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喘息の重積発作を防ぐために学校生活でできること

喘息のある中高生にとって、体育や部活動は「やめておいたほうがいいのかな」と不安に思うことがあるかもしれません。

ですが、喘息があっても、体調に気をつけながら運動を楽しんでいる子どもはたくさんいます。

この記事では、喘息のある中高生本人と保護者の方に向けて、運動前後の注意点や、学校や部活動で共有しておきたいことを解説します。

1. 喘息の重積発作と運動


重積発作(じゅうせきほっさ)とは、吸入薬などの通常の発作治療を行っても症状が改善せず、重篤な発作が続く状態のことです。

数時間にわたって初期治療が効かない場合も含まれ、呼吸状態が悪化する可能性があるため、医療機関での対応が必要です。

1-1. 喘息発作の症状

喘息では、空気の通り道である気道に炎症が起こります。その結果、気道が狭くなり、息がしにくくなります。主な症状は、咳、ゼーゼー・ヒューヒューという音(喘鳴:ぜんめい)、胸の苦しさ、息切れなどです。

喘息の発作が起こると、話すのがつらくなったり、横になれないほど苦しくなったりすることもあります。

下記の症状が出た場合は、ためらわずすぐに119番へ連絡してください。

・唇や爪・指先が青紫色になる(チアノーゼ)
・意識がぼんやりする
・話せないほど呼吸が苦しい

そのほかにも、吸入薬を使っても症状が改善しない場合は、受診を検討してください。

◆「気管支喘息の症状とは?」について>>

【参考情報】『Status Asthmaticus』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/status-asthmaticus

1-2. 運動誘発性喘息

運動誘発性喘息とは、運動中や運動後に、咳、ゼーゼーする音、息切れ、胸の苦しさなどが出る状態です。

運動は体に大切なものですが、喘息のコントロールが十分でないときは、運動がきっかけで症状が出やすくなってしまう場合もあります。

次のような場面では普段よりも注意が必要です。

・冬の長距離走
・花粉、黄砂、PM2.5が多い日の屋外練習
・ホコリの多い体育館
・塩素のにおいが強いプール

中高生の場合、「少し苦しいけど、みんなに迷惑をかけたくない」と我慢してしまうこともあるかもしれません。

だからこそ、本人も周りの大人も、早めに気づける準備をしておくことが大切です。

◆「喘息患者は安静にしないといけないの?」について>>

1-3. 喘息のコントロール

「咳だけだから大丈夫」「胸の辺りの違和感は走ったせい」と考えて、本人も保護者も、風邪や体力不足だと思い込んでしまうケースもあるかもしれません。

ただし、運動後の咳が長引いたり、部活動のあとに毎回強い疲れが残る、以前より吸入薬を使う回数が増えているといった変化が続く場合は、喘息がうまくコントロールできていないサインかもしれません。

「根性で乗り切る」よりも、早めに体の状態を確認することが大切です。

【参考情報】『ぜん息の自己管理』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/kodomonozensoku/jikokanri.html

【参考情報】『Asthma』National Heart, Lung, and Blood Institute (NIH)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma

2. 喘息の重積発作を防ぐために運動前にできる予防


喘息があっても、すぐに運動をすべてやめてしまう必要はありません。

医師と相談しながら、運動前の準備・吸入薬の持ち歩き・練習場所の調整を組み合わせることで、安全に活動しやすくなります。

【吸入薬とは、気道へ直接薬を届けて喘息の症状や炎症を改善・予防する薬のこと】

2-1. 喘息の吸入薬の用法を守る

喘息の治療は、人によって内容が違います。発作が出たときに使う薬、毎日続ける薬、運動前に使う薬など、種類も使い方もさまざまです。

自分の判断で吸入回数を増やすのは避け、主治医に「運動前に使う必要があるか」「発作のときは何回まで使ってよいか」「使ってもよくならないときはどうするか」を具体的に確認しておきましょう。

「なんとなく使う」のではなく、決められた方法で使えるようにしておくことが大切です。

【参考情報】『Treatment and Action Plan』National Institutes of Health
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma/treatment-action-plan

