喘息発作でパニックにならないためにはどうする?

喘息の発作は突然おこる場合があります。そのため、発作の重さに応じた対応を知り、適切な対策をしておくことがとても大切です。

この記事では、発作の小さなものから大きなものまで段階に応じた対処法をご説明します。

発作が起こりやすい状況の把握、周囲の協力の重要性、冷静な判断を保つための心構えについて理解しましょう。

喘息発作がおこったとき、適切に対処するための準備をすることで、パニックを避けることが可能です。ご自身や大切な方を守るために理解を深めましょう。

1.喘息発作がおきた!どうすればいい?


喘息発作は、症状の重さによって小発作、中発作、大発作に分けられます。

喘息発作がおきた場合、それぞれの状況に応じた対処法を理解し、迅速かつ適切に行動することが重要です。

◆『喘息について』>>

1-1.小発作のとき

小発作は、軽度の呼吸困難、喘鳴(ぜいぜいという音)、咳が特徴的な症状です。

小発作の段階では、吸入ステロイド薬や速効性の気管支拡張薬を用いて症状の緩和を図ります。

気管支拡張薬を使用しても症状が改善せず、呼吸が苦しい状態が続くときは、すぐに救急外来を受診しましょう。

1-2.中発作のとき

中発作は、小発作より強い呼吸困難、喘鳴、咳があり、日常活動が困難になるほどの状況のことをいいます。症状が急速に悪化することもあるので注意が必要です。中発作になると、呼吸困難で仰向けになることができなくなります。

早急に吸入ステロイド薬や速効性の気管支拡張薬を使用し、症状の改善を図ります。発作治療薬を使用後は、速やかに救急外来を受診しましょう。

1-3.大発作のとき

非常に重度の呼吸困難のため、話すことすら困難になる非常に危険な状態が大発作です。

大発作がおきた場合は、周りの方の迅速なサポートが必要です。すぐに救急車を呼びましょう。

呼吸困難や意識の低下など、生命に関わる状況が生じる可能性もあるため、早急な対応が必要です。

【参考情報】実践編 ぜん息をコントロールする発作が起こったら
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/attack.html

【参考情報】Mayo Clinic “Asthma attack”
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma-attack/symptoms-causes/syc-20354268

2.喘息発作がいつおこりやすいかを把握する


喘息発作は予期しないタイミングでおこることもありますが、特定の条件や状況下でおこりやすくなる場合があります。

発作の予防と適切な対応のためには、ご自身がどのような時に発作が起こりやすいかを把握し、事前に対策を立てておくことが非常に重要です。

ここからは、代表的な喘息発作が起こりやすい状況についてご紹介します。

◆『症状が出る時の把握が重要!喘息の症状』>>

夜間や早朝

夜間から早朝にかけては発作が最も起こりやすい時間帯です。

自律神経の変化、気温の差、寝ている間の呼吸の変化などの影響が考えられます。

さらに、寝具のダニやペットのフケなど、寝室のアレルゲンも発作を誘発する原因となります。

季節の変わり目

季節の変わり目の気温や湿度の大きな変化は、発作を誘発する要因となります。

春や秋は花粉が飛散する時期であり、とくにアレルギー性喘息の人にとっては発作が起こりやすくなります。

秋から冬への急な寒さは気道を刺激し、発作を引き起こします。

◆『季節の変化と喘息発作の予防』>>

ストレスのある時

ストレスはからだのさまざまな機能に影響を及ぼすため、喘息の発作をひきおこす要因の一つです。

ストレスが高まると、体内の炎症反応が強まり、気道の過敏性が高まります。

そのため、少量のアレルゲンや刺激でも喘息発作を引き起こしやすくなります。

感染症

上気道感染症(風邪やインフルエンザなど)も喘息発作を誘発する大きな原因です。

感染症は気道をさらに敏感にし、通常は問題とならない刺激に対しても過敏に反応するようになります。

以上のような喘息発作が発生する状況を理解し、ご自身の発作が起こりやすい条件を明確にしましょう。発作の予防と管理において非常に重要です。

患者さんご自身が発作の兆候を早期に察知することができれば、適切な対処を迅速に行うことが可能となります。

たとえば、季節の変わり目に発作が起きやすい場合、事前に医師と相談して薬の調整を行なったり、外出時にマスクを着用するなどの対策が可能です。

ストレスが多い場合はリラックスする時間を取り入れる、定期的な運動を心がけるなど、ストレス管理に努めることが喘息のコントロールに役立つでしょう。

自宅や職場などの日常環境を整えることも、発作を防ぐ上で重要です。

ほこりをこまめに清掃する、ペットの毛が原因であればペットが入れない部屋を作る、喫煙を避けるなどがあります。

また、空気清浄器を使用することで、アレルゲンや刺激物の濃度を低減させることも可能です。

3.周りの人に協力してもらうことが大切


喘息発作が起きた際には、周りの方の協力が不可欠です。

発作時に適切な対応をしてもらえるよう、日頃から家族や職場、学校などの関係者の方に、喘息の状況を理解してもらい、協力を求めておくことが大切です。

とくに子どもの場合、入園・入学前などには必ず喘息の状況を伝えておく必要があります。

教職員に喘息の症状や対応方法を理解してもらい、緊急時の対応について確認しておくことで、安心して学校生活を送ることができます。

職場でも上司や同僚の方に喘息の状況を説明し、発作時の対応について共有しておきましょう。

周りの方が喘息について理解し、協力体制を整えておくことで、発作時の迅速な対応が可能になります。

4.パニックにならず冷静な判断をしよう


喘息発作が起きた際は、パニックに陥らずに冷静な対応できるようにします。

そのためには、日頃から喘息発作がどのようなものかを理解し、取るべき行動を明確にしておくことが必要です。

どのような症状が現れるのか、どのような対応が必要かを理解しておくことで、発作時に慌てず適切な対応ができます。

また、前述のとおり、発作時の対処法を家族や友人、職場の同僚などに共有しておくと良いでしょう。

発作時に周りの人が適切に対応できるよう、事前に情報を共有しておくことが重要です。

発作時に使用する薬や吸入器などの場所は必ず把握しておき、すぐに手に取れるようにしておくことも大切です。

【参考情報】American Lung Association『 Asthma vs Panic』
https://www.lung.org/getmedia/d23b769f-7db0-4cf6-9b2a-662a0e2c47ec/asthma_vs_panic.pdf?ext=.pdf

5.おわりに

喘息発作が発生した場合は適切な対応が必要です。

周囲に助けを求める方がいないときは、かかりつけの医療機関に連絡を取りましょう。

医師による適切な指示をうけることができます。

常に医療機関の連絡先を手元に置いておくことが、安心に繋がるでしょう。