咳止め薬「メジコン」の効果や特徴、注意点は?
メジコンは鎮咳剤(ちんがいざい)と呼ばれる薬で、いわゆる咳止め薬です。
ドラックストアなどでも購入できるため、風邪をひいたときなどに服用したことがあるという方も多いのではないでしょうか。
病院では主に、風邪や気管支炎、肺炎などによる咳の症状を抑えたい時に処方される薬です。
この記事ではメジコンの特徴や使用方法、副作用、注意点などについて詳しく解説します。
1.咳のメカニズム
咳はホコリやウイルスなどの異物から、気道や肺などの呼吸器を守るために除去しようと行われる生体防御反応(いろいろな異物の侵入を防ぎ、取り除き、修復するために関連した機能)です。
この咳という動作は、脳の延髄(脳髄の下端、脊髄につながる部分)にある咳中枢という気管に指令が伝えられることによって生じます。この反応を「咳反射」、いわゆる「咳」と呼びます。
【参考情報】Mayo Clinic “Cough”
https://www.mayoclinic.org/symptoms/cough/basics/definition/sym-20050846
2.メジコンとは
鎮咳薬には「麻薬性」と「非麻薬性」があります。
麻薬性鎮咳薬は咳を抑える作用が強いものの、量や服用機関によっては薬物依存や呼吸抑制などの副作用があります。小児や喘息の持病がある方などには使用できません。
メジコンは非麻薬性鎮咳薬であり、麻薬性に比べて副作用が少なく、小児含め幅広く使用できるのが特徴です。
【参考情報】『日本内科学会雑誌第110巻第6号』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/6/110_1063/_pdf
メジコンには、「デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物」という有効成分が配合されています。
この成分が延髄にある咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制します。
メジコンは感冒(風邪)、気管支炎、気管支拡張症、肺炎、上気道炎など、つらい咳症状がある患者さんに処方されます。
また、メジコンの剤形には「錠剤」「散剤(粉薬)」「液剤(シロップ)」があります。
患者さんの年齢や咳症状の激しさ、喉の痛みの有無などで、内服しやすい薬剤の形状を選択することができます。
3.メジコンの使い方
メジコンは医師の処方の指示を守り、以下の手順で服用してください
(1)錠剤
成人は1回1~2錠を1日1~4回に分けて、水か白湯で内服してください。
(2)散剤(粉薬)
成人は0.15~0.3gを1日1~4回に分けて、水か白湯で内服してください。
(3)液剤(シロップ)
3ヶ月~7歳は3~8ml、8~14歳は9~16ml、成人は18~24mlを、1日1~4回に分けて内服してください。
4.メジコンの副作用
メジコンを内服すると、以下の様な副作用が出現する場合があります。
・眠気(車両の運転や高所作業・危険な作業はしないでください)
・頭痛
・めまい
・悪心、嘔吐
・便秘
・発疹
・腹痛
・不眠
・食欲不振
・口渇
これらは一般的な副作用ですが、出現には個人差があります。服用後に、いつもと様子が違うときは医師に相談してください。
また、ごく稀にショック、アナフィラキシー、呼吸困難、蕁麻疹などの重大な副作用症状が現れる場合があります。その際はただちに内服を中止し、医師に相談してください。
5.使用上の注意
メジコンは比較的副作用が少ない薬ですが、次のような場合は注意が必要です。
また、副作用のリスクを避けるためには、用法・容量を守って服用することも大切です。
(1)妊娠されている方
メジコンは、通常、妊娠中でも服薬可能とされています。
(2)授乳されている方
メジコン内服の4時間後には半量以上が代謝され、メジコン自体が小児にも使うことができる薬のため授乳中にも使用可能だと言われています。
【参考情報】大分県母乳と薬剤研究会
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf
(3)小児
小児にはメジコン配合シロップやドライシロップが処方されます。
(4)高齢者
生理機能が低下している方は、医師の判断で薬を減量する場合があります。
ただし、自己判断で薬を減らすことはやめましょう。
過去に服用して副作用が出た場合などはお薬手帳にメモしておき、病院や薬局で相談してください。
6.メジコンの薬価
メジコンの薬価は次の通りです。
・メジコン錠15mg 5.70円
・メジコン散10% 18.70円
・メジコン配合シロップ 17.30円
メジコンの代わりとなるジェネリック医薬品は「デキストロメトルファン」です。
こちらの薬価は次の通りです。
・デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「トーワ」 5.70円
・デキストロメトルファン臭化水素酸塩散10%「トーワ」 6.90円
※メジコン配合シロップにはジェネリックはありません。
7.おわりに
メジコンは咳中枢に直接作用して咳を抑える、非麻薬性の鎮咳薬です。
比較的副作用が少なく、小児などにも幅広く使えるのが特徴です。
しかし、人によっては眠気などの副作用が強く出る場合もありますので、過去にメジコンで副作用が出て心配な方は医師や薬剤師に相談してください。
咳が続くと体力を消耗したり、眠れなかったり、日常生活に支障をきたす場合があります。
つらい咳症状を抑えるために効果的なメジコンですが、使用する場合は必ず用法・容量を守りましょう。
また、風邪だと思って放置していたら、喘息などの呼吸器疾患が隠れていたということもあります。
市販薬では一時的に咳を抑えることはできても、喘息などの根本的な治療はできません。
咳が2週間以上続いている方は、まずは一度呼吸器内科を受診しましょう。