喘息・COPD治療で使用される薬「アドエア」の効果や特徴、注意点とは?

喘息やCOPDの治療薬であるアドエアは、薬剤を吸い込んで症状のある気管支部分に直接薬剤を届ける吸入薬です。
小児から大人まで幅広く処方される薬剤ですので、喘息等の症状にお悩みの方も既に使用中の方も、こちらでアドエアの使用方法や作用、副作用などについてご確認ください。
1.アドエアの特徴について
アドエアは喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬で、気管支喘息や肺気腫、慢性気管支炎の症状緩和のために処方されます。
長時間作動型β2刺激剤であるサルメテロールキシナホ酸塩と合成副腎皮質ステロイドであるフルチカゾンプロピオン酸エステルを主成分とする合剤です。
継続して使用することによって咳や息苦しさ等の症状を予防することができます。また気管支拡張作用とステロイド成分により、気管支を広げ炎症を抑えることで症状を緩和する作用があります。
アドエアの形状は2種類で、霧状の薬剤が出る「エアゾールタイプ」と、粉末を吸い込む「ディスカスタイプ」があります。
エアゾールタイプは、小児や高齢者など吸い込む力が弱い方でも吸うタイミングを合わせれば使用しやすいのがメリットです。
ディスカスタイプは比較的吸い込む力がある方が、ご自身のタイミングで吸い込むことができるというメリットがあります。
2.アドエアの使い方は?
アドエアは毎日継続して使用することで効果が得られる薬剤であり、症状悪化時や発作の際に使用する薬剤ではありません。
使用方法は、エアゾール、ディスカス共に噴霧した薬剤を口から吸い込み、気管に直接薬剤を届けます。
【アドエアエアゾールタイプの使用方法】
1.アダプターのキャップを外す
2.よく振る
※新しい薬剤の初回使用の際は4回空噴射する
※1週間以上使用してない場合は2回空噴射する
3.息をはき切った状態で下を下げて喉を広げた状態にする
4.吸入口をくわえ息を吸いながらボンベを1回押して薬剤を吸入する
5.吸入口を離し3〜4秒程度息を止める
6.アダプターにキャップをする
7.口の中、のどのうがいをする
(注意)ボンベをアダプターから外さないこと
【アドエアディスカスタイプの使用方法】
1.薬剤の残量を確認する
2.カバーを開ける
3.レバーを押す
4.息をはき切った状態でマウスピースをくわえ、大きく息と薬剤を吸い込む
5.マウスピースを離し、3〜4秒程度息を止める
6.その後ゆっくりと息をはいて元の呼吸に戻す
7.カバーを閉じる
8.マウスピースをティッシュペーパーなどで拭き取る
9.口の中、のどのうがいをする
【参考情報】独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/method04.html
3.アドエアの副作用には何がある?
アドエアを使用するうえで主な副作用も知っておくことが大切です。
主な副作用
・蕁麻疹、発疹、浮腫
・口腔カンジダ症
・声のかすれ
・口やのどの不快感
・筋肉のつっぱり
・動悸、不整脈
・頭痛、ふるえ
重篤な副作用(まれですが注意が必要)
・ショック、アナフィラキシー
・重篤な血清カリウム値の低下
・肺炎
副作用を防ぐ方法
・処方された用法用量を守り、過度の使用を避ける
・定期的に医師の診察を受け、症状や副作用の有無を報告する
・他の薬剤との相互作用に注意し、使用中の薬をすべて医師や薬剤師に伝える
・服用時異常がある場合はすぐに医療機関に相談する
【参考情報】Cleveland CliniClinic 『Fluticasone; Salmeterol Metered Dose Inhaler (MDI)』
https://my.clevelandclinic.org/health/drugs/20073-fluticasone-salmeterol-metered-dose-inhaler-mdi
4.使用上の注意点!
アドエアは継続して使用することで効果の得られる薬剤であり、発作時に使用する薬剤ではありません。
また、アドエアを安全に使用するためには、次のような注意点もあります。
特別な配慮が必要な患者
妊婦・授乳婦
妊娠中や授乳中の使用については、特に支障はありません。
小児
特に低年齢の子どもの場合は正しい吸入技術の習得が難しいことがあるため、保護者の指導や見守りのもとで使用してください。
高齢者
高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、副作用が出やすくなる可能性があります。
持病のある方
結核性疾患、感染症、甲状腺機能亢進症、高血圧、心疾患、低酸素症などの持病がある場合は、医師に必ず伝えてください。これらの疾患がある方はアドエアの使用により疾患が悪化する可能性もありますので、注意して使用する必要があります。
他の薬剤を服用している方
他の気管支拡張薬、抗ウィルス薬、不整脈薬、利尿薬等を使用している場合は相互作用に注意が必要です。使用中の薬剤(市販薬やサプリメントを含む)全てを医師や薬剤師に伝えてください。
保管方法
共通:
室温(1℃〜30℃)保存です。
冷蔵庫で保管すると使用する時の温度差で結露を生じる可能性があります。
乳幼児、小児の手の届かないところで、直射日光、高温、湿気を避けて保管してください。
ディスカス:
水に濡れた場合は使用しないでください。
エアゾール:
30℃以上の場所で保管しないで下さい。
内側の缶(ボンベ)はアダプターから外さないようご注意ください。
噴霧口のつまりを避けるためボンベは絶対に濡らさず、適宜アダプターの吸入口などをティッシュペーパーでよく拭き清潔に保管してください。
【参考情報】日本医薬情報センター
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00058479.pdf
5.アドエアの薬価
・アドエア100ディスカス28吸入用28 1670.5円/キット
・アドエア250ディスカス28吸入用28 1931.5円/キット
・アドエア500ディスカス28吸入用28 2057円/キット
・アドエア100ディスカス60吸入用60 3290.4円/キット
・アドエア250ディスカス60吸入用60 3806.7円/キット
・アドエア500ディスカス60吸入用60 4184.5円/キット
・アドエア50エアゾール120吸入用 3488.7円/瓶
・アドエア125エアゾール120吸入用 4170.6円/瓶
・アドエア250エアゾール120吸入用 4601.6円/瓶
※2024/10/18調べ
アドエアにはジェネリック医薬品はありません。
【「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」は、「新薬(先発医薬品)」の特許が切れたあとに販売される、新薬と同じ有効成分・品質・効き目・安全性が同等であると国から認められたお薬です。新薬に比べ開発費が抑えられるために、新薬より低価格なお薬です。】
6.おわりに
喘息治療の際は多くの薬剤の中から症状や病態、副作用のリスク等を考慮して医師が適切に選択します。
効果が不十分な場合は、まず正しく使用できているのかを再確認し、アドエアが合わない場合には担当医に相談のうえで最適な治療法を見つけましょう。
なお、アドエアと同成分を含む薬剤には次のようなものがあります。
・シムビコート
・レルベア
・フルティフォーム
また、喘息やCOPDの治療においては、薬物療法だけでなく生活習慣の改善や環境整備も重要です。
禁煙、適度な運動、アレルゲン回避などの生活面に注意し、定期的に医療機関を受診して症状の変化や薬の効果を観察しながら治療を継続してください。