◆「主治医との協力が大切!二人三脚の喘息治療とは」について>>

2-2. 気道への刺激を減らす

運動時にいきなり全力で走ると、気道が刺激を受けやすくなります。軽いジョギングやストレッチから始め、少しずつ体を慣らすのがおすすめです。

練習後もすぐに止まらず、呼吸を整える時間をつくることで、運動後の症状も出にくくなります。

部活動では、顧問の先生に「最初の数分はゆっくり始めたい」「息苦しい日は軽い運動にとどめたい」などと伝えておくとよいでしょう。周りの理解があるだけで、本人も無理をしすぎずにすみます。

2-3. 環境への対策


喘息の発作は、運動だけでなく、花粉・ホコリ・冷たい空気などの環境がきっかけになることもあります。

屋外練習の前には、花粉情報・黄砂・PM2.5・気温差を確認しておきましょう。寒い日は、マスクやネックウォーマーをしたり、冷たい空気を直接吸い込まない工夫も効果的です。

体育館では、ホコリっぽい場所での準備運動を避け、換気や清掃の状態も確認できると安心です。

◆「花粉症で喘息が悪化する原因と対策」について>>

◆「咳がでる理由はPM2.5?症状と対策」について>>

3. 喘息を重積発作に悪化させないための判断


運動中に症状が出た場合は、無理を続けず、早めに休むことが大切です。

本人が体調の変化に気づき、周囲へ伝えられるようにしておくことで、医師の指示に沿った対応がしやすくなります。こうした備えは、喘息の重積発作を防ぐことにもつながります。

3-1. 運動を中止した方がよいサイン

次のような症状が出たら、無理に運動を続けないでください。

・咳が止まらず話すのも苦しい
・ゼーゼー、ヒューヒューする
・胸がしめつけられる
・息を吸うより、吐くほうがつらい
・顔色が悪く、ぼーっとする

こうした発作が起きたときは、座って落ち着き、発作用の吸入薬を使うことが基本です。使ってもよくならない場合や、強い息苦しさが続く場合は、早めの受診を検討してください。

【参考情報】『Asthma』National Health Service
https://www.nhs.uk/conditions/asthma/

3-2. 喘息の吸入薬の管理

喘息の吸入薬は、家にあるだけでは運動中の発作に対応できません。本人のバッグ・保健室・部室・遠征用ポーチなど、学校生活の流れに合わせて置き場所を決めておきましょう。

ただし、学校で吸入薬を使用する際は、学校ごとの対応方針や医師の指示、保護者の確認が必要になる場合があります。事前に学校へ相談し、安心して使用できるよう共有しておくことが大切です。

次の点まで確認しておくと、緊急時にも動きやすくなります。

・どこに吸入薬を保管するか
・本人が動けない場合、誰が取りに行くか
・遠征や合宿ではどこに置いておくか

発作時に「吸入薬はどこ?」と探す時間を減らすことが、安全管理のとても重要なポイントです。

3-3. 発作後の記録をする

発作が落ち着いたあとも、「治ったからこれで大丈夫」で終わらせないようにしましょう。

いつ・どこで・どの運動中に・どんな症状が出たか、吸入薬を何回使ったか、どれくらいで楽になったかを記録しておきましょう。

こうした記録は、主治医が治療内容や運動前の対策を見直すときにとても役立ちます。ピークフローを測っている場合は、数値の変化も一緒にメモしておくとよいでしょう。

◆「喘息患者が日常生活で気をつけること」について>>

【参考情報】『Asthma Action Plan』National Heart, Lung, and Blood Institute (NIH)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma/treatment-action-plan

4. 喘息の重積発作に備える安全管理


喘息をコントロールし、重積発作を防ぐには、本人と保護者だけで抱え込まないことが大切です。

学校・担任の先生・保健室・部活動の顧問や場合によっては外部コーチとも情報を共有し、「症状が出たときに迷わず動ける仕組み」をつくりましょう。

4-1. 学校生活管理指導表や個別対応計画を活用する

喘息のある生徒には、学校生活管理指導表や、医師の診断にもとづく配慮事項の書面が役立ちます。記載しておきたい内容には、たとえば次のようなものがあります。

・運動制限があるか
・強い運動を避けたほうがよい条件
・発作時に使う薬
・救急要請の目安
・遠征や合宿時の対応

書面にしておくと、担任が変わったときや顧問の先生が不在のときにも、迷わず対応しやすくなります。

当院では、喘息で当院へ定期通院を継続されている方の学校生活管理指導表は記載対応いたしますが、定期通院されていない方の記載は対応できません。また、喘息で定期通院されている方でも、食物アレルギーの項目への記載は対応できません。

