季節の変化と喘息発作の予防
季節の変化とともに、体の不調や喘息発作が出やすいと感じたことはあるでしょうか。
暑さや寒さだけではなく、季節にはそれぞれの特徴があり、その変化が影響し、体の不調や喘息発作を引き起こすことがあります。
今回は季節の変化により、喘息発作がおこりやすくなる理由と予防方法について説明したいと思います。ある時期になると喘息発作が起きやすいなど、不調を感じている方はぜひ参考に読んでください。
1.秋は喘息発作がおこりやすい?
秋は喘息発作がおこりやすく、病院にかけこむ人が増える時期と言われています。秋に喘息発作がおこりやすい理由を知り、発作の予防につなげていきましょう。
1-1.急な気温の低下
喘息は気温や気圧の変化に影響されやすい病気です。
暑い夏が終わり、秋になると一気に肌寒くなり、とても寒暖差を感じる季節だと思います。
喘息は炎症により気道が過敏な状態です。気温の低下とともに冷えた空気が刺激となり、喘息発作がおきやすくなります。
また、秋は朝晩の寒暖差が大きいため、朝方に一気に気温が下がり、喘息発作がおきやすくなる場合もあります。
寒暖差による刺激をおさえることが喘息発作の予防になるため、以下のような対策をお試しください。
寒暖差に対する対策方法
・気温に合わせ調整できる服装にする
・体を冷やさないようにする
・マスクを着用し冷たい空気を防ぐ など
【参考情報】American Lung Association『5 Tips to Prevent Asthma Flare-ups This Fall』
https://www.lung.org/blog/fall-asthma-tips
1-2.ダニの死骸やフン
ダニはアトピー型の喘息をおこす原因のひとつです。
温度25℃前後、湿度70%前後の高温多湿の環境を好むダニは、夏に増殖のピークを迎えます。
増殖したダニは秋になるころに死骸となり、フンとともに空気中を舞っているため、吸い込んでしまうと喘息発作がおきやすくなります。
とくに子供の喘息はダニなどのアレルギーが原因となることが多いため、日頃から対策を行うようにしましょう。
ダニの死骸やフンの対策方法
・床は掃除機、拭き掃除でこまめにきれいにする
・寝具の表面はふとん用掃除機を使用する
・ふとん乾燥機などで50℃以上の熱を与える など
【参考情報】Center for Allergy & Asthma of Georgia『Autumm Asthma Advice for kids』
https://www.caageorgia.com/about-us/blog/2022/july/autumn-asthma-advice-for-kids
◆『咳が止まらないのはなぜ?アレルギーが原因かもしれません』>>
1-3.秋は風邪をひきやすい
夏の暑さで疲労がたまった状態で秋を迎えると、急な寒暖差で体への負担はさらに大きくなるものです。
空気が冷たくなるだけではなく、乾燥でウイルスが空気中に飛びやすく、疲労により免疫力が落ちていると風邪をひいてしまいます。
風邪などの呼吸器感染症にかかると、気道の炎症がひどくなり、喘息症状の悪化にも大きく影響します。
喘息発作をおこさないためにも、この時期は風邪などの呼吸器感染症をしっかり予防していくことが重要となります。
風邪予防のためにできること
・湿度を50~60%に保ちウイルスの浮遊を抑える(加湿器の使用や濡れたタオルを干す)
・手洗い、うがいを徹底する
・マスクを着用する
・こまめな水分補給で鼻やのどのうるおいを保つ
・生活習慣を整え免疫力の上がるものを食べる など
2.気温が急に変化。どんなとき?
