喘息・COPD治療で使用される薬「レルベア」の効果や特徴、注意点とは?

喘息やCOPDの治療薬であるレルベアは、薬剤を吸い込んで症状のある気管支部分に直接薬剤を届ける吸入薬です。小児から大人まで幅広く処方される薬剤ですので、喘息等の症状にお悩みの方も既に使用中の方も、こちらでレルベアの使用方法や作用、副作用などについてご確認ください。

1.レルベアの特徴について


レルベアは喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬で、気管支喘息や肺気腫、慢性気管支炎の症状緩和のために処方されます。吸入ステロイド薬のフルチカゾンフランカルボン酸エステルと、β2刺激薬のビランテロールトリフェニル酢酸塩の2種類が配合された合剤で、気道の炎症を抑え気管支を広げることで症状を緩和する作用があります。

◆『喘息について』>>

◆『小児喘息とは』>>

◆『COPDについて』>>

◆『気管支炎とは』>>

レルベアの形状は直接粉末を吸い込む「ディスカスタイプ」で、1回吸入量により小児用は2製品、成人用は4製品あり、処方される製品は効能や効果により異なります。

小児用レルベア50エリプタが処方される症状や疾患
・気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)

レルベア100エリプタが処方される症状や疾患
・気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
・慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)

レルベア200エリプタが処方される症状や疾患
・気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合

実際は、患者さんの症状に合わせて医師の診察のもとで処方されます。

2.レルベアの使い方は?


レルベアは毎日継続して使用することで効果が得られる薬剤であり、症状の悪化時や発作の際に使用する薬剤ではありません。使用方法は、噴霧した薬剤を口から吸い込み、気管に直接薬剤を届けます。

1.薬剤の残量を確認する
2.カバーを開ける
3.レバーを押す
4.息をはき切った状態でマウスピースをくわえ、大きく息と薬剤を吸い込む
5.マウスピースを離し、3〜4秒程度息を止める
6.その後ゆっくりと息をはいて元の呼吸に戻す
7.カバーを閉じる
8.マウスピースをティッシュペーパーなどで拭き取る
9.口の中、のどのうがいをする

独立行政法人環境再生保全機構『ぜん息をコントロールする』
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/method05.html

3.レルベアの副作用には何がある?


レルベアを使用するうえで主な副作用も知っておくことが大切です。

主な副作用
・声のかすれ
・口腔カンジダ症
・蕁麻疹、発疹、浮腫
・気管支炎、上気道感染
・口やのどの痛み、不快感
・関節痛、筋肉のつっぱり
・動悸、不整脈
・頭痛、ふるえ
・高血糖

重篤な副作用(まれですが注意が必要)
・ショック、アナフィラキシー
・肺炎

副作用を防ぐ方法
・処方された用法用量を守り、過度の使用を避ける
・定期的に医師の診察を受け、症状や副作用の有無を報告する
・他の薬剤との相互作用に注意し、使用中の薬をすべて医師や薬剤師に伝える
・服用時異常がある場合はすぐに医療機関に相談する

4.使用上の注意点!


レルベアは継続して使用することで効果の得られる薬剤であり、発作時に使用する薬剤ではありません。また、レルベアを安全に使用するためには、次のような注意点もあります。

特別な配慮が必要な患者
妊婦・授乳婦
特にレルベアの使用に支障はありません。

小児
特に低年齢の子どもの場合は正しい吸入技術の習得が難しいことがあるため、保護者の指導や見守りのもとで使用してください。

高齢者
高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、副作用が出やすくなる可能性があります。

持病のある方
結核性疾患、感染症、心疾患、糖尿病などの持病がある場合は、医師に必ず伝えてください。これらの疾患がある方はレルベアの使用により疾患が悪化する可能性もありますので、注意して使用する必要があります。

他の薬剤を服用している方
他の気管支拡張薬、抗ウィルス薬、不整脈薬等を使用している場合は相互作用に注意が必要です。使用中の薬剤(市販薬やサプリメントを含む)全てを医師や薬剤師に伝えてください。

保管方法
共通:
直射日光と湿気をさけて室温(1℃〜30℃)保存してください。
アルミ包装は使用開始直前まで開封しないでください。
冷蔵庫で保管すると使用する時の温度差で結露を生じる可能性があります。
乳幼児、小児の手の届かないところで、直射日光、高温、湿気を避けて保管してください。
水に濡れた場合は使用しないでください。

【参考情報】日本医薬情報センター
https://iyakusearch.japic.or.jp/package_insert/result?medical=%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%99%E3%82%A2200%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%97%E3%82%BF30%E5%90%B8%E5%85%A5%E7%94%A8

5.レルベアの薬価


・レルベア100エリプタ14吸入用 2357.3円/キット
・レルベア100エリプタ30吸入用 4857.8円/キット
・レルベア200エリプタ14吸入用 2574.7円/キット
・レルベア200エリプタ30吸入用 5402.7円/キット
・小児用レルベア50エリプタ14吸入用 2367.4円/キット
・小児用レルベア50エリプタ30吸入用 4846.8円/キット
※2024/11/1調べ

レルベアにはジェネリック医薬品はありません。

6.おわりに

喘息治療の際は多くの薬剤の中から症状や病態、副作用のリスク等を考慮して医師が適切に選択します。効果が不十分な場合は、まず正しく使用できているのかを再確認し、レルベアが合わない場合には担当医に相談のうえで最適な治療法を見つけましょう。

なお、レルベアと同成分を含む薬剤には次のようなものがあります。
・シムビコート
・アドエア
・フルティフォーム
レルベアには、乳糖が含まれておりますので、乳糖不耐症でレルベアが合わない患者さんでは、乳糖が含まれていないフルティフォームなどに変更することもあります。

【乳糖不耐症・・・牛乳や乳製品に含まれる乳糖を消化する酵素(ラクターゼ)の活性が低下しているため、乳糖を消化吸収できず、下痢や腹部の膨満などの症状が現れる疾患。】

◆『「フルティフォーム」の特徴』>>

また、喘息やCOPDの治療においては、薬物療法だけでなく生活習慣の改善や環境整備も重要です。
禁煙、適度な運動、アレルゲン回避などの生活面に注意し、定期的に医療機関を受診して症状の変化や薬の効果を観察しながら治療を継続してください。

【参考情報】World Health Organization(WHO)『Asthma』
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/asthma

◆『喘息と運動のおはなし』>>

◆『喘息治療のゴールについて』>>