているのが口すぼめ呼吸です。

鼻からゆっくり息を吸い、その後、口をすぼめながら時間をかけて息を吐きます。吐く時間を吸う時間より長くすることがポイントです。

息をゆっくり吐き切ることで肺に空気がたまりにくくなり、呼吸がしやすくなります。

日頃から練習しておくと、症状が出た時にも実践しやすくなります。

【参考情報】『【実践編】口すぼめ呼吸』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/effective/03.html

3-3. 症状を記録する


症状の変化を記録することは、COPDの自己管理に役立ちます。

【自己管理とは、自分で症状や体調を記録・把握し、病気の悪化を防ぐために管理すること】

例えば、

・いつから苦しくなったか

・何をしている時だったか

・発熱はあるか

・症状の変化(息苦しさ・咳・痰など)

などをメモしておくと、体調の変化を振り返りやすくなります。

また、受診時に症状を正確に伝えるためにも記録は有効です。普段の状態を把握しておくことで、「いつもと違う」に気付きやすくなるでしょう。

【参考情報】『Living with COPD』National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/copd/living-with

4. 早めに医療機関への相談を検討したい症状


COPDでは、症状の変化に早く気付くことが大切です。息苦しさが続く場合や普段と異なる症状がみられる場合は、早めの相談を検討しましょう。

4-1. 息苦しさが強くなっている

以前より少し動いただけで息切れするようになった場合や、安静時にも息苦しさを感じる場合は注意が必要です。

例えば、これまで問題なく歩けていた距離で息が上がるようになったり、会話の途中で息継ぎが必要になったりする場合は、呼吸状態が変化している可能性があります。

一時的な体調不良と思っていても、増悪の始まりである可能性も考えられるため、症状の経過を確認することが大切です。

4-2. 痰の量や色が変わった

COPDでは、痰の変化も重要なサインの一つです。

普段より痰の量が増えた場合や、透明だった痰が黄色や緑色に変化した場合は、気道で炎症や感染が起きている可能性があります。

また、痰が出しにくくなったり、咳が増えたりすることもあります。

症状の変化が数日続く場合は、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関への相談を検討しましょう。

◆「要注意!喘息・COPD患者さんが見逃しがちな肺炎のサイン」について>>

4-3. 発熱や全身症状がある

発熱や強い倦怠感(けんたいかん)、食欲低下などを伴う場合は、風邪や肺炎などの感染症が関係していることがあります。

【倦怠感とは、全身のだるさや疲労感が続く状態のこと】

特に高齢の方では、発熱が目立たなくても肺炎を発症していることがあります。そのため、「熱がないから大丈夫」とは言い切れません。

息苦しさに加えて全身状態の変化がみられる場合は、早めの対応が重要です。

会話も困難なほど息苦しい、唇が紫色になる、意識がぼんやりする場合には、速やかな救急受診(必要に応じて119番)を検討してください。

5. COPDの増悪予防のためにできること


COPDでは、日頃から体調管理を行うことが増悪予防につながります。毎日の積み重ねが、安定した生活を続けるためのポイントです。

5-1. 処方された吸入薬を継続する

症状が落ち着いている時でも、医師の指示どおりに吸入薬を継続することが大切です。

「今日は調子が良いから吸わなくてもよいだろう」と自己判断で中断すると、症状が不安定になることがあります。

また、吸入薬は正しい方法で使用しなければ十分に吸入できない場合があります。定期的に吸入方法を確認し、必要に応じて医療従事者へ相談しましょう。

5-2. 感染予防を心がける

COPDの増悪は、風邪やインフルエンザなどの感染症をきっかけに起こることがあります。

外出後の手洗いやうがい、人混みでの感染対策などを心がけましょう。また、流行状況に応じてマスクを活用することも一つの方法です。

体調が優れない方との接触を避けるなど、日常生活の中でできる感染予防を続けることが大切です。

◆「インフルエンザ」について詳しく>>

5-3. 禁煙と体調管理を続ける

喫煙はCOPDの発症や進行に深く関係しているとされています。現在喫煙している方は、禁煙について医療機関へ相談することも選択肢の一つです。

【禁煙とは、たばこを吸う習慣をやめることでCOPDの進行や増悪リスクを減らす取り組みのこと 】

また、適度な運動や十分な睡眠、栄養バランスの良い食事も体調管理に役立ちます。

日頃から体調を記録しておくことで、小さな変化にも気付きやすくなります。「いつもと違う」と感じた時に早めに対応できるよう、自分の体調を把握しておくことが大切です。

◆「タバコで咳がでる 長引くときに疑う病気は?」について>>

【参考情報】『Smoking and COPD』Centers for Disease Control and Prevention (CDC)
https://www.cdc.gov/tobacco/campaign/tips/diseases/copd.html

6. おわりに

オンブレスはCOPDの長期管理を目的とした吸入薬であり、急な息苦しさへの対応を目的とした薬ではありません。

息苦しさが強くなった時は自己判断で追加吸入するのではなく、まずは安静にして症状の変化を確認することが大切です。

また、痰の量や色の変化、発熱などがみられる場合は、COPDの増悪や感染症が関係している可能性もあります。普段から体調を記録し、気になる変化があれば早めに相談するよう心がけましょう

以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 息切れが以前より強くなった
  • 咳や痰が長期間続いている
  • 胸の痛みや違和感がある
  • 健康診断で肺の異常を指摘された
  • 喫煙歴があり、呼吸に不安を感じている

当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医にご相談ください。

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