【参考情報】『学校生活管理指導表』日本学校保健会
https://www.hokenkai.or.jp/publication/guidance.html

4-2. 安全に運動できる環境を整える

学校で喘息を管理するには、医療者や学校職員との連携や、発作のきっかけを減らす環境づくりが重要です。

部活動では、本人が症状を言い出しやすい雰囲気も必要です。「休む=さぼり」ではなく、「悪化を防ぐための判断」として、チーム全体で共有しておくとよいでしょう。

その日の体調に合わせて、記録係・ストレッチ・軽いメニューなど、参加の形を変える方法もあります。

【参考情報】『保育所や学校など集団生活のこと』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/kodomonozensoku/kyoiku.html

4-3.緊急連絡先リストを用意する

緊急時は、誰でも落ち着いて行動できるとは限りません。

保護者の連絡先・主治医やかかりつけ医・近くの医療機関・救急要請の基準をまとめたリストを、あらかじめ紙とスマホなどのメモの両方で用意しておくと安心です。

小さな備えが、いざというときの判断を助けてくれます。

【参考情報】『Managing Asthma in Schools』Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/school-health-conditions/chronic/asthma.html

5. 喘息の重積発作予防で保護者が知っておきたいこと


喘息の重積発作を予防するためには、家庭での準備も大切です。

普段から生活環境を整え、薬の残量や吸入薬の使い方を確認しておくことで、症状の悪化に早めに気づきやすくなります。

5-1.気道への刺激を減らすための家庭環境づくり

家庭では、ハウスダストやダニ・カビ・ペットの毛、たばこの煙や香りの強いスプレーなども、喘息のきっかけになることがあります。

運動部の子どもは、帰宅後の衣類に花粉や砂ぼこりがついていることもあるので、帰宅後はすぐに着替えるようにし、寝室に運動着を持ち込まない・寝具をこまめに洗うなど、続けやすい工夫から環境づくりを始めるとよいでしょう。

◆「喘息と掃除の関係は?子どものための環境対策と掃除のポイント」について>>

5-2.喘息薬の管理は定期的に

喘息の吸入薬は、必要なときに使えなければ意味がありません。残量・使用期限・吸入器の汚れ・スペーサーの有無を、月1回ほど確認しておくと安心です。

また、吸入薬の使い方は、年齢が上がるにつれて自己流になりやすいものです。息を吐いてから吸う・吸入後に少し息を止める・スペーサーを正しく使うなど、薬の種類によって手順が違うものもあります。受診時や薬局で、実際に使い方を確認してもらいましょう。

喘息の治療では、症状が出たときに使う速効性の吸入薬と、毎日続けることで悪化を防ぐ吸入ステロイド薬を組み合わせることがあります。薬の種類は年齢や症状によって変わるため、必ず主治医の指示を基準にしてください。

【吸入ステロイド薬とは、気道の炎症を抑えて喘息発作を予防するために毎日使用する治療薬のこと】

自分で判断して勝手に薬をやめてしまってはいけません。

【参考情報】『薬を使わなくてもぜん息が悪くならなかったので、薬をやめてもいいでしょうか?』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/puberty/09_03_02.html

5-3.受診を考えたいサイン

次のような場合は、喘息の状態を見直すタイミングかもしれません。

・運動後の咳が増えた
・発作時の吸入薬を使う回数が増えた
・体育や部活動を休みがちになってきた
・吸入薬を使ってもよくなりにくい

「まだ大丈夫かな」と我慢し続けるよりも、早めに相談することで学校生活を安定して送りやすくなります。

部活動を続けたい、受験期に体調を崩したくない、遠征や合宿を控えているなど、生活面で気になっていることも診察時に相談してみるとよいでしょう。

6. おわりに

喘息の重積発作は、日頃の準備と周囲との連携によって、リスクを減らしていくことができます。

大切なのは、本人・保護者・学校・医療機関がお互いに情報を共有し、変化に早めに気づける体制を整えておくことです。

運動後の咳や息苦しさが気になるときは、我慢をせずに医療機関へ相談してみてください。

以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 息苦しさやゼーゼー・ヒューヒューという音がある
  • 季節の変わり目や天候の変化で症状が悪化する
  • 運動時に息切れや咳が出やすい
  • 夜間や早朝に咳や息苦しさで目が覚める
  • 以前「喘息かも」と言われたが、治療を中断している

当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?

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