新型コロナの咳の特徴や対処法、受診目安について解説

新型コロナウイルス感染症の症状の1つに「咳」があります。
少しでも咳が出ると「コロナに感染したのでは?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、新型コロナウイルス感染症の原因や咳が出た時の対処法、病院を受診する目安について詳しく解説します。
咳が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.新型コロナウイルス感染症とはどんな病気か


新型コロナウイルス感染症は、コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染して発症する病気です。咳や発熱、倦怠感、のどの痛みやイガイガ・ムズムズした不快感などの症状を伴います。

主な感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる「飛沫感染(+エアロゾル感染)」と、ウイルスに汚染された箇所に触れる「接触感染」です。

【参考情報】『コロナウイルスとは』国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html

【参照文献】World Health Organization
https://www.who.int/health-topics/coronavirus#tab=tab_1

2.新型コロナの咳の症状


以下、新型コロナウイルス感染症の咳症状について詳しく説明します。

2-1 咳は出ることも出ないこともある

コロナの症状といえば咳が特徴だと思う人は多いでしょうが、感染しても咳は出ないことがあります。

発熱や倦怠感などの症状はあるものの咳は出ない人もいますし、中には無症状で、感染したことに気づいていないケースもあります。

国立感染症研究所によると、咳症状を伴う新型コロナウイルス感染症は全体の46.1%であり、約半数の患者には咳が「出ない」ことがわかります。

【参考文献】『IDWR 2020年第16号<注目すべき感染症> 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)』国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2487-idsc/idwr-topic/9596-i

2-2 痰が絡む咳・絡まない咳のどちらも出る

新型コロナウイルス感染症を含む呼吸器感染症の咳には、以下の2種類があります。

・乾性咳嗽:痰の絡まない乾いた咳。「コンコン」「コホコホ」「ケンケン」という音がす

・湿性咳嗽:痰の絡んだ湿った咳。「ゴホンゴホン」「ゲホゲホ」という濁った音がする

乾性咳嗽は、喘息や咳喘息など感染症以外の呼吸器疾患で出ることが多いのですが、肺炎でも出ることがあります。

湿性咳嗽は、ウイルスや細菌による呼吸器感染症で出ることが多いのですが、心不全など呼吸器以外の病気が原因で出ることもあります。

コロナの場合、痰の絡んだ咳と絡まない咳、どちらの症状もあり得ます。
そのため、咳だけでコロナと判断するのは難しいです。

2-3 後遺症として咳が残ることがある

新型コロナウイルスに感染した人の中には、以下のような後遺症がみられるとの報告があります。

・喘息
・咳
・息切れ
・倦怠感
・集中力の低下
・味覚障害
・脱毛

後遺症の咳はしつこく、中には1年以上続いている人もいます。

3.新型コロナの検査と治療


この章では、新型コロナウイルス感染症を特定する検査と治療について解説します。

3-1 検査

新型コロナの検査は、自宅でもできますし、医療機関で受けることもできます。

自宅で検査をする際は、検査キットを購入します。
購入時の注意点として、国が承認した「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」の抗原検査キットを選ぶ必要があります。
「研究用」の検査キットは国が承認していないので注意しましょう。

【参考情報】『新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27779.html

病院では主に、鼻の奥に専用の綿棒を入れて鼻粘膜を採取するPCR法(新型コロナPCR検査キット)が行われます。
ただし、いきなり受診しても検査できないことがあるため、事前に問い合わせしておくと安心です。

3-2 治療

軽症であれば、特に治療を受けなくても、自宅で安静にしていれば症状は改善していきます。

咳が強いなら咳止め薬を使うなど、症状が辛い時には対症療法が行われます。
重症化リスクの高い人(高齢や持病があるなど)は、ラゲブリオなど抗ウイルス剤の使用も検討されます。

4.新型コロナかも?咳の対処法


軽症で咳が出ている場合に、自宅でできる具体的な対処法を紹介します。

4-1 市販の咳止め薬を使う

咳が激しくてつらい時は、市販の咳止め薬の使用も検討しましょう。

例えば、「デキストロメトルファン(メジコン®))」などの有効成分が配合された薬です。

ただし、年齢や持病によっては服用できないこともあるため、薬剤師に相談してから購入しましょう。

4-2 痰が絡んでいるなら出す

痰が絡んでいるのが気になるなら、去痰薬を使用しましょう。

例えば、「カルボシステイン」「ブロムヘキシン塩酸塩」「エチルシステイン塩酸塩」などの有効成分が配合された薬です。

痰の排出を促すには、以下の3つの方法も効果的です。

・小まめに水分を補給する
・加湿器などで部屋を加湿する
・ゆっくり息を吸った後、「ハッ、ハッ」と力強く数回に分けて息を吐く(ハフィング)

去痰薬の使用に加え、これらの方法を実践することで、痰を吐き出しましょう。

4-3 ハチミツの摂取

ハチミツには抗酸化作用があり、喉の保湿や痛みを和らげる効果があります。
ハチミツ入りのホットドリンクを夜寝る前に飲むと、夜間の咳が和らぐでしょう。

【参考情報】『Honey for acute cough in children』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25536086

ただし、1歳未満の乳児は、ハチミツによる乳児ボツリヌス症の危険があるため、絶対に与えないでください。

【参考情報】『ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html

5.新型コロナかも?病院を受診する目安


新型コロナでは?と思った際に病院を受診する目安についてお伝えします。

ご自身の症状と照らし合わせながら、受診の必要性について検討してください。

5-1 いますぐ受診してほしい場合

以下の症状があれば、すぐに病院を受診しましょう。

・呼吸が苦しくて「動けない」「眠れない」
・顔や唇の色が青い
・肩で息をしている
・ぐったりしている

これらの症状は呼吸困難のサインです。
すぐに適切な治療が必要なので、救急で病院を受診してください。

5-2 すぐではなくても受診してほしい場合

緊急性は低いものの、以下に当てはまるなら、一度病院を受診した方がよいでしょう。

・咳や発熱、息苦しさ、倦怠感などの症状が強い
・咳や発熱、息苦しさ、倦怠感などの症状が4日以上続いている

このような場合、後に重症化するリスクが高いです。
重症化すると、症状がつらい上に治療が長引くため、早めの対処がカギとなります。

5-3 コロナでない可能性は高いが、受診してほしい場合

熱はないが、咳や息苦しさが2週間以上続いているなら、喘息や咳喘息などコロナ以外の呼吸器疾患にかかっている可能性があります。

喘息や咳喘息の咳は、市販薬では治まりません。
それどころか、かえって悪化する恐れもあります。

2週間以上咳が続いているなら、呼吸器内科を受診して咳の原因を調べ、自分に合った薬を処方してもらいましょう。

◆当院での喘息治療について≫>>

6.おわりに

咳は、新型コロナウイルス感染症の代表的な症状の1つです。
ただし、咳だけでコロナかどうかの判断はできません。

コロナであってもなくても、「咳が激しくて夜も眠れない」「持病などの理由でコロナの重症化リスクが高い」「咳が2週間以上続いている」のであれば、病院を受診しましょう。