喘息と鼻炎が悪化しやすいのはなぜ?夜勤や睡眠不足との関係を解説
夜勤や不規則な勤務が続くと、「夜中に鼻が詰まって眠れない」「咳が止まらず仕事に集中できない」と感じることはありませんか。
睡眠不足や生活リズムの乱れは、喘息や鼻炎の症状を悪化させる要因の一つです。
この記事では、その理由や勤務中に取り入れやすいセルフケア、症状が続く場合の受診の目安についてわかりやすく解説します。
1. 夜勤や不規則な勤務で喘息と鼻炎が悪化しやすい理由

夜勤や不規則な勤務では、生活リズムや睡眠の質が乱れやすくなります。
その影響は体全体だけでなく、呼吸器にも及び、喘息や鼻炎の症状を悪化させることがあります。
まずは、その主な理由について見ていきましょう。
1-1. 生活リズムの乱れが自律神経に影響する

夜勤や交代勤務では、昼夜が逆転した生活になりやすく、体内時計が乱れがちです。
すると、自律神経(体の働きを自動で調整する神経)のバランスが崩れ、気道が刺激に敏感になる「気道過敏」の状態になりやすくなります。
その結果、わずかな刺激でも咳が出たり、喘息の症状が悪化したりすることがあります。また、自律神経の乱れは鼻の粘膜にも影響を与え、鼻づまりや鼻水が悪化するケースも少なくありません。
1-2. 睡眠不足や乾燥も症状を悪化させる要因
夜勤では十分な睡眠時間を確保しにくく、睡眠の質も低下しがちです。
睡眠不足が続くと、体の回復力が低下し、アレルギー反応や炎症が起こりやすくなると考えられています。
また、空調が効いた職場特有の「乾燥」も大きな要因です。空気が乾燥すると、気道や鼻の粘膜のバリア機能が低下し、わずかな刺激にも過敏に反応して喘息や鼻炎の症状が強くなる傾向があります。
【気道の粘膜とは、気管支やのどの表面を覆い、異物や病原体の侵入を防ぐ組織のこと】
【参考情報】『Sleep Deprivation and Deficiency』National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-deprivation
2. 夜勤中に症状が悪化しやすい場面

夜勤では、症状が悪化する要因が重なる場面が少なくありません。
空調による乾燥や長時間のマスク着用など、日常的な環境が喘息や鼻炎を悪化させることがあります。
ここでは、夜勤中に特に注意したい場面を紹介します。
2-1. 空調による乾燥で気道や鼻の粘膜が刺激される
病院や施設、飲食店では空調が長時間稼働していることが多く、室内の空気が乾燥しやすくなります。
乾燥した空気を吸い続けると、鼻や気道の粘膜が刺激を受け、鼻づまりや咳が出やすくなることがあります。
特に喘息のある方は、乾燥が発作の引き金になる場合もあるため注意が必要です。
休憩時間に水分補給を行ったり、必要に応じて加湿を意識したりすることも症状の悪化を防ぐ工夫の一つです。
【参考情報】『Indoor Air Quality』U.S. Environmental Protection Agency (EPA)
https://www.epa.gov/indoor-air-quality-iaq
2-2. 長時間のマスク着用やホコリも影響する
長時間マスクを着用していると、マスク内が湿る一方で、呼吸がしづらく感じたり、汚れが蓄積したりすることがあります。
また、リネン交換や清掃時のホコリ、厨房で発生する煙や蒸気、消毒薬なども、喘息や鼻炎の症状を悪化させる要因になりかねません。
特に、ハウスダストや消毒薬などの刺激に敏感な方は、わずかな刺激でも咳や鼻づまりが強くなる場合があります。
【ハウスダストとは、ダニの死骸やフン、ホコリ、繊維くずなど室内にたまる微細なほこりのこと】
症状が出やすい環境を把握し、マスクを適切なタイミングで交換することや、刺激となる物質をできるだけ避けることが大切です。
また、勤務後も症状が続く場合は、仕事中の環境が影響していないか振り返ってみることも原因を見つける手がかりになります。
【参考情報】『Allergic Rhinitis』American Academy of Allergy, Asthma & Immunology (AAAAI)
https://www.aaaai.org/tools-for-the-public/conditions-library/allergies/allergic-rhinitis
3. 夜勤や不規則な勤務でも取り入れやすいセルフケア

