呼吸器内科で行う検査の種類と目的を紹介します
呼吸器内科では、画像検査や血液検査のような基本的な検査に加え、呼吸の状態や肺の機能を調べる専門的な検査を行うことがあります。
受診にあたり、どのような検査が行われるのか事前に知っておくと、心の準備ができて安心かもしれません。
この記事では、呼吸器内科で行われる基本的な検査と専門的な検査を紹介し、検査の目的について解説します。
咳や息苦しさなどの症状に悩んでいる人は、ぜひ参考にして下さい。
1.呼吸器内科とはどのような診療科か
呼吸器内科とは、気管支や肺など呼吸器の病気を専門に診断・治療する診療科です。
よく診る病気としては、喘息や咳喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がん、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群などがあります。
また、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症も対象となります。
咳や息苦しさという症状が激しいときや長引いているときは、呼吸器の病気にかかっている疑いがあるので、呼吸器内科を受診して原因を調べましょう。
2.呼吸器内科で行う基本的な検査
呼吸器内科で行う検査のうち、まずは一般の内科でも行う基本的な検査を紹介します。
2-1.画像検査
レントゲン撮影(X線)で胸部の画像を撮影し、肺や気道の状態などを確認します。
この検査では、肺炎などによる炎症や胸水の有無、肺がんによる腫瘍、気胸などを見ることができます。また、心臓の病気が見つかることもあります。
さらに詳しく調べたいときは、CTによる精密検査を追加して、病変などを確認する場合もあります
2-2.血液検査
腕などから採血した血液の成分を分析し、炎症の程度やアレルギーの有無などを調べます。
肺炎や気管支炎などで炎症があると、CRPやWBCという数値が上昇します。
喘息のようなアレルギー性疾患を疑う場合は、IgEというタンパク質の一種にかかわる数値を調べ、アレルギーの有無を推定したり、ダニやカビ、ペットの毛などアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を特定します。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、糖尿病などの生活習慣病を合併していることもよくあるので、血液検査で確認することもあります。
3.呼吸器内科で行う専門的な検査
呼吸器内科では、基本的な検査のほかに、呼吸機能を調べる専門的な検査も行い、診断に役立てています。
3-1.呼気NO検査
吐いた息の中に含まれる、一酸化窒素(NO)の濃度を測定する検査です。
専用の機器に付属するマウスピースをくわえ、息を吸ったり吐いたりして行います。2分ほどで終わります。
喘息や咳喘息で気道に炎症があると、吐いた息の中に一酸化炭素が増えるため、検査の数値が上がります。
3-2.スパイロメトリー
スパイロメーターという機器を用いて、肺の大きさや肺活量などを測定し、呼吸の状態を調べる検査です。
空気が漏れないように鼻をクリップでつまみ、機器に付属するマウスピースをくわえ、指示通りに息を吸ったり吐いたりして数値を測定します。
喘息や気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの可能性を調べることができます。
【参考情報】『Pulmonary Function Tests』Johns Hopkins Medicine
https://www.hopkinsmedicine.org/health/treatment-tests-and-therapies/pulmonary-function-tests
3-3.モストグラフ
喘息などの呼吸器疾患がある人は、気道が狭くなり、息を吐き出しにくくなっていることがあります。
モストグラフでは、呼吸をした時の気道抵抗という数値を測定して、空気の通り具合を検査します。
正常なら緑、異常が強くなるにつれ、黄・赤・青と、結果が色で表示されます。
スパイロメトリーは指示通りに呼吸をする必要があるため、小さなお子さんには難しい検査ですが、モストグラフはマウスピースをくわえて普通に呼吸をするだけで数値が測定できるので、小さなお子さんでも受けやすい検査です。
3-5.血液ガス分析
動脈から少量の血液を採取し、血液中の酸素・二酸化炭素の量などを測定します。
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんで呼吸不全を生じた際に、呼吸の状態を調べるために行うことがあります。
3-6.アプノモニター
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるときに行う検査です。
必要な場合は、提携する検査会社から小型の機器を自宅へ送付いたします。機器の装備を体に装着して一晩眠ると、翌朝までに睡眠中の無呼吸の回数や体内の酸素濃度などが自動的に測定されます。
4.おわりに
呼吸器内科は一般的な内科と異なり、呼吸器専門の検査で詳細に異変を調べることで、治療や予防を行っています。
「咳が長引いている」「痰が増えてきた」「少し動いただけでも息苦しい」など呼吸器に関する悩みがある人は、専門医による検査で原因を特定し、適切な治療を受けましょう。