インフルエンザとはどんな病気?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症です。
感染すると発熱や咳など、つらい症状があらわれます。
一般的には数日で軽快しますが、まれに重症化し肺炎や脳症を発症する場合があります。
今回の記事では、インフルエンザとはどのような病気なのか、症状や特徴、検査、治療などを中心に解説します。
感染した場合の注意点も紹介しますので、インフルエンザ流行前に確認しておきましょう。
ぜひ、最後までお読みください。
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1.インフルエンザの症状・特徴
インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因で起こる感染症です。
以下のような症状があらわれます。
・38℃以上の高熱
・頭痛
・関節痛
・筋肉痛
・全身倦怠感
・のどの痛み
・鼻水や咳
風邪とは違い、全身性の症状があらわれ、急激に発症するのもインフルエンザの特徴です。
インフルエンザには、3つの型があり、主に流行するのはA型とB型の2つです。
インフルエンザの型は、毎年少しずつ変異を繰り返しています。
また、A型とB型はほぼ同時期に流行するため、1回のシーズンにA型とB型の2回インフルエンザにかかる場合があります。
【参考情報】『インフルエンザ基礎知識』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/file/dl/File01.pdf
1-1.A型インフルエンザ
A型インフルエンザは、数年から数十年ごとに世界的な大流行を起こすケースがあります。
歴史的に、1918年のスペイン風邪や1957年のアジアかぜが、大流行を起こしたインフルエンザの亜型ウイルスです。
一般的に季節性インフルエンザの流行時期は、例年11月~12月頃から流行が始まり、1~3月頃がピークです。
A型インフルエンザはシーズンの前半に流行します。
症状は、ほかのインフルエンザに比べると、A型は症状が急激に進行する傾向です。
初期症状は、寒気や喉の痛み、頭痛などがあらわれ、38℃以上の高熱が出ます。
感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
高齢者や小児、心疾患や呼吸器疾患などの基礎疾患がある方は、重症化しやすいため注意が必要です。
A型インフルエンザに感染するのは人だけではなく、人から動物へ、動物から人へと感染することがあります。
1-2.B型インフルエンザ
B型のインフルエンザは、A型とは違い、人と人の間でしか感染しません。
また、流行時期も冬の終わりごろから春先にかけて流行するのが特徴です。
感染してから1日~3日ほどの潜伏期間があり、A型と同様の症状があらわれます。
1-3.その他のインフルエンザ
季節性のインフルエンザ以外に、新型インフルエンザや鳥インフルエンザがあります。
<新型インフルエンザ>
動物同士で感染するインフルエンザウイルスが、動物の体内で変異し、人にも感染するようになったインフルエンザを、新型インフルエンザと呼びます。
季節性インフルエンザとは違い、新型インフルエンザは免疫を持っていない人がほとんどなので、世界的大流行を起こしやすいです。
最近では、2009年に大流行しました。
新型インフルエンザも、感染経路は飛沫感染と接触感染です。
症状も、季節性インフルエンザと同じ症状があらわれます。
<鳥インフルエンザ>
鳥インフルエンザは、通常人には感染しません。
しかし、感染した鳥に触れたり濃厚接触をしたりした場合、極めてまれに人に感染するケースがあります。
人が感染した場合、1日~10日の潜伏期間のあと、高熱や咳などの症状があらわれます。
急激に症状が進行し、全身の臓器に異常があらわれ、死亡する場合もあるのが鳥インフルエンザです。
2.インフルエンザの検査と治療
インフルエンザに感染した可能性がある場合の、受診科目や受診のタイミングについて紹介します。
2-1.受診する科目
持病があったり妊娠中の方がインフルエンザに感染した可能性がある場合、まずはかかりつけの病院に電話をして相談してください。
一般的には、以下の診療科の受診がいいでしょう。
・内科
・呼吸器内科
・耳鼻咽喉科
・小児科
内科や子どもの場合は小児科を受診するのが一般的です。
しかし、喘息やCOPDなど、呼吸器の基礎疾患がある場合は、呼吸器内科の受診をおすすめします。
また、中耳炎や扁桃炎の併発が考えられる場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
状況や症状に合わせて、診療科を選ぶと、治療がスムーズにできます。
2-2.受診の目安
インフルエンザの検査や治療を考えると、一般的に受診の目安は、発症後12時間から48時間以内が望ましいです。
理由は以下の2つがあります。
・正しい検査結果が出やすいタイミング
・治療効果が期待できるタイミング
