喘息患者さんはストレスにも注意しよう

喘息は気道に炎症が起こることが原因で、咳や痰、息苦しさ、喘鳴(呼吸する時にゼーゼー、ヒューヒューという音がでる)、胸苦しさなどの症状があらわれる病気です。

さまざまな要因によって喘息の発作が引き起こされることが知られていますが、そのなかでもとくに注意が必要なのがストレスです。

ストレスが喘息の発作を誘発し、症状を悪化させることがあります。

この記事では、喘息患者さんがストレスに注意して過ごす方法、ストレスの管理の仕方について解説します。

1.ストレスについて


ストレスとは、からだや心に対する外部からの圧力や負荷のことをいいます。

日常生活において、仕事のプレッシャー、人間関係の問題、環境の変化などがストレスとなります。ストレスが原因となり、心身にさまざまな影響を及ぼすことが知られています。

ストレスは適度であれば人間の成長や適応を促しますが、過剰になると健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。

2.良いこともストレスに?


楽しいことや嬉しいことも、実はストレスの原因となることがあります。

例えば、結婚式の準備や待望の赤ちゃんの誕生といった出来事です。結婚や出産は喜びや幸福感を伴うものの、それと同時に大きな責任や生活の変化を伴います。

こうした良い出来事も、精神的な負担となり、ストレスを引き起こすといえるでしょう。

大きなイベントやライフスタイルの変化は、意識せずとも心身にストレスをもたらすことがあるのです。

3.どんなストレスが喘息を悪化させる?


ストレスは喘息の症状を悪化させる大きな要因の一つです。さまざまな種類のストレスが喘息に悪影響を及ぼすことが知られています。

◆『喘息について』>>
まず、精神的なストレスがあります。

例えば、仕事や学業のプレッシャー、人間関係の問題、経済的な心配、不安や抑うつなどです。

精神的ストレスは、交感神経を活発化させます。活発化した交感神経は、気道の筋肉を緊張させ収縮してしまうため、呼吸が困難になりやすくなります。

精神的ストレスは、日常生活の中で避けられないことが多いため、その影響を最小限に抑えるための対策が必要です。

次に、物理的ストレスがあります。

大気汚染や冷たい空気、たばこの煙(受動喫煙を含む)、アレルゲン(花粉、ペットの毛、ダニなど)、化粧品や香水の香りなどが代表的なものです。

これらの物理的ストレスは、気道を直接刺激し、炎症を悪化させる可能性があります。喘息患者さんの気道は炎症により敏感になっているため、これらの刺激が気道を狭くし、喘息の症状を引き起こします。

◆『咳が止まらないのはなぜ?アレルギーが原因かもしれません』>>

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さらに、生活習慣に関連するストレスも喘息に影響を与えます。睡眠不足や不規則な生活、過度の飲酒などです。

生活習慣の乱れは、健康状態に悪影響を与え、喘息の管理を難しくします。とくに睡眠不足は、体力を低下させ、免疫力を弱めるため、喘息の症状が出やすくなるため注意が必要です。

また、環境の変化もストレス要因となります。

気温や気圧の急激な変化、季節の変わり目は、喘息患者さんにとって大きな負担です。変化に気道が適応しきれず、炎症を引き起こす可能性があるでしょう。

◆『季節の変化と喘息発作の予防』>>

最後に、身体的ストレスも喘息の悪化につながります。

過度の運動や呼吸器感染症(風邪、インフルエンザなど)は、喘息患者さんの気道にとって大きなストレスです。

運動は適度であれば健康に良い影響を与えますが、過度になると逆効果です。

呼吸器感染症にかかると気道がさらに敏感になり、症状が悪化するため注意しましょう。

◆『注意が必要!喘息と運動のおはなし』>>

【参考情報】WHO “Asthma”
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/asthma

4.どんな仕組みでストレスが喘息を悪化させる?


ストレスが喘息を悪化させる仕組みには、いくつかのメカニズムがあります。

まず、挙げられるのは自律神経の乱れです。

ストレスがかかると自律神経が乱れやすくなり、これにより気道が収縮しやすくなります。

また、ストレスは免疫系にも影響を与えます。ストレスは体内の炎症反応を引き起こしやすくする可能性があるためです。

これにより、気道の炎症が悪化し、喘息の症状がひどくなるでしょう。

さらに、ストレスが原因で睡眠不足や不規則な食生活が続くと、喘息の管理が難しくなり、症状が悪化しやすくなると考えられます。

5.大人の喘息こそストレスに要注意


大人は、仕事やプライベートでの問題など、多くのストレス要因に直面しやすく、ひとりで抱えがちです。

仕事では、プロジェクトの締め切りや業務の重圧がストレスとなり、喘息の発作を引き起こすことがあります。

家庭でも、子育てや経済的な問題、夫婦間のトラブルなどのさまざまなことがストレスの原因となり簡単には解消できないのが特徴です。

とくに喘息患者さんの場合ではストレスに注意が必要で、ストレスを感じたら、まずは心身を休めることが大切です。

喘息の悪化を防ぐためにもストレスを適切に管理し、心身をリフレッシュする時間を持つことが重要といえるでしょう。

喘息の症状を安定させるために、適切な休息やリラクゼーションなどを積極的におこないましょう。

6.生活習慣病にも注意しよう


大人の喘息患者さんの場合は生活習慣病にも注意が必要です。

例えば、糖尿病や高血圧といった生活習慣病が悪化すると、喘息も悪化するリスクが高まります。これにはストレスが大きく関与していると言えます。

ストレスが生活習慣病の症状を悪化させると、同時に喘息の症状も悪化しやすくなるため、両方の管理が重要です。

適切な食生活、定期的な運動、十分な睡眠を心がけることで、生活習慣病の予防と喘息の管理を両立させることができます。

7.ストレス発散は自分に合う方法で


喘息患者さんにおすすめのストレス発散方法はさまざまですが、ご自身に合った方法を見つけることが重要です。人によってストレスの発散は異なります。

例えば、軽い運動としてウォーキングやヨガはリラックス効果があり、気道にも優しい方法です。

趣味に没頭することもいいでしょう。読書や音楽鑑賞など、ご自分が楽しめる時間を持つことが心身のリフレッシュにつながります。

深呼吸や瞑想は、自律神経を整え、リラクゼーションを促します。

いずれの方法も実践する際には、無理をしないことが大切です。運動する際はかかりつけの医師と相談しながら行うことも重要です。

8.おわりに

喘息患者さんにとって、ストレス管理は非常に重要です。

ストレスが喘息の症状を悪化させることを理解しておきましょう。

適切な方法でストレスを発散することが、喘息の症状の安定に繋がります。

また、生活習慣病の管理も忘れずに行い、心身ともに健やかに過ごしましょう。