喘息・COPD治療薬「シムビコート」の効果や特徴、注意点とは?

喘息やCOPDの治療薬であるシムビコートは、薬剤を吸い込んで症状のある気管支部分に直接薬剤を届ける吸入薬です。
現在は成人の使用を前提とされ、小児への適応は認められていません。
喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状にお悩みの方も既に使用中の方も、こちらでシムビコートの使用方法や作用、副作用などについてご確認ください。
1.シムビコートの特徴について
シムビコートは喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬で、気管支喘息や肺気腫、慢性気管支炎の症状緩和のために処方されます。
吸入ステロイド薬のブデソニドと、長時間作用性β2刺激薬のホルモテロールフマル酸塩の化合物の2種類が配合された合剤で、気道の炎症を抑え気管支を広げることで症状を緩和する作用があります。
シムビコートの形状はドライパウダーを吸い込む吸入剤で、タービュヘイラーと呼ばれる専用の吸入用器具を用いて使用します。
1回吸入量により2製品あり、処方される製品は効能や効果により異なります。患者さんの症状に合わせて医師の診察のもとで処方されます。
【参考情報】Mayo Clinic “Asthma”
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma/symptoms-causes/syc-20369653
2.シムビコートの使い方は?
シムビコートは基本的には毎日継続して使用することで効果が得られる薬剤ですが、発作出現時にも頓用薬として使用することができます。
ただし、発作出現時に使用する場合は必ず医師の指示を受けてください。
使用方法は、噴霧した薬剤を口から吸い込み気管に直接薬剤を届けます。
シムビコートはタービュヘイラーと呼ばれる専用の吸入用器具を用いて吸入します。
1.キャップを回して外し吸入器を縦に持つ
2.回転グリップを右へクルッと回す
3.回転グリップを左へカチッと音がするまで回す
4.息をはき切った状態でマウスピースをくわえ、大きく息と薬剤を吸い込む
5.マウスピースを離し、5秒以上息を止める
6.その後ゆっくりと息をはいて元の呼吸に戻す
7.マウスピースをティッシュペーパーなどで拭き取る
8.口の中、のどのうがいをする
【参考情報】独立行政法人 国立病院機構 福岡病院
https://fukuoka.hosp.go.jp/wp-content/uploads/2023/04/checklist05.pdf
3.シムビコートの副作用には何がある?
シムビコートを使用するうえで主な副作用も知っておくことが大切です。
主な副作用
・声のかすれ
・口腔カンジダ症
・蕁麻疹、発疹、浮腫
・気管支炎、上気道感染
・口やのどの痛み、不快感
・関節痛、筋肉のつっぱり
・動悸、不整脈
・頭痛、ふるえ
・高血糖
重篤な副作用(まれですが注意が必要)
・低カリウム血症
・ショック、アナフィラキシー
・呼吸困難、肺炎
【低カリウム血症・・・血液中のカリウムが低下する病気で、脱力や呼吸 困難感、不整脈などを認めます。】
副作用を防ぐ方法
・処方された用法用量を守り、過度の使用を避ける
・定期的に医師の診察を受け、症状や副作用の有無を報告する
・他の薬剤との相互作用に注意し、使用中の薬をすべて医師や薬剤師に伝える
・服用時異常がある場合はすぐに医療機関に相談する
4.使用上の注意点!
シムビコートは継続して使用することで効果の得られる予防薬としての使用法と、継続の定時使用に追加する形で発作時に使用する頓用薬としての使用方法(SMART療法)があります。
予防薬として使用する場合は1日2回、症状に応じて1〜2吸入するのが一般的ですが、使用量は医師の指示に従ってください。
1日に吸入できる回数は最大で8吸入までです。発作時の頓用薬として使用する場合は、1回の発作に対して1吸入からはじめ、数分で効果が得られない場合には1吸入ずつ追加で使用します。
頓用薬として使用する場合には1回の発作に対し6吸入までとされています。また、シムビコートを安全に使用するためには次のような注意点もあります。
特別な配慮が必要な患者
妊婦・授乳婦
妊娠中や授乳中の使用について、特に制限はありません。
小児
通常、シムビコートを低年齢の子どもに処方することはありません。
高齢者
高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、副作用が出やすくなる可能性があります。
持病のある方
結核性疾患、感染症、心疾患、糖尿病などの持病がある場合は、医師に必ず伝えてください。これらの疾患がある方はレルベアの使用により疾患が悪化する可能性もありますので、注意して使用する必要があります。
他の薬剤を服用している方
他の気管支拡張薬、不整脈薬等を使用している場合は相互作用に注意が必要です。使用中の薬剤(市販薬やサプリメントを含む)全てを医師や薬剤師に伝えてください。
保管方法
・直射日光と湿気を避けて室温(1〜30℃)で保管してください
・使用後は必ずキャップ(カバー)を閉めて保管してください
・吸入口を週に 1〜2 回は乾燥した布などで拭いてください(水洗い不可)
・子供の手の届かないところに保管してください
【参考情報】日本医薬情報センター
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00058179.pdf
5.シムビコートの薬価
シムビコートの薬価は以下のとおりです。
・シムビコートタービュヘイラー60吸入 2859.6円/キット(アストラゼネカ)
・シムビコートタービュヘイラー30吸入 1638.2円/キット(アストラゼネカ)
シムビコートにはジェネリック医薬品として「ブデホル吸入粉末剤」があります。
・ブデホル吸入粉末剤60吸入「MYL」1364.60円/キット(東亜薬品)
・ブデホル吸入粉末剤30吸入「MYL」758.10円/キット(東亜薬品)
・ブデホル吸入粉末剤60吸入「JG」1364.60円/キット(日本ジェネリック)
・ブデホル吸入粉末剤30吸入「JD」758.10円/キット(日本ジェネリック)
・ブデホル吸入粉末剤60吸入「ニプロ」1599.10円/キット(ニプロ)
・ブデホル吸入粉末剤30吸入「ニプロ」875.40円/キット(ニプロ)
※2024/11/20調べ
6.おわりに
喘息治療の際は多くの薬剤の中から症状や病態、副作用のリスク等を考慮して医師が適切に選択します。
効果が不十分な場合は、まず正しく使用できているのかを再確認し、レルベアが合わない場合には担当医に相談のうえで最適な治療法を見つけましょう。
なお、シムビコートと同成分を含む薬剤には次のようなものがあります。
・レルベア
・アドエア
・フルティフォーム
・アテキュラ
また、喘息やCOPDの治療においては、薬物療法だけでなく生活習慣の改善や環境整備も重要です。
禁煙、適度な運動、アレルゲン回避などの生活面に注意し、定期的に医療機関を受診して症状の変化や薬の効果を観察しながら治療を継続してください。