咳を伴うウイルス感染症の種類と具体的な対処法

この記事では、ウイルス感染で咳が出る病気について解説します。

長引く咳の原因がウイルスであった場合、適切に対処しなければ重症化する恐れもあります。また、対策についてもお伝えするので、ぜひ最後までお読みください。

1.ウイルスとは何か


この章では、ウイルスの基礎知識について解説します。

1-1.ウイルスとは

ウイルスとは細菌と同じように感染症の原因になる生物のことです。

風邪の原因となる代表的なウイルスは、以下3つです。

・インフルエンザウイルス
・新型コロナウイルス
・アデノウイルス

1-2.ウイルスはどのように感染するか

ウイルスは、人の体内に侵入して増殖することで感染します。

感染経路は、以下の3つです。

・飛沫感染
・空気感染
・接触感染

飛沫感染とは、ウイルス感染者の咳やくしゃみで飛び散ったウイルスを吸い込み感染することです。

一方の空気感染とは空気中に長時間漂っているウイルスを吸い込み感染することです。どちらも鼻や喉の粘膜から侵入して感染に至ります。

接触感染とは、物を介して感染することです。咳やくしゃみでウイルスが付着し、その手で触れたドアノブなどに非感染者が触れることで、感染拡大します。

1-3.ウイルスと細菌の違い

ウイルスは遺伝子とタンパク質の殻だけという単純な構造であり、大きさも細菌に比べて0,5μm未満と小さいのが特徴です。

細菌は自ら増殖能力がある一方、ウイルスは単体では増殖できません。そのため、ヒトや動物の細胞(宿主)に侵入して増殖します。風邪や気管支炎などはウイルスや細菌の両方が原因で発症します。

2.ウイルスに感染して咳が出る病気


前章でウイルスの基礎知識について押さえたので、次にウイルスに感染して咳が出る具体的な病気について紹介します。

2-1. インフルエンザ

インフルエンザとはインフルエンザウイルスを病原とする気道感染症の一種で、咳や筋肉痛などの症状が現れます。

とくに免疫力の弱い乳児や高齢者で重症化しやすく、毎年流行することから感染症対策が重要になってきます。

【参考情報】Mayo Clinic 『Influenza』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/flu/symptoms-causes/syc-20351719

2-2. RSウイルス感染症

RSウイルス感染症とは、RSウイルスに感染することで発症する呼吸器感染症の一種です。

生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の小児が1度は感染すると言われています。
最近は、高齢者における感染症としても、影響が大きいことが指摘されています。

発熱や咳・鼻水などの症状が現れ、重症化すると細気管支炎・肺炎などの呼吸器症状になるため注意が必要です。

【参考情報】『RSウイルス感染症、手足口病について』北九州市
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/ho-huku/334_00025.html

【参考情報】Mayo Clinic『 Respiratory syncytial virus(RSV)』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/respiratory-syncytial-virus/symptoms-causes/syc-20353098

2-3.新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症は、コロナウイルスに感染することで発症します。

感染経路は飛沫・接触感染であり、高熱や咳などの症状が現れます。
後遺症で咳が続く方も多く、中には喘息を発症する方もおられます。

【参考情報】WHO『Coronavirus disease(COVID-19)』
https://www.who.int/health-topics/coronavirus#tab=tab_1

◆『新型コロナの咳の特徴や対処法、受診目安について解説』>>

2-4.ヒトメタニューモウイルス感染症

ヒトメタニューモウイルス感染症とは、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症の一種です。
毎年3〜4月をピークに年齢は関係なく流行し、咳やゼーゼー・ヒーヒーという呼吸症状がが特徴です。

2-5.アデノウイルス感染症

アデノウイルス感染症とは、アデノウイルスに感染することで発症する感染症です。
感染する体の部位により、症状が異なるのが特徴です。

例えば、のどの痛みなら「咽頭結膜熱(プール熱)や呼吸器感染症」、嘔吐や下痢なら「急性胃腸炎」などがあります。

3.ウイルス感染を予防する方法


毎年のように流行するウイルス感染症ですが、感染症対策をするかしないかで予防率が変わります。

では、具体的な予防方法をお伝えします。

3-1.手洗い

接触感染を予防するなら手洗いが有効です。

ドアノブなど日常生活の様々な場所で人は間接的に接触をしています。
ウイルスは物を介して感染するため自宅にウイルスを持ち込まないためにも帰宅後は手洗いは欠かせません。

3-2.マスク着用

飛沫・空気感染を予防するならマスクの着用が有効です。

飛沫粒子にはウイルスとともに水分も含まれており、その大きさはマスクの目のよりも大きいからです。
とくに電車や屋内イベント会場など人が密集する場所に行くなら、マスクを着用すると感染率を下げられます。

3-3.部屋の換気

部屋の換気も飛沫・空気感染効果があります。
なぜならウイルスは非常に軽いため、長時間空気中を漂っているからです。とくに屋内は空気が停滞するため、吸い込みやすいでしょう。

換気のポイントは2方向の窓を開けることです。入り口と出口を作ることで空気の流れを作れ、効率的に換気ができます。

3-4.咳エチケット

自分がウイルスに感染した場合、大切な家族や友人を守るためにも咳エチケットは必須です。とくに集団感染のリスクが高い学校や施設、電車の中などで行うと効果的です。

詳しい内容については、厚生労働省のホームページをご覧ください。

【参考情報】『咳エチケット』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html

◆『咳エチケットが必要な理由は?正しい咳エチケットの方法を紹介』>>

3-5.予防接種

流行時期に備えて予防接種をしておくことも有効です。

予防接種とは、毒性を弱めた病原体(ウイルスや細菌)を投与して抗体をつけておく予防法で、代表的なものだと、インフルエンザワクチンやコロナワクチン、RSウイルスワクチンがあります。

4.感染したかも?咳の対処法


この章では、感染の疑いがある場合の咳の対処法について3つお伝えします。

4-1.水分を摂る

水分を摂り、のどを潤すことで咳を和らげられます。
のどの乾燥は刺激となり、咳の原因になるからです。また、痰を軟らかくして排出を促すため、症状の改善を早める効果も期待できます。

仕事などで小まめに水分摂取ができない場合は、のど飴やトローチなどを使うのも有効です。

4-2.部屋を加湿する

水分摂取とともに、部屋を加湿しておくことも咳の対策になります。
また、空気が乾燥すると自ずとのども乾燥します。加湿器や濡らしたタオルを室内干ししておくと、加湿できるのでオススメです。

また、夜口呼吸の方はマスクを着用して寝ると乾燥を防げます。

4-3.ハチミツの摂取

子どもの咳を和らげるのにハチミツが効果的という研究もあります。
ハチミツには、のどの乾燥を防ぐとともに抗菌作用があるからです。

ただし、1歳未満は腸内環境が未成熟であるらめ、乳児ボツリヌス症に感染する観点からハチミツは禁止されています。

◆咳を止めたい!対処法や受診目安について>>

5.おわりに

以上、ウイルス感染症と咳の関係についてお伝えしました。

ウイルス感染症で咳が出るのは新型コロナウイルス感染症以外にも様々あると分かったのではないでしょうか。

また、咳で辛い場合はこの記事で解説した対処法がオススメです。
ただし、持病や基礎疾患などがあると重症化することもあるため、早めに病院を受診しておく方が良いでしょう。