まずひとつめに、インフルエンザの正確な診断には、適切な検査のタイミングがあります。
インフルエンザの検査は、迅速診断法でおこなわれる場合がほとんどです。
迅速検査法では、一般的に発症後12時間以上時間が経過してから検査する方が正しい結果が出やすいとされています。あまり早期に検査をしても、偽陰性(本当は陽性なのに陰性の結果が出てしまう)の確率が高まってしまいます。
ふたつめに、インフルエンザの治療で使う抗インフルエンザ薬の内服のタイミングです。
抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内の内服が推奨されています。
早期に内服することで、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
そのため、インフルエンザに感染した可能性がある場合は、発症後12時間~48時間以内を受診の目安としましょう。
2-3.インフルエンザの検査方法
インフルエンザの検査は、一般的に迅速検査法でおこなわれます。
鼻水や、細い綿棒で喉の奥の粘膜をぬぐい検体を採取して、検査します。
A型とB型のインフルエンザを同時に検査できるものがほとんどで、最近は新型コロナウイルスも同時に検査できる検査キットもあります。
検査をしてから、10分前後で結果が出ます。
2-4.インフルエンザの治療
インフルエンザは、2つの方法で治療をおこないます。
・抗インフルエンザ薬の服用
・対症療法
抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内に服用すると、体内でのウイルスの増殖を抑える効果が期待できます。
残念ながら発症から48時間以上が経過している場合、抗インフルエンザ薬を服用しても十分な効果が得られない可能性が高いです。
そのため、発症から時間が経っていると、インフルエンザが陽性であっても対症療法のみで治療をしていく場合があります。
主に使用される抗インフルエンザ薬は、以下のような薬があります。
・リレンザ®
・タミフル®
・イナビル®
・ゾフルーザ®
年齢や状況により処方する薬は医師が判断します。
抗インフルエンザ薬は、必ず用法用量を守り、医師や薬剤師の指示に従い服用しましょう。
対症療法は、現在あるつらい症状を和らげるための治療法です。
例えば、咳が出るなら鎮咳薬、痰が絡むなら去痰薬、熱が高いなら解熱剤などを使用します。
ただし、解熱剤の服用には注意が必要です。
ロキソプロフェンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)は、インフルエンザ脳症を引き起こす恐れがあります。
インフルエンザで解熱剤が必要な場合は、医師に処方してもらうか、アセトアミノフェン製剤を使用しましょう。
【参考情報】ClevelandClinic 『flu( Influenza)』
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/4335-influenza-flu
3.インフルエンザと診断されたら、注意する点
症状が落ち着いても、インフルエンザの感染力が残っているため、元気になってもすぐに外出するのは控えましょう。
3-1.自宅での注意点
インフルエンザで自宅療養する場合、以下のような点に注意しましょう。
処方された薬は、医師の指示に従い最後まで服用する
こまめな水分補給
消化の良い食事
部屋の湿度を50~60%に保つ
1日数回の部屋の換気
めったにないですが、まれにインフルエンザに感染した子どもが異常行動を起こすことが報告されています。
高層階からの転落や、飛び出しなどで事故につながるため、未成年者がインフルエンザと診断された場合は、ひとりにしないようにしましょう。
3-2.職場や学校へはいつからいける?
インフルエンザに感染した場合、学校において「学校保健安全法施行規則第 19 条」によって、出席停止期間が決められています。
発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日(幼児の場合3日)は出席停止期間です。
症状が軽快し元気になっても、登校することはできません。
職場については、それぞれの職場の規定に従ってください。
しかし、学校保健安全法と同様の期間が規定されている場合が多く、規定されていない場合はこの期間は出勤しない方が良いでしょう。
【参考情報】『学校におけるインフルエンザ出席停止期間』東京都
https://www.metro.ed.jp/miyake-h/assets/filelink/filelink-pdffile-5523.pdf
4. おわりに
インフルエンザは受診のタイミングによっては、検査をしても正しい結果が得られない場合があります。
適切なタイミングで受診し、抗インフルエンザ薬を服用することで、ウイルスの増殖を防げます。
インフルエンザに感染したら、水分・栄養を補給し、ゆっくり療養します。
呼吸器の基礎疾患がある方が、インフルエンザに罹患した可能性がある場合、早めに呼吸器内科に相談しましょう。