寒暖差は炎症を起こした気道へ刺激となり喘息発作をおこす原因となります。急に気温が変化するときの天候の特徴を知り、寒暖差への対策をしていきましょう。
2-1.寒冷前線の通過後
冷たい空気(寒気)が暖かい空気(暖気)の下に入り込み、押し上げながら進んでいく前線を寒冷前線と呼びます。
寒冷前線は暖かい空気に向かって移動している、冷たい空気の先頭の部分になるため、寒冷前線の通過後は気温が急に下がります。
また、寒冷前線が押し上げた、暖かい空気が厚い雲になることで、雷が鳴ったり、短時間で激しい雨が降ったりと、天候が荒れるようにもなります。
天気予報などをしっかりチェックし、天候が不安定になりそうな時は、寒暖差に対応できる服装で体を冷やさないよう対策を行いましょう。
2ー2.雲のない夜の翌朝
熱した鍋は時間とともに冷たくなっていきますが、太陽で温められた地面にも同じ現象が起きています。これを「放射冷却」と呼びます。
夜間になると暖かい空気は空に向かって逃げていきます。
この時、雲があれば熱が逃げず冷えこみにくいのですが、雲が無いと跳ね返すものがなく、熱はどんどん逃げていき、冷えこむ原因となります。
空気の乾燥や風が弱いということも冷えこむ条件になるため、そのような天候の時は、朝方に体が冷えないよう服装や寝具、暖房などで調整するようにしましょう。
2-3.フェーン現象
海を渡った空気は水蒸気を吸収し、湿った空気となります。湿った空気は山をのぼりながら、雨や雪となり水分が無くなっていき、山を越えておりた時には高温の乾燥した空気(フェーン)に変わります。
山をのぼる時とおりた時で気温に大きな違いがある現象を「フェーン現象」と言います。
フェーン現象が起きた時は気温がとても高くなり、空気が乾燥しているため、鼻やのどの粘膜も乾燥し、気道が荒れて刺激を受けやすくなります。
マスクの着用がおすすめですが、暑い場合は加湿器やこまめな水分補給で鼻やのどの乾燥を防ぐようにしましょう。
【参考情報】『フェーン現象って何?』気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a3_04.html
3.梅雨はジメジメ。冬は乾燥。
季節の変化に伴い、湿度も変わっていきますが、最適な湿度は40~60%になります。
梅雨は、温度25℃前後、湿度70%前後の高温多湿を好むダニにとって、とても繁殖しやすい時期です。
ダニが繁殖するということは死骸やフンもその分多くなり、空気中に舞って吸い込んでしまうと喘息発作をおこしやすくなるため、しっかり対策しておきましょう。
梅雨の時期のダニ対策
・除湿機の使用
・こまめな掃除
・ふとん用掃除機の使用
・ふとん乾燥機の使用 など
梅雨とは反対に冬の乾燥した時期も喘息に影響があります。最適な湿度は40~60%ですが、40%を下回ると乾燥した状態となり、気道の粘膜も乾燥して荒れてしまいます。
荒れた気道は刺激を受けやすく、冷たい空気を吸い込むだけでも喘息発作をおこすことがあるため、最適な湿度を保つようにしましょう。
乾燥を予防する方法
・加湿器を使用する(お手入れはこまめに)
・濡れたタオルを干す
・こまめな水分補給
・マスクの着用 など
【参考情報】Asthma & Allegy Foundation of America『Weather Triggers Asthma』
https://aafa.org/asthma/asthma-triggers-causes/weather-triggers-asthma/
体温を保つことも喘息の発作が出ないようにするポイントです。外出時には薄手の羽織を着用しておくことで、体温調節が可能となります。また、室内で過ごすときはエアコンの温度に注意してください。室内と室外で温度差がつきすぎないようにしましょう。エアコンのフィルターにはほこりやカビが発生しやすいです。定期的な掃除をおこなってください。
4.おわりに
喘息は気温や気圧などの影響を受けやすい病気です。
また、過度なストレスが自律神経やホルモンバランスを崩し、喘息が誘発されることがあります。ストレスを溜め込まないことも、喘息をコントロールする上で重要になってきます。
天気予報に合わせ室温や湿度を調整することが喘息発作の予防になります。
継続した治療でコントロールすることはもちろんですが、季節の変化や特徴をしっかり意識し、症状の悪化を防いでいきましょう。