夜勤や不規則な勤務を避けることが難しい場合でも、日頃の工夫によって喘息や鼻炎の症状が和らぐことがあります。
ここでは、勤務中や自宅で無理なく続けやすいセルフケアを紹介します。
3-1. 乾燥対策とこまめな水分補給を心がける
乾燥した環境では、鼻や気道の粘膜が刺激を受けやすくなります。勤務中はこまめに水分を補給し、休憩時間には加湿された場所で過ごすなど、できる範囲で乾燥対策を行いましょう。
自宅では加湿器を使用したり、寝室の湿度を適切に保ったりすることも、鼻やのどへの負担を軽減するのに役立ちます。
また、室内を加湿しすぎるとカビやダニが増えやすくなるため、適度な湿度を保つことも大切です。
【参考情報】『ぜん息の自己管理』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/kodomonozensoku/jikokanri.html
3-2. マスクや鼻スプレーを正しく活用する
マスクは長時間使用すると湿気や汚れがたまりやすいため、必要に応じて交換することが大切です。
また、アレルギー性鼻炎の治療で使用される点鼻薬(鼻に噴霧する薬)は、正しい方法で継続して使用することで効果が期待できます。
【点鼻薬とは、鼻の中に噴霧して鼻づまりや鼻水などの症状を改善する薬のこと】
自己判断で使用を中止したり、回数を増やしたりせず、使用方法を守るようにしましょう。
症状が軽くなったように感じても、自己判断で治療を中断すると再び悪化することがあるため、気になることがあれば医師や薬剤師へ相談することも大切です。
3-3. 睡眠の質を整え、口呼吸を防ぐ
夜勤後は、できるだけ静かで暗い環境を整え、十分な休息を取ることが大切です。
また、口呼吸はのどや気道が乾燥しやすくなるため、鼻呼吸を意識することも症状の悪化予防につながります。
鼻づまりが続く場合は、無理に我慢せず、原因に応じた対策を行うことが重要です。
【参考情報】『Healthy Sleep Habits』National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep
4. 長引く咳や鼻づまりで考えられる病気

セルフケアを続けても咳や鼻づまりが改善しない場合は、喘息や鼻炎以外の病気が関係している可能性もあります。
症状が長引くときは自己判断を続けず、原因を確認することが大切です。ここでは、代表的な病気について紹介します。
4-1. 咳喘息や気管支喘息
咳が長く続く場合は、喘息の可能性があります。
喘息には、咳だけが続く「咳喘息(せきぜんそく)」と、咳に加えて息苦しさや喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)を伴う「気管支喘息」があります。
咳喘息は、喘鳴や強い息苦しさが目立たなくても、咳だけが続くことが特徴です。
一方、気管支喘息では、咳に加えて息苦しさや胸の圧迫感などを伴うことがあります。
どちらも夜間から明け方に症状が悪化しやすい傾向があるため、夜勤や不規則な勤務をしている方は気付きにくい場合もあります。
【参考情報】『Asthma』National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma
4-2. アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎
鼻づまりや鼻水が続く場合は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ふくびくうえん)が関係していることがあります。
鼻づまりが続くと口呼吸になりやすく、のどや気道が乾燥することで咳が出やすくなる場合があります。
また、鼻水がのどへ流れ込む「後鼻漏(こうびろう)」も、咳が続く原因の一つです。特にアレルギー性鼻炎では、花粉やハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)によって症状が悪化することがあります。
症状が長引く場合は、喘息だけでなく鼻の病気も含めて原因を確認することが大切です。
【参考情報】『アレルギー性鼻炎』日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=5
5. 症状が続く場合に知っておきたいこと

夜勤や不規則な勤務による影響だけでなく、病気が隠れている可能性もあるため、症状が長引く場合は原因を確認することが大切です。
ここでは、受診を検討したい症状や、医療機関で行われる主な検査・治療について紹介します。
5-1. 長引く咳や鼻づまりは受診の目安になることも
咳や鼻づまりが数週間以上続く場合や、日常生活や仕事に支障が出ている場合は、一度原因を確認することが大切です。
また、息苦しさや喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)を伴う場合は、喘息などの呼吸器疾患が関係している可能性もあります。
【喘鳴とは、気道が狭くなることでゼーゼー・ヒューヒューと聞こえる呼吸音のこと】
症状を繰り返している場合も、自己判断だけで済ませず、原因に応じた対応を考えることが重要です。
【参考情報】『Cough』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/cough.html
【参考情報】『Chronic Cough』MedlinePlus (U.S. National Library of Medicine)
https://medlineplus.gov/cough.html
5-2. 呼吸器内科では原因に応じた検査や治療が行われる
呼吸器内科では、症状や経過を確認したうえで、必要に応じて呼吸機能検査や画像検査などを行い、原因を調べます。
喘息と診断された場合は吸入薬を中心とした治療、アレルギー性鼻炎が関係している場合は点鼻薬や内服薬など、症状や原因に応じた治療が選択されます。
夜勤や不規則な勤務を続けている方も、生活環境を考慮しながら治療方針を相談できるため、症状が改善しない場合は原因を明らかにすることが大切です。
また、自己判断で薬の使用を中止したり、市販薬だけで対応を続けたりすると、症状が長引くこともあります。
症状が落ち着いたように見えても、医師の指示なく治療を中断すると再び悪化することもあるため、継続的な治療が重要です。
適切な診断を受け、自分の症状や生活スタイルに合った治療を続けることが、症状の改善や再発予防につながります。
【参考情報】『When to See a Doctor for Asthma』American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/asthma
6. おわりに
夜勤や不規則な勤務、睡眠不足は、喘息や鼻炎の症状を悪化させる要因の一つです。
日頃から乾燥対策や睡眠環境の工夫など、できる範囲でセルフケアを取り入れることが大切です。
一方で、咳や鼻づまりが長引く場合や、息苦しさを伴う場合は、喘息やアレルギー性鼻炎などの病気が隠れていることもあります。
症状を繰り返さないためにも、原因を明らかにし、自分の症状に合った適切な治療につなげることが重要です。
