その喉の痛み 呼吸器内科の受診を検討しよう!

喉の痛みは風邪の初期症状の一つですが、放置すると重篤な病気に発展することもあります。
とくに喉の痛みが長引く場合や、発熱、咳、息苦しさなどの症状が伴う場合は、呼吸器内科の専門医を受診することが必要です。
早期の受診により、適切な診断と治療を受けることができ、症状の悪化を防ぐことができます。
この記事では、呼吸器内科で治療可能な喉の痛みの原因や検査、治療についてご説明します。
1.喉が痛くなる原因とは?
喉が痛みを感じる原因についてご紹介します。
1-1. ウイルス・細菌感染による喉の痛み
喉の痛みの最も一般的な原因は、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などのウイルス性または細菌性感染症です。
これらの病原体が喉の粘膜に侵入すると、からだは感染を排除しようとして炎症反応を起こします。
この炎症が、痛み、赤み、腫れ、ときには嚥下困難(飲み込むことが難しい状態)を引き起こします。感染による喉の痛みは通常、他の症状、たとえば発熱、鼻水、咳、全身の倦怠感と共に現れます。
1-2. 感染症以外の病気による喉の痛み
感染症だけが喉の痛みの原因ではありません。
たとえば、逆流性食道炎は、胃酸が食道を逆流し、最終的には喉まで達することで喉に炎症や痛みを引き起こすことがあります。同時に胸焼けや、食後喉に不快感を感じることが特徴です。
また、放射線治療を受けた方も、治療が直接喉に影響を与えることで喉の痛みを感じることがあります。
【参考文献】Mayo Clinic “Reflux esophagitis”
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/gerd/symptoms-causes/syc-20361940
1-3. そのほかの喉の痛み
喫煙や飲酒などの生活習慣は、喉の健康に悪影響を及ぼす典型的な例です。
タバコの煙に含まれる有害物質は、喉の粘膜を直接刺激し、炎症や喉の痛みを引き起こす可能性があります。
また、喫煙や過度の飲酒は喉の乾燥を引き起こし、さらに症状を悪化させ炎症を促進することがあります。
【参照文献】日気食会報,41(3),1990
『喫煙および飲酒の ヒト喉頭 に及ぼす影響についての 病理組織学的研究』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbes1950/41/3/41_3_169/_pdf
2.呼吸器内科が扱う喉の痛みとは
呼吸器内科では、主に呼吸器系の疾患から生じる喉の痛みを扱います。
風邪をはじめ、インフルエンザ、咽頭炎、気管支炎などの急性呼吸器疾患が原因の喉の痛みなどです。
また、気管支喘息や睡眠時無呼吸症候群のような慢性的な呼吸器疾患による喉の痛みや呼吸に関連する他の症状も診察可能です。
これらの症状には、長引く咳や痰、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、息苦しさやヒューヒュー、ゼーゼーという音、胸痛、血痰、いびきなどがあります。
3.呼吸器内科ではどんな検査をするのか
呼吸器内科で行われる検査にはさまざまな種類があり、患者さんの症状や病歴の必要に応じて行われます。
以下に、主に行われる検査についてご説明します。
3-1.画像検査
画像検査には、胸部X線検査と胸部CT検査があります。
胸部X線検査
最も基本的な画像診断方法の一つで、肺や気管、心臓の異常を探るのに用いられます。肺炎、肺がん、肺結核などの診断に役立ちます。
胸部CT検査
胸部の断層画像を詳細に得ることができ、X線検査では見つけにくい小さな異常も検出可能です。肺の病変、気管支の問題、さらには早期のがんの発見に至るまで、幅広い診断に使われます。
3-2.呼吸機能検査
呼吸機能の検査にはスパイロメトリー(肺活量測定)を用います。
息を吸い込んだり吐き出したりする際の空気の流れの速度や量を測定することが可能です。これにより、肺の容量や気道の狭窄度を確認し、喘息やCOPDなどの呼吸器疾患の診断に重要な情報を得ることができます。
3-3.血液検査
血液検査では、炎症マーカーや酸素運搬能力などを評価します。
炎症マーカー
体内の炎症の有無や程度を示します。肺炎や肺結核などの感染症、または自己免疫疾患の診断に役立ちます。
血中酸素濃度
肺が十分に酸素を体に供給しているかどうかを調べることができます。肺血栓塞栓症や慢性呼吸不全などの疾患の診断や管理に重要です。
4.治療
呼吸器内科で喉の痛みを伴う場合のある病気の主な治療についてご紹介します。
4-1. 風邪・ウイルス感染症
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症の治療では、主に症状の緩和が行われます。
感染症の原因であるウイルスには、直接的な治療法が限られているか、存在しない場合が多いためです。
安静にして十分な休息をとり、適切な水分補給を行うことが重要です。適切な水分補給は、脱水状態を防ぐために特に重要です。
また、炎症を抑える薬や解熱剤を使用することで、発熱、頭痛、筋肉痛といった症状の改善が図られます。
喉の痛みや咳に対しては、喉の痛みを和らげるうがい薬や、咳を抑えるための薬剤が処方される場合があります。
4-2.肺炎などの細菌感染症
肺炎などの細菌感染症の治療には抗菌薬が使用されます。患者さんの症状や細菌の種類に応じて適切な抗菌薬が処方され、感染の鎮静化が図られます。
たとえば、肺炎球菌による肺炎の場合、キノロン系やマクロライド系の抗菌薬が一般的に使用されます。処方された抗菌薬は指示された通りに、指示された期間全て服用しましょう。
4-3. 喘息
喘息の治療としては、吸入薬が一般的です。
急性の喘息発作には気管を広げるための気管拡張薬が使用され、慢性的な喘息には炎症を抑えるステロイド系薬が処方されます。
4-4. COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDの治療には禁煙指導や吸入薬を用いた治療が行われます。気管拡張薬やステロイド系薬が処方され、酸素療法やリハビリテーションも行われる場合があります。
4-5.肺がん
肺がんの治療には手術、化学療法、放射線療法などが行われます。治療法はがんの種類や進行度によって異なり、個々の患者さんに合わせた治療計画が立てられます。
5.おわりに
喉の痛みは多くの場合、風邪などの一般的な感染症によるものですが、呼吸器症状が伴う場合より専門的な治療が必要になることがあります。
呼吸器内科ではさまざまな専門的な検査を行い、喉の痛みの原因となる疾患を正確に診断します。これにより、適切な治療を受けることが可能です。
喉の痛みがあり呼吸器症状がある場合は、早めに呼吸器内科の受診を検討しましょう。