小児喘息について
子供のうちに発症する喘息を、「小児気管支喘息」といい、「小児喘息」とも呼ばれます。
風邪の後に咳だけがいつまでも続いていたり、走り回って遊んだ後に咳が出たり、気になる症状はありませんか?
このような場合は喘息の可能性があります。
今回の記事では、小児喘息の症状や原因、治療について詳しく解説します。
小児喘息について正しく理解しておきましょう。
1.小児喘息とは
小児喘息とは、呼吸をするときの空気の通り道である気道が炎症を起こし、発作的に狭くなることで、苦しくなる状態を繰り返す病気です。
喘息の人の気道は、発作が起きていない状態でも慢性的な炎症があるため、さまざまな刺激に対して過敏な状態になっています。
そのため、少しの刺激でも喘息発作を引き起こし、繰り返します。
小児喘息は、80%以上が乳幼児期に発症し、90%以上がアトピー型といわれています。
また、小児喘息は成人喘息に比べ、適切な治療や発作予防をおこなうことで、寛解できる可能性が高いです。
【参考情報】『第3章 気管支喘息』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-06.pdf
【参考情報】”Childhood asthma” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/childhood-asthma/symptoms-causes/syc-20351507
2.症状
小児喘息の主な症状は、以下の通りです。
・咳
・痰
・喘鳴(ぜんめい)
・呼気延長
・呼吸困難
などが挙げられます。
風邪の後に咳が長引く場合や、運動した後や夜間早朝に咳が出て起きてしまう場合など、小児喘息の特徴です。
気道が狭窄し、空気が吐き出しにくくなるため、呼気が長くなり「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」のような喘鳴(ぜんめい)が聞かれることもあります。
症状が強い場合、日常生活が難しい状態になります。
話すのが苦しい、呼吸をすると肋骨の間がへこむ、眠れないほどの咳がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
風邪をひくと咳が長引く、夜間咳で目が覚めるなどの症状がある場合は、喘息の可能性がありますので一度医師に相談してみましょう。
3.原因
小児喘息を発症する原因は、体質や環境因子があります。
喘息そのものは遺伝しませんが、体質は遺伝します。
家族に気管支喘息の人がいたり、アトピー性皮膚炎やアレルギーを持っていたりすると、小児喘息を発症する可能性が高いといえるでしょう。
喘息発作の誘因としては以下のようなものが考えられます。
・ウイルスの感染
・ダニや動物の毛
・天候や季節
・タバコや花火の煙
・冷たい空気
・激しい運動
喘息を持っている人は、気道が過敏な状態のため、さまざまなものが刺激となり、発作を誘発します。
【参考情報】『小児ぜん息 基礎知識』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/kodomonozensoku/syojo.html
4.検査
小児喘息と診断されるには、問診や診察がおこなわれ、他の病気との鑑別のためにも検査がおこなわれます。
喘息の診断のためにおこなわれる検査は、以下のようなものがあります。
・血液検査
・胸部レントゲン
・呼吸機能検査
血液検査では、アレルギーの有無を調べます。
アレルギーがある場合、何のアレルギーなのか特定します。
何のアレルギーかわかれば、発作予防にも役立てることができるでしょう。
呼吸機能検査では、気道の状態を把握するためにおこないます。
呼吸機能検査には、以下のようなさまざまな種類があります。
・スパイロメトリー
・ピークフローメーター
・呼気NO検査
・気道可逆性検査
・呼吸抵抗検査(モストグラフ)
喘息の治療効果を見極める場合にも、呼吸機能検査がおこなわれます。
5.治療
小児喘息の治療目標は、気道の炎症を抑え、発作を起こさない良好な期間を長く維持することです。
そして、呼吸機能や気道過敏を改善し、最終的には喘息の寛解を目指します。
そのため、小児喘息の治療は、根気よく長期で取り組む必要があるでしょう。
喘息の治療では、以下の3つのことが大切だとされています。
・喘息を悪化させる原因を減らす
・気道の炎症を抑えるため薬を使う
・発作を起こしにくくするために体力をつける
これらは、気道の状態を良好に保ち発作を起きにくくするために、重要なポイントです。
6.予防・対策
喘息の予防と対策は以下の通りです。
・アレルゲンを排除し環境を整える
・風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症の予防
・生活習慣を整え体力をつける
・喘息日記をつけ自己管理をおこなう
気道の刺激を少なくするため、なるべくアレルゲンを排除した環境を整え、感染予防に努めましょう。
また、規則正しい生活習慣を身につけ、体力をつけることで発作を起こしにくい体になるだけでなく、抵抗力を高める体作りにもなります。
服薬でコントロールをしている人は、薬の飲み忘れや間違いがないよう、気を付けましょう。
喘息のコントロールのためには、毎日の体調の変化や天候、薬の服薬状況などの把握が大切です。
方法として、喘息日記をつけるといいでしょう。
喘息日記には、以下のような内容を記載しておきましょう。
・天気や気温の変化
・普段通りの生活ができていたか
・体調の変化
・喘息発作の有無や程度
・服薬状況
喘息日記で日々の様子を記録しておくことは、診察や治療にも役立ち、良好なコントロールの維持につながります。
7.おわりに
小児喘息は、過敏な気道に、なんらかの原因が刺激となり、気道が狭くなるために呼吸が苦しくなる状態です。
喘息と診断された場合、早期に治療に取り組み、良好な状態を維持することで、寛解できる可能性が高くなります。
子供の咳が長引く、咳が出やすいなど、気になる症状があれば、一度医療機関を受診してみましょう。
受診する場合、アレルギー科や小児科でも診てもらえますが、呼吸器内科の受診がおすすめです。
呼吸器内科は、気管支や喉、肺などの呼吸器に関係する部分を専門としています。
子供の場合でも、呼吸器内科を受診して大丈夫です。
お気軽にご相談ください。