症状が出る時の把握が重要!喘息の症状

喘息の症状は突然現れることがあります。そのため、事前に発生しやすい状況を把握しておくことが重要です。

たとえば、特定の時間帯やなにかしらの活動後、同じ場所で症状が出やすいと感じることがあれば、その状況を詳しく覚えておきましょう。

喘息症状の発生状況の把握により、適切な診断と治療計画がより立てやすくなります。

1.喘息症状が起きた時の把握を!


喘息の患者さんにとって、喘息症状が起きやすい状況を把握することはとても重要です。
人それぞれ、喘息の症状が出る状態は異なります。医師からの問診に正確な情報を伝えることで、適切な治療計画を立てることができます。

以下の喘息の症状が起きやすいポイントに注意し、状況を詳しく把握しましょう。

・症状が起きる時間帯
喘息の症状は夜間や早朝に悪化することが多いとされています。
ご自身が症状が出やすい特定の時間帯を把握しましょう。

・特定の行動
特定の行動や活動が喘息の発作を引き起こす可能性があります。
たとえば、運動後や掃除をした時などです。ご自身の行動パターンと症状の関連性を把握しておくことが大切です。

・特定の場所
特定の場所で喘息の発作が起きやすいことがあります。
たとえば、ホコリの多い場所やペットがいる場所など、症状が悪化する可能性がある特定の環境を記録しておきましょう。

【参考情報】Mayo Clinic 『Asthma:Steps in testing and diagnosis』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma/in-depth/asthma/art-20045198

2.喘息発作が起きやすいのは?


以下のような要因は、喘息発作が引き起こされやすいとされています。

喘息発作が起きたときの状況を正確に把握することは、適切な治療法や予防策を立てるうえで非常に重要です。

発作が起こる前にどのような環境にいたのか、何をしていたのか、どのような気分だったのかなどの詳細を記録しておきましょう。
発作のきっかけとなる要因を特定することで、発作を予防できる手がかりができます。

・季節の変わり目
とくに春や秋は花粉が多く、気温差が大きいので、喘息の方にとって発作が起きやすい時期です。

・気温差
冷たい空気や急激な温度変化も喘息発作を誘発することがあります。

・天候
湿度が高い日や大気汚染がひどい日、風が強い日などもリスクが高まります。

・ストレス
精神的なストレスや不安も喘息発作を引き起こす原因になり得ます。
ストレスにより肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出され、気道の平滑筋とつながっている迷走神経が刺激されます。
このため平滑筋が収縮して気管支が狭くなることが発作の原因です。
また、泣いたり、大笑いしたりすることでも、喘息発作がおこる場合があります。

・運動
運動中に発作を起こす方もいます。この場合の気道狭窄は、乾燥した冷たい空気を運動中に吸い込むことが理由と考えられています。

・服薬
約30%の重度の喘息患者さんでは、アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の服用により喘息の発作を引き起こすことがあります。
全喘息患者さんの中では10%未満ですが、耳鼻科で鼻茸を指摘されている場合には、確率が高まります。

・呼吸器系の病気
風邪やインフルエンザなどの呼吸器系の病気は気道を刺激し、喘息の症状を悪化させる可能性があります。

【参考情報】Mayo Clinic 『Asthma attack Symptoms and causes』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma-attack/symptoms-causes/syc-20354268

3.喘息の症状について


喘息の症状は、気道の炎症と過敏性によって引き起こされます。以下は、喘息の一般的な症状です。

・喘鳴(ぜんめい)
気道が狭くなるため、息を吸ったり吐いたりするときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がします。

・呼吸困難
気道の炎症と狭窄により、十分な空気が肺に入らないため、呼吸が困難になります。

・発作性の咳や痰
とくに夜間や早朝に、気道の刺激により、激しい咳や粘り気のある痰が出ることがあります。

・急に動けなくなる
重度の喘息発作では、極端な呼吸困難により急に動けなくなることがあります。

・胸の痛み
激しい咳や気道の炎症、痙攣によって胸部に痛みを感じることがあります。

・動悸や息切れ
酸素の不足により心拍数が増加し、息切れを感じることがあります。

・背中の張り
呼吸に関与する筋肉が過度に使われるため、背中に張りを感じることがあります。

・空咳
発作では、痰を伴わない乾いた咳が起こることがあります。

◆当院の喘息治療について>>

4.喘息の症状への対処法とは


喘息の発作には、さまざまな強度があり、適切な対処法は発作の強度によって異なります。

喘息発作の際は、発作の程度を正しく判断し、適切な対処を迅速に行うことが重要です。
また、ふだんから医師と相談し、発作が起こったときの対応計画を立てておきましょう。

以下で、喘息発作時の対処法についてご説明します。

★軽度の発作(喘鳴や胸の苦しさがあるが、活動に大きな影響がない場合)

・メプチン®やサルタノール®を吸入する。
・改善がみられれば、自宅で様子を見る。
・改善しない場合、再度メプチン®やサルタノール®を吸入し、それでも改善がない場合は救急外来を受診する。

★中等度の発作(苦しくて横になることができない場合)

・メプチン®やサルタノール®を吸入する。
・20〜30分後に改善が見られなければ再度吸入する。
・それでも改善しない場合は、救急外来を受診する。

★高度の発作(非常に苦しくて動けない場合)

・メプチン®やサルタノール®を吸入しながら、周囲の人に助けを求め、速やかに救急外来を受診するか救急車を呼ぶ。

★重篤な状態(呼吸が減弱してチアノーゼや呼吸停止が発生する場合)

・直ちに救急車を呼ぶ。

また、次のような場合にはためらわずに医療機関を受診しましょう。

・眠れないほど苦しい場合。
・メプチン®やサルタノール®や内服薬の効果が不十分な場合。
・発作止めの薬が手元にない場合。
・強い喘息発作の症状がある場合。

◆呼吸器内科の受診目安について>>

【参考情報】『成人ぜん息の基礎知識』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/attack.html

5.おわりに

喘息は慢性的な呼吸器疾患であり、予期せぬ発作が起こることがあります。発作にはさまざまな要因があり、人によって異なります。

ご自身の喘息発作が起こりやすい状況を把握し医師に伝えましょう。これは、適切な診断と治療計画を立てるために非常に役立ちます。

発作時には、メプチン®やサルタノール®の使用など、症状の程度に応じた迅速な対応が必要です。とくに夜間や早朝に症状が悪化することが多いため、それらの時間帯の症状、行動、場所との関連を明確にすることが重要です。

かかりつけの医師と事前に相談し、あらかじめ発作時の対応を準備しておくことが大切です。発作がおきた際に、迅速かつ適切な対処が可能となり、症状の管理とコントロールをすることができるでしょう。