咳止め薬「アスベリン」の効果や特徴、注意点とは?

アスベリンは、感冒(風邪様症状)や急性および慢性気管支炎、肺炎、肺結核などの、咳が出やすい疾患に用いられる薬剤です。
本記事では、アスベリンがどのような薬なのか、効果や使用方法、副作用などについて解説します。
咳の治療でアスベリンを使用する方やすでに使用している方は、ぜひ参考にしてください。
1.アスベリンとはどのような薬か
アスベリンとは、「チペピジン」を有効成分とする「非麻薬性中枢性鎮咳薬」です。
チペピジンには、咳を鎮める鎮咳作用と痰を出しやすくする去痰作用の2つの作用があります。
鎮咳作用とは、咳の症状を引き起こす咳中枢に直接作用して、咳を鎮める効果のことです。また、去痰作用とは、気管の分泌物の増加と粘膜の線毛運動を促進して、痰を体外に排出しやすくする働きです。
咳を鎮める薬剤のなかには、麻薬性と非麻薬性があり、アスベリンは非麻薬性に分類されています。
麻薬性の鎮咳薬は咳を鎮める効果が強い半面、身体に負担のかかる副作用や依存性の出る可能性があります。
一方で、アスベリンのような非麻薬性の鎮咳薬は、依存性がなく、安全性が高いため、高齢の方や赤ちゃんに対しても比較的安全に使用できる医薬品です。
現在(2024年7月時点)アスベリンは、錠剤、散剤、ドライシロップ、シロップのタイプが販売されています。
【参考情報】『Anaphylaxis』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/anaphylaxis/symptoms-causes/syc-20351468
2. アスベリンの使い方
アスベリンの使用方法は、以下のとおりです。
・錠剤(アスベリン錠10mg、20mg)
通常、成人にはチペピジンヒベンズ酸塩として、66.5〜132.9mgを投与。10mg錠は1回2〜4錠、20mg錠は1〜2錠を3回に分けて経口服用します。
年齢、症状に合わせて増減して処方される場合もあります。
※自己判断で薬の量を増減するのは危険ですので、心配な場合は念のため医師や薬剤師に相談しましょう。
・散剤(アスベリン散10%)
通常、成人には、チペピジンヒベンズ酸塩として、66.5〜132.9mgを投与。1日0.6〜1.2gを3回に分けて服用します。
また、小児には、
・1歳未満:1日0.05〜1.2gを3回に分けて服用
・1歳以上3歳未満:1日0.1〜0.25gを3回に分けて服用
・3歳以上6歳未満:1日0.15〜0.4gを3回に分けて服用
症状により適宜増減する場合もあります。
・ドライシロップ(アスベリンドライシロップ2%)
通常、成人には、チペピジンヒベンズ酸塩として、66.5〜132.9mgを投与。1日3〜6gを3回に分けて服用します。
また、小児には、
・1歳未満:1日0.25〜1gを3回に分けて服用
・1歳以上3歳未満:1日0.5〜1.25gを3回に分けて服用
・3歳以上6歳未満:1日0.75〜2gを3回に分けて服用
症状により適宜増減する場合もあります。
・シロップ(アスベリンシロップ0.5%)
通常、成人には、チペピジンヒベンズ酸塩として、66.5〜132.9mgを投与。1日12〜24mLを3回に分けて服用します。
また、小児には、
・1歳未満:1日1〜4mLを3回に分けて服用
・1歳以上3歳未満:1日2〜5mLを3回に分けて服用
・3歳以上6歳未満:1日3〜8mLを3回に分けて服用
症状により適宜増減する場合もあります。
錠剤やドライシロップは水かぬるま湯と一緒に服用してください。ドライシロップにはオレンジ味がついているので、小さな子どもでも飲みやすくなっています。
アスベリンは食事に影響を受けないお薬ですので、飲み忘れてしまった場合は、気づいた時に服用してかまいません。
ただし、次回の服用時間が近い場合は飲まずに、次の服用時間に1回分を服用してください。飲み忘れた分も服用しようとして、1度に2回分を服用すると、副作用が生じる危険性がありますのでやめましょう。
3.アスベリンの副作用
アスベリンの服用で発現する主な副作用は以下のものです。
・眠気
・めまい
・食欲の低下
・軟便、下痢
・興奮
アスベリンは、副作用が比較的少ない薬剤です。ただし、日常生活に支障が出るような副作用が発現する場合は医療機関に相談してください。
万が一、「眠気が強い」「下痢が何日も続いている」などを感じた場合は、ただちに医療機関を受診しましょう。
また、全身発疹や痒みが出る場合は過敏症の可能性があります。服用を中断して医療機関を受診しましょう。
4.使用上の注意点
シロップ剤は常温保管で問題ありませんが、直射日光が当たる場所や高温多湿の場所に保管しないようにしてください。
可能であれば、冷蔵庫のような暗くて気温の低い場所に、飲食物と分けて保管しましょう。
また、保管しておくと沈殿物が出てきます。服用するときは、ゆっくりと振り混ぜるようにしてシロップの色を均一にしてから飲むようにしましょう。
アスベリンを服用すると、尿が赤くなることがあります。これは、アスベリンが体内で代謝された後の代謝物の色が出ているためです。身体に異常があるわけではありません。
赤ちゃんがアスベリンを服用した後、オムツに赤い色が付くことがありますが、同様の理由のため、過度に心配する必要はありません。
【参考情報】『尿・便色の変化』慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/change/
5.アスベリンの薬価
アスベリンの薬価は、以下のとおりです。(2024年7月時点)
・アスベリン錠10mg 9.8円/錠
・アスベリン錠20mg 9.8円/錠
・アスベリン散10% 7.9円/g
・アスベリンドライシロップ2% 6.5円/g
・アスベリンシロップ0.5% 1.31円/
・アスベリンシロップ「調剤用」2% 6.5円/mLmL
アスベリンにはジェネリック医薬品はありません。ただし、アスベリンの成分であるチペピジンヒベンズ酸塩を配合した総合感冒薬や子ども用の咳止め薬・風邪薬は発売されています。
【「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」は、「新薬(先発医薬品)」の特許が切れたあとに販売される、新薬と同じ有効成分・品質・効き目・安全性が同等であると国から認められたお薬です。新薬に比べ開発費が抑えられるために、新薬より低価格なお薬です。】
6.おわりに
アスベリンは、食事の影響を受けず、副作用の発現が比較的少ない薬剤のため、咳止め薬のなかでも使いやすいお薬です。
小さなお子様でも比較的安全に服用いただけます。
咳の治療でアスベリンを使用する人のなかには、眠気が強い、めまいが出るなどと感じる方もいるかもしれません。
非麻薬性中枢性鎮咳薬にはアスベリンと同じ効果の別の薬剤も存在します。
服用方法や副作用は薬剤によって異なるため、自分に合うものを服用することが大切です。
もし、アスベリンが自分に合わないと感じた場合は、医師に相談してみてください。