激しい咳で息が吸えない、息苦しい!原因と対処法を解説
息も吸えないくらい激しい咳が出て、息苦しくなることが多いなら、呼吸器系の病気にかかっている可能性があります。
この記事では、激しい咳や息苦しさの原因、関連する疾患と治療法、対処法について解説します。
ご自身や大切な方の健康を守るため、ぜひ参考にしてください。
1.息も吸えないほど激しい咳が出る病気とは
息も吸えないほど激しい咳が出て、さらに発熱や倦怠感など風邪のような症状がある場合は呼吸器感染症を疑います。あるいは、肺がんが進行している可能性もあります。
一方、熱がなく、咳が2週間以上続いている場合は、喘息など感染症以外の呼吸器疾患を疑います。
また、呼吸器疾患以外の原因、例えば誤嚥やストレス(過換気症候群)によっても激しい咳が現れることがあります。
2.激しい咳と息苦しさが現れる呼吸器感染症
激しい咳と息苦しさが現れる疾患のうち、考えられる感染症について説明します。
2-1.新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって引き起こされる感染症です。主な症状に発熱、咳、呼吸困難などがあり、重症化すると肺炎が引き起こされることがあります。
後遺症として、喘息や咳喘息になる場合があるので、感染後も注意が必要です。治療法は対症療法が中心であり、重症例では酸素療法や抗ウイルス薬による治療も行われます。
【参考情報】『コロナウイルスとは』国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html
◆『新型コロナの咳の特徴や対処法、受診目安について解説』>>
2-2.気管支炎・肺炎
細菌やウイルスが気管支まで入って炎症を起こすと気管支炎になります。さらに、感染が肺まで到達し、肺の組織が炎症を起こすと肺炎になります。
症状は、激しい咳や、息苦しさ、黄色〜緑色や鉄さび色の痰、38度以上の発熱などです。治療には抗菌薬が使われますが、軽症の場合は対症療法が主となります。
2-3.マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ・ニューモニエという病原体に感染することによって引き起こされる呼吸器感染症です。子どもに多い病気ですが、大人も感染することがあります。
症状は、発熱や全身のだるさ、頭痛、痰を伴わない咳などで、咳は熱が下がった後も3〜4週間続くことがあります。一部の患者さんは肺炎に進行し、重症化することもあるので注意が必要です。
治療には、抗菌薬を用います。
【参考情報】『マイコプラズマ肺炎に関するQ&A 平成23年12月作成、平成24年10月改訂』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou30/index.html
2-4.肺結核
肺が結核菌に感染して起こる病気です。主な症状は咳、痰、血痰、胸痛などの呼吸器の症状と、発熱、冷汗、だるさ、痩せるなどの全身症状です。
ゆっくりと進行する病気のため、早期発見が難しいこともありますが、咳が2週間以上続く場合は病気を疑い病院を受診しましょう。
抗菌薬の投与など、適切な治療で完治する病気ですが、早期の診断と治療が重要です。
【参考文献】Med Park Hospital
https://www.medparkhospital.com/en-US/disease-and-treatment/pulmonary-tuberculosis
2-5.その他
息も吸えないほど激しい咳が出る感染症として、以下の疾患も挙げられます。
・レジオネラ症
レジオネラ菌によって引き起こされる感染症で、一般的に肺炎の症状を伴います。
・オウム病
鳥類から人間へ感染する感染症で、インフルエンザの様な症状で、肺炎や肝炎などの合併症を引き起こすことがあります。
3.激しい咳と息苦しさが現れる呼吸器疾患
激しい咳と息苦しさが現れる、感染症以外の呼吸器疾患について説明します。
3-1.喘息
喘息は、激しい咳や喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)が特徴の病気です。気道が炎症により収縮して息苦しさが現れ、気道が狭くなる状態が続きます。
喘息の原因は、遺伝的な要素やアレルギー、気道の過敏性などです。また、喫煙や大気汚染なども原因となります。
3-2.咳喘息
