血痰が出た!原因と呼吸器内科を受診する目安を解説します

突然、血の混じった痰が出たら、「大きな病気では?」と不安に思うことでしょう。

しかし、症状が出た時に大切なことは、まずは病院を受診するかどうかを判断し、的確な対応をとることです。

この記事では、血痰が出る原因と考えられる病気、病院を受診する目安について解説します。症状がある方、少しでも不安を感じている方は、ぜひ読んでください。

1. 血痰の原因


風邪などの呼吸器感染症で咳が出ると、咳の刺激により気道や気管支が傷ついて出血し、痰に血が混じって出ることがあります。

このような場合は、病気が快方に向かって咳が治まると血も出なくなるので、心配ありません。

心配なのは、肺や気道に腫瘍ができ、その刺激による出血が血痰の原因となっている場合です。

また、咳が続く病気を放っておくと、咳の刺激が重なって呼吸器が傷つき血痰が出るので、原因となる病気を発見し、治療することが大切です。

2.血痰と似ている症状


まずは、血痰とよく似た症状を紹介します。体の状態を正しく把握するために、知っておきましょう。

2-1.喀血(かっけつ)

気道や肺が出血し、その血液が口から出る症状です。咳とともに、真っ赤な血液が出ます。
肺がんや肺結核、気管支拡張症などの病気が原因で出ることがあります。

【参考情報】『Coughing up blood (blood in phlegm)』NHS
https://www.nhs.uk/conditions/coughing-up-blood/

2-2.吐血(とけつ)

胃や腸などの消化器官が出血し、その血液が口から出る症状です。吐き気や嘔吐とともに、赤黒い血液が出ます。胃・十二指腸潰瘍、食道がんなどが原因で出ることがあります。

2-3.口の中や歯茎、鼻からの出血

口の中の粘膜や歯茎、鼻の中が何かの刺激で出血した際に、口から血液が出ることがあります。この血液が、血痰に見えることがあります。

このような場合は、比較的早い段階で出血が治まることが多いです。

また、血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は、薬の作用で出血しやすくなっているため、口から血が出ることが多いです。

口や鼻からの出血が続いていたり、量が多い時には、医師に相談してください。

【参考情報】『たんに血が混じりました』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q04.html

3.どのような病気で出るのか


血痰が出る呼吸器疾患としては、以下のようなものが考えられます。

3-1.肺結核

結核菌が肺に感染して発症する病気です。咳や痰、微熱などの症状が現れ、病気が進行すると血痰が出ることがあります。

3-2.非結核性抗酸菌症

土や水などの中にいる非結核性抗酸菌という細菌によって起こる感染症です。長い年月をかけ進行する病気で、進行した時には咳、痰、血痰、だるさなどの症状が現れます。

3-3.肺がん

肺や気管支にできる悪性腫瘍です。がんの種類や進行度により症状は異なりますが、初期は咳や痰、発熱など風邪のような症状が現れることが多いです。

さらに、血痰や息苦しさ、胸の痛みなどの症状が生じることもあります。

3-4.気管支拡張症

先天的な原因や幼少期の肺炎が原因で起こる病気です。気管支が広がって元に戻らなくなることで細菌が繁殖しやすくなり、咳や痰、発熱、血痰などの症状が出るようになります。

3-5.慢性閉塞性肺疾患(COPD)

主にタバコに含まれる有害物質が原因で、肺が慢性的な炎症を起こし、呼吸がしにくくなる病気です。しつこい咳が長く続くため、その刺激で呼吸器が傷ついて出血し、血痰が出ることがあります。

3-6.その他

その他、肺塞栓症や肺高血圧症などの肺の病気、胸部のケガが原因で、血痰が出ることがあります。

4.病院を受診する目安


血痰が出ても、「忙しくて時間がない」「量が少しだから」と考え、そのまま放っておくこともあるかもしれません。

しかし、重大な病気を見逃すことのないよう、以下の受診の目安を把握しておきましょう。

 ・血痰が大量に出た

 ・血痰が繰り返し何度も出ている

 ・風邪などで一時的に出たと思っていた血痰が、ずっと続いている

血痰の量や回数が増えてきたり、血痰と同時に発熱や息苦しさが続いている場合は、早めに呼吸器内科を受診して原因を調べましょう。

受診の際に、出血量や症状が出ている期間も伝えられるよう、記録を残しておくのもおすすめです。

5.何科を受診したらいいのか


血痰が出る原因となる病気は、肺など呼吸器にかかわる部分であることが多いため、まずは呼吸器内科を受診しましょう。

近くに呼吸器内科がなければ、内科か耳鼻咽喉科を受診してください。

ただし、大量に血痰が出た場合は窒息の恐れもあるため、すぐに救急外来を受診してください。

6.呼吸器内科で行う検査


血痰がある時に呼吸器内科で行われる検査には、以下のようなものがあります。それぞれの検査方法や目的を知っておきましょう。

6-1.喀痰検査

痰を採取して行う検査です。

喀痰検査には、喀痰細菌検査と喀痰細胞診があります。喀痰細菌検査は呼吸器疾患を引き起こす細菌やウイルスの有無、喀痰細胞診はがん細胞の有無を確認することができます。

6-2.血液検査

血液を採取して分析することで、炎症や感染症の有無などを調べることができます。

6-3.胸部画像検査

エックス線やCTで胸部の写真を撮影し、肺の炎症や呼吸器疾患の有無を確認します。

7.おわりに

血痰は、風邪などで一時的に出ることもあれば、肺がんなど重篤な病気のサインとして出ることもあります。

血痰の量や回数が少なくても、「何かおかしい」「いつもと違う」と不安に感じる時には、念のため呼吸器内科を受診して、原因を調べておきましょう。

特に喫煙者は、肺がんのリスクが高いため注意してください。血痰は、進行した肺がんの症状のひとつです。

肺がんや肺結核の初期症状は風邪とよく似ているため、気づいた時には進行していることはよくあります。咳が2週間以上続いていて、痰や血痰、発熱もあるなら、早めに呼吸器内科で検査を受けてください。