咳エチケットが必要な理由は?正しい咳エチケットの方法を紹介

「咳エチケット」という言葉を聞いたことがある人も多いかもしれません。

しかし、その理由や正しい方法を知っていますか?

咳エチケットとは、周囲に感染症を広げない予防策であり、病気の感染を気にする人への配慮を目的としたマナーです。

今回の記事では、咳エチケットが必要な理由と正しい咳エチケットの方法を紹介します。

ぜひ、最後までお読みください。

1.咳エチケットが必要な理由

咳エチケットは、周囲に飛沫が飛び散らないよう配慮し、感染症を他人にうつさないために行います。

咳エチケットが必要とされる理由を解説します。

1-1.感染症の予防

ウイルスや細菌は「飛沫感染」「接触感染」で広がる場合がほとんどです。

そのため、正しい咳エチケットを行うことで、「飛沫」と「接触」を最小限にします。

電車や職場、学校などの人が集まるところで咳エチケットを行うことは、感染症を広げない効果が期待できます。

1-2.周囲の人への配慮

アレルギーや喘息など、咳が出る病気があります。

また、急に冷たい空気を吸ったときにも咳は出ます。

これらの咳は、人にうつす心配はありません。

しかし、感染症が流行している時期は、周囲が咳に敏感になっているのでマナーとして、咳エチケットを行いましょう。

2.咳エチケットの方法

咳エチケットは正しい方法で行うことで効果があります。

咳エチケットの正しい方法について紹介します。

2-1.マスクを着用する

マスクは、自分にあったサイズや形の製品を選びましょう。

マスクサイズの選び方には、以下のような方法があります。

1.親指と人差し指でL字を作ります
2.そのまま親指を耳の一番高い付け根に当てます
3.人差し指の先を鼻の付け根から1㎝下に当てます
4.人差し指から親指までの長さでマスクサイズの目安が決まります
5.以下の目安を参考にマスクのサイズを選びましょう

約11cm以下:子供用
約10.5~12.5cm:小さめ
約12~14.5cm:ふつう
約14cm以上:大きめ

マスクのサイズは、メーカーによって若干の差がありますが、マスク購入の際に参考にしてください。

マスクを装着するときのポイントは、以下のようなところに注意し装着します。

・隙間ができないように顔にフィットさせる
・ノーズワイヤーがあるものはしっかり鼻の形に合わせる
・プリーツ型はプリーツを広げ、鼻からあごまでしっかり覆う

不織布マスクは、1日使ったら破棄します。

マスクの外側には、ウイルスが付着している危険性がありますので、表面に触れないように外して捨てます。

2-2.咳が出そうになったら口を覆う

マスクをしていないときに咳やくしゃみが出そうになったら、ティッシュやハンカチで口を覆い、しぶきが飛ばないように配慮しましょう。

使ったティッシュはすぐにフタ付きのゴミ箱に捨て、ハンカチはなるべく早く洗濯してください。

ティッシュやハンカチがないときに、とっさに手で口や鼻を覆う場合がありますが、手に飛沫が付着するのでやめましょう。

ティッシュやハンカチがないときは服の袖の内側などで口を覆います。

口を覆うのに袖を使った服は、なるべく早く洗濯しましょう。

【参考情報】『咳エチケット』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html

3.咳で広がる主な呼吸器感染症

感染症にかかった人の咳やくしゃみで広がる病気を紹介します。

3-1.風邪

風邪は、ウイルスによる上気道の感染です。

症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱などの症状があらわれます。

特効薬はなく、基本的な治療は対症療法になります。

3-2.インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染により起こる感染症です。

症状は、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感といった全身症状が急激にあらわれます。

抗インフルエンザ薬の服用と対症療法で治療します。

◆「咳を伴うウイルス感染症の種類と具体的な対処法」>>

3-3.新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症は、「COVID-19」とも呼ばれ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染することで起こる感染症です。

症状は、咳やのどの痛みなどの呼吸器症状、高熱、下痢、味覚障害など、さまざまな症状があらわれます。

現在は、治療薬も開発されており、対症療法と合わせて治療をしていきます。

◆「新型コロナの咳の特徴や対処法、受診目安について解説」>>

3-4.RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することで起こる感染症です。

症状は、発熱や鼻水、咳などが中心です。

生後1歳までに半数以上が感染し、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するとされています。

1歳以下でRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎や肺炎といった重篤な症状を引き起こすのが特徴です。

特効薬はなく、対症療法を行います。

3-5.百日咳

百日咳は百日咳菌による感染症です。

重症化しやすく、6カ月未満の乳児が感染すると呼吸不全を起こすことがあります。

症状は、普段の風邪症状から始まり、徐々に咳がひどくなるのが特徴です。

立て続けに激しく咳込むため、嘔吐を伴う場合があります。

治療は、抗菌薬を使って治療します。

【参考情報】MayoClinic『whooping cough』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/whooping-cough/symptoms-causes/syc-20378973

3-6.肺結核

肺結核は、結核菌に感染することで起こる感染症です。

結核菌は感染したからといって必ず発症するわけではなく、発症しなければ他人に感染させることはありません。

発症した場合の主な症状は、咳やたん、発熱、倦怠感、体重減少、寝汗などです。

初期の場合、風邪と間違われやすく、放置すると病気が進行し、重症化する可能性があります。

治療は、数種類の抗結核菌薬を内服し治療します。

【参考情報】MayoClinic『Tuberculosis』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/tuberculosis/symptoms-causes/syc-20351250

4.咳が出る病気の人・咳エチケットができない人にも配慮を

咳をしているからと言って必ずしも他人に感染させるわけではなく、他人にうつらない病気もあります。

また、さまざまな事情があり、咳エチケットができない人がいることも理解しておきましょう。

4-1.咳が出ても感染しない病気

以下のような病気は、咳が出ても他人に感染しない病気です。

喘息
咳喘息
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
アトピー咳嗽

咳が出ていると周囲からの視線が気になりますが、これらの病気の人は、他人にうつすことはありません。

◆「喘息について」>>

◆「咳喘息とはどんな病気?咳が止まらなくなる原因と治し方」>>

◆「COPDについて」>>

4-2.マスクがつけられない理由

疾患によりマスクが付けられない人もいます。

身体障害や知的障害、精神障害(発達障害を含む)のある方の中には、障害の特性によって、マスクの着用ができない場合があります。

そのような事情を抱えている人たちもいることを理解しておきましょう。

【参考情報】『マスク等の着用が困難な状態にある方への理解について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14297.html

5.おわりに

咳エチケットは、感染症を拡大させないためのマナーです。

感染症が流行している時期は、特に意識して行いましょう。

同時に、手洗いやうがい、予防接種なども行い、感染症を予防しましょう。