咳喘息は、喘息のような喘鳴を伴わず、咳が長引くことを唯一の症状とする疾患です。 咳は痰を伴わないか、あるとしても少量です。
アレルギーの素因を持つ人に多い病気ですが、原因ははっきりとはわかっていません。治療をせずに放っておくと、約3割が喘息に移行するといわれています。
◆『咳喘息とはどんな病気?咳が止まらなくなる原因と治し方』>>
3-3.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
肺が炎症を起こし、肺の細胞が破壊される病気です。主な原因は、たばこの煙に長年さらされることです。
症状は咳、痰、運動時の息切れなどで、治療により病気の進行を抑えることが重要です。同時に、禁煙や呼吸リハビリテーションが推奨されます。
【参考情報】『慢性閉塞性肺疾患(COPD)』基礎知識環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/index.html
3-4.肺がん
気管支や肺胞の細胞が、がん化する病気です。原因はさまざまですが、その中でも一番多いのが喫煙です。
主な症状は咳、痰、胸痛、息切れ、体重減少などです。治療法は進行度によって異なりますが、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法などがあります。
4.突然の激しい咳や息苦しさへの対処法
息もできないほどの激しい咳や、突然息が苦しくなったときの一時的な対処法を紹介します。
4-1.楽な姿勢で体を休める
呼吸が楽にできる姿勢をとり、体を休めましょう。「座る」「横になる」など、自分に合った姿勢を選びましょう。
激しい咳が出て苦しい時は、まず気道を確保することが大切です。
うつ伏せや仰向けで寝ると気道を圧迫し、咳が出やすくなってしまいます。
また、鼻水や痰などの症状もある場合に仰向けで寝ると、のどに降りてきて余計に咳を誘発する場合もあります。
クッションなどを使って上半身が高くなるような姿勢にすると、少し咳が楽になるのでおすすめです。
4-2.鼻から息を吸い、ゆっくりと深呼吸をする
深呼吸は、一時的に症状を緩和する場合があります。鼻から息を吸い込み、ゆっくりと吐くことを、何度か繰り返してみてください。
4-3.温かい飲み物を飲む
温かい飲み物を摂ると気道が保湿され、咳の緩和に役立ちます。白湯にハチミツを加えたり、温かいお茶を飲んだりすると効果的です。
4-4.発作治療薬があれば使う
喘息などで発作治療薬を処方されている人は、医師の指示に従って適切に使用しましょう。いざというときに使えるように、薬は忘れずに持ち歩きましょう。
5.病院を受診する目安
激しい咳や息苦しい症状がある場合に、病院を受診する目安を解説します。
5-1.救急で受診してほしい場合
以下のような場合には、救急での受診が必要です。
・呼吸が苦しくて動けない、眠れない:直ちに救急での受診が必要です。
・顔や唇の色が青い:重篤な状態の可能性もあります。
・息を吸う時に胸が凹む(陥没呼吸):深刻な呼吸困難のサインです。
・犬の鳴き声のような「ケンケン」という呼吸音がする:呼吸がうまくできていない可能性があります。
・オットセイが吠えるような「オウッオウッ」という呼吸音がする:異常な呼吸音は深刻な状態かもしれないので、すぐに救急受診しましょう。
5-2.様子を見てもいい場合
以下のような場合は、咳が出ていても、少し様子をみてもいいでしょう。症状に変化がないか、注意はしましょう。
・時折咳は出るが、ぐっすり眠ることができる
咳があるものの、睡眠に支障がなく普段どおり眠れている場合は、しばらく様子をみましょう。
・咳や息苦しさはあるが、食欲があって元気
食欲が落ちずに元気に活動している場合は、一時的な症状である可能性があります。
5-3.呼吸器内科を受診してほしい場合
咳や息苦しさが2週間以上続いている場合は、呼吸器内科の受診を検討しましょう。喘息をはじめとした呼吸器疾患の可能性があります。
症状を放置すると疾患が進行し、治療が難しくなる場合があるため、早めの対応が肝心です。
6.おわりに
息も吸えないほどの咳や息苦しさがつらいときは、この記事で紹介した方法を試してみてください。それでも症状が改善しない場合は、病院を受診しましょう。
喘息や咳喘息、COPDなどの呼吸器疾患は、市販薬では効果が得られません。病院で自分に合った薬を処方してもらいましょう。