咳が止まらなくて人にうつるか心配…うつる?うつらない?

咳をしている人を見て「うつされたら嫌だな」と感じる人も多いでしょう。

また、咳をしている本人も、周囲の視線が気になったり、周囲にうつしたりしたらと思うと心配になりますよね。

普段、アレルギーや喘息などで咳が出やすい人もいれば、何かの感染症で咳が出る人もいます。

咳は、身体の防御反応であり、咳が出る理由はさまざまです。

しかし、咳の様子だけでは、うつる咳かうつらない咳か、判断することは難しいです。

今回の記事では、うつる咳うつらない咳、マナーや咳エチケットついて詳しく解説します。

咳が出ていて、お困りの方や心配な方は、ぜひ最後までお読みください。

1.咳でうつる可能性があるのは…


咳でうつる可能性があるのは、細菌やウイルスによる感染症です。

咳でうつる感染症には、以下のような細菌やウイルスがあります。

・風邪
・インフルエンザウイルス
・新型コロナウイルス感染症
・結核
・百日咳(咳が長引く感染症。特に乳幼児で重症化する危険性が高く注意が必要。)
・RSウイルス(風邪のような症状が出る、乳幼児に多い呼吸器感染症。)
・マイコプラズマ肺炎(小児や若い人に多い肺炎。)

上記で挙げた感染症の細菌やウイルスは、ごく一部です。

これ以外にも、咳でうつる感染症は多くあります。

咳やくしゃみでうつる感染症の感染経路は、主に「飛沫感染」と「空気感染」です。

咳やくしゃみ、会話によって、飛び散ったしぶきを飛沫と呼びます。

その飛沫には、細菌やウイルスが含まれており、それを周囲の人が吸い込み感染症がうつることを「飛沫感染」といいます。

飛沫は、周囲1〜2メートル程度飛ぶといわれているため、注意が必要です。

また、飛沫した細菌やウイルスが含まれる唾液や分泌物を触り、その手で自分の鼻や口を触ることで感染症がうつる「接触感染」も感染経路のひとつです。

「空気感染」は、空気中に飛沫が漂うことで、周囲の人が病原菌を吸い込んでしまい、感染症がうつります。

飛沫に含まれた病原体が、空気の流れに乗って拡散していくので、飛沫感染よりも広範囲に病原体が広がります。

◆『新型コロナの咳の特徴や対処法、受診目安について解説』>>

◆『肺炎について』>>

◆『咳を伴うウイルス感染症の種類と具体的な対処法』>>

◆『子どもの長引く咳が心配。原因と対処について』>>

【参考情報】『感染経路別予防策』日本環境感染学会
http://www.kankyokansen.org/other/edu_pdf/3-3_03.pdf

【参考情報】Cleveland Clinic『Cough』
https://my.clevelandclinic.org/health/symptoms/17755-cough

2.咳でうつらないのは…


感染症以外では、咳が出ていてもうつりません。

人にうつらない咳が出る病気は、以下のようなものがあります。

・気管支喘息(気管支の慢性的な炎症により咳や喘鳴が起こる病気)
・咳喘息(喘鳴がなく咳だけが続く、喘息の前段階の症状)
・COPD(慢性閉塞性肺疾患:タバコなどが原因で咳や呼吸困難感などが現れる病気)
・花粉症
・副鼻腔炎(ウイルスや細菌などが原因で鼻の奥に炎症が起こること)
・肺がん

これらの病気は、感染症ではないため周囲に病原体をうつす心配はありません。

しかし、周囲の人は、咳をしている様子を見ただけでは、なぜ咳がでているのか判断はできないでしょう。

また、病原体を含んではいないものの、なにも対策をせず咳やくしゃみをすれば、唾液や分泌物のしぶきは飛びます。

そのため、マナーとして咳が出ているときには、マスクの着用と咳エチケットをおこないましょう。

◆『喘息について』>>

◆『咳喘息とはどんな病気?咳が止まらなくなる原因と治し方』>>

◆『COPDについて』>>

3.咳エチケット


「咳エチケット」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。

新型コロナウイルスの世界的大流行で、咳エチケットの重要性を認識した人もいると思います。

しかし、咳エチケットを知っていても、正しいやり方を理解し実践できていなければ、意味がありません。

ここでは、正しい咳エチケットについて、解説します。

【参考情報】『咳エチケット』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html

3-1.正しい咳エチケット

咳エチケットは学校や会社など人が多く集まる場所で実践することが重要です。

咳エチケットの種類や正しいやり方を紹介します。

<マスクの着用>
マスクは、製品によって装着の方法が異なります。

使用する製品の装着方法をよく読んで、正しく装着しましょう。

マスクはしっかり広げ、隙間がないように鼻からアゴまで覆うようにします。

たまに、鼻がマスクから出ている方を見かけますが、正しいマスクの着用方法とはいえません。

<ティッシュやハンカチを使う>
マスクがない場合には、ティッシュやハンカチを使って、飛沫が飛ばないように対処しましょう。

咳やくしゃみが出るタイミングで、鼻と口をティッシュやハンカチでしっかりおおいます。

ティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、できれば手を洗いましょう。

<使えるものが何もないとき>
マスクもティッシュもハンカチも、何も持っていないときは、自分の洋服の袖を使い、対処します。

上着の内側や袖を使って、鼻と口をしっかりおおい、飛沫が飛ばないように配慮しましょう。

咳エチケットは感染症を広げないためにはとても重要といえます。

しかし、身体的・精神的・心理的な問題を抱える人の中には、マスクの着用が困難な人たちがいることも事実です。

そのような人たちがいるということも認識しておきましょう。

【参考情報】『マスク等の着用が困難な状態にある方への理解について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14297.html

3-2.誤った咳エチケット

誤った咳エチケットは、効果がありません。

以下のような方法は、咳エチケットとしては間違っています。

・咳やくしゃみを素手でおさえる
・なにもせず咳やくしゃみをする

咳やくしゃみを素手でおさえると、飛沫を飛ばさない効果があります。

しかし、その飛沫が素手についた状態で、ドアノブや電気のスイッチ、つり革などを触ると、病原体をあちこちに付着させてしまいます。

その部分を触った人に、感染症をうつす可能性がありますので、素手で口をおおい咳やくしゃみをおさえるのはやめましょう。

万が一、素手で咳やくしゃみをおさえてしまった場合は、すぐに手を洗うようにしましょう。

また、なにも対処せずに咳やくしゃみをすると、病原体を含んだ飛沫が周囲1〜2メートル程度飛びます。

他人にうつす可能性がありますので、必ず何かで鼻と口をおおってから、咳やくしゃみをしましょう。

4.おわりに

咳が出る理由はさまざまです。

もし、細菌やウイルスが原因で咳が出ていた場合、「飛沫感染」や「空気感染」を起こし、他人に病原体をうつす可能性があります。

花粉症や喘息で咳が出ている場合、感染症ではないため、病気を他人にうつす心配はないでしょう。

しかし、周囲の人からは、なぜ咳が出ているのか判断はできません。

咳が出ている以上、周囲になにか感染症をうつす可能性があります。

また、感染症でなくとも、咳やくしゃみをすれば、唾液や分泌物などのしぶきが周囲に飛びます。

そのため、咳が出ているときにはマナーとしてマスクの着用をし、正しい咳エチケットをおこないましょう。