喘息、COPD、気管支炎などで使われる去痰薬「ムコダイン」の効果や特徴、注意点とは?

ムコダインは、様々な効果があり幅広い疾患に処方されるお薬です。薬の歴史も古く、臨床では1960年代から使い始められました。

医師から「痰をきる」薬として処方された経験がある方も多いのではないでしょうか?

こちらの記事ではムコダインの特徴や、剤型、副作用について解説しています。薬価についても先発品と後発品、ともに紹介します。

ムコダインを服用中の方やこれまで飲まれていた方、家族が服用されている方は参考にしてみてください。

1.ムコダインの特徴について


ムコダインは痰を排出しやすくする薬です。詳しい作用や種類について解説します。

1-1.ムコダインの作用機序と効能効果について

気道の粘膜には細かい毛と、その表面を覆う粘液があります。この粘液がウイルスや細菌などの病原体やほこりなどの異物を絡めとったものが痰です。

ムコダイン(一般名:カルボシステイン)は、体内の炎症作用により、粘り気が強くなった粘液の構成成分を改善し、粘り気をとり、粘液、つまり痰を体外に排出しやすくする作用があります。

粘液の構成成分を改善することで、気道の炎症反応も抑制します。

気道の粘膜が正常に保たれることで、痰の過剰な分泌を抑える効果も期待できます。さらに粘液を体外に排出する機能も改善され、病原体や異物を、痰や鼻汁によって排出する働きを促進します。

痰が減少することで、呼吸が楽になり咳も軽減されます。

ムコダインが処方される疾患は気管支の炎症や喘息、慢性副鼻腔炎、中耳炎など幅広く使われる薬剤で、辛い症状を和らげるのに、貢献してくれる薬剤です。

◆『喘息について』>>

【参考情報】National Institutes of Health “Carbocysteine”
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Carbocysteine

1-2.ムコダインの剤型について

ムコダインの剤型は、錠剤(250㎎、500㎎)、細粒、ドライシロップ、シロップの4種あり、個人の年齢や生活状況により選択することが可能です。
ドライシロップやシロップはお子様に使われることが多く、錠剤や細粒は成人の方に使うことが多いです。

500㎎錠は、長径が15.7mmと他の薬剤と比較して大きな粒になっています。飲みにくさを感じて、継続して飲めない場合は、250㎎を1回2錠に変更することもできますので、処方元の医師に大きくて服用できない旨を伝えてみてください。

さまざまな剤型がありますので、服用する剤型は、医師に相談し、ご本人が飲みやすい剤型を選択してください。

2.ムコダインの使い方は?


ムコダインは通常成人は1回1錠(主成分として500㎎)を食後に1日3回服用します。

500㎎錠の場合は1回1錠ですが、250㎎錠の場合は1回2錠となりますので、注意が必要です。

小児は、体重によって用量が異なりますので、必ず医師の指示を守って服用してください。

飲み忘れた場合は、気が付いた時に1回分を服用し、忘れた場合は1回分飛ばしてください。1度に2回分服用することは避けてください。
誤って多く飲んでしまった場合は、医療機関に相談することをおすすめします。

3.ムコダインの副作用には何がある?


ムコダインの主な副作用として、食欲不振、下痢、腹痛、発疹(いずれも0.1〜5%未満)、湿疹、紅斑(0.1%未満)、浮腫、発熱、呼吸困難(頻度不明)が報告されています。

重大な副作用としては、非常に稀ですが、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群(いずれも頻度不明)などがあげられます。

服用される方は、医師の処方通り、用法用量を守って服用を続け、体調の異変を感じたら、すぐに医師にご相談ください。

【中毒性表皮壊死融解症・・・全身に紅斑(赤い斑点)や水疱が出現する、死亡率20~40%の重症皮膚疾患】
【皮膚粘膜眼症候群・・・薬剤や感染症によって発症する重篤な疾患で、表皮の壊死性障害を引き起こす】

【くすりの適正使用協議会】
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8577

【参考情報】日本医薬情報センター(JAPIC) 『ムコダイン添付文書』
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065447.pdf

4.使用上の注意点


この項目ではムコダインの使用における注意点を解説します。

4-1.使用に注意を要する方

心障害のある方
(類薬で心不全のある患者に悪影響を及ぼしたとの報告があります)

肝機能障害のある方
(肝機能が悪化することがあります)

妊婦の方は、服用しない方が望ましいです。

授乳中の方
(治療上のリスクとベネフィットを医師と相談の上、慎重に服用を検討してください)

4-2.保管上の注意

直射日光、湿気を避けて室温で保管をしてください。

5.ムコダインの薬価


ムコダインの薬価とムコダインの代わりになる市販薬について解説します。

5-1.ムコダインの薬価 先発品と後発品の薬価の違い

ムコダインの薬価は
250㎎ 8.5円/錠
500mg 10.1円/錠 です。

3割負担の方で、1か月(30日)の患者さん負担は250㎎服用で459円、500㎎服用で272.7円です。
後発品の薬価は、カルボシステイン錠250㎎「JG」6.7円、カルボシステイン錠500㎎「JG」9.3円です。3割負担の方で、1か月(30日)の患者さん負担は250㎎服用で361.8円、500㎎服用で251.1円です。

先発品と後発品では薬価に差がありますが、効果や安全性は同等です。医師や薬剤師に相談して、それぞれのライフスタイルに最適な選択をしてください。

5-2.ムコダインの代わりに使える市販薬とは

市販薬では成分がムコダイン(Lカルボシステイン)1種類のみの薬剤はありません。
咳を伴う方は「鎮咳去痰薬」(佐藤製薬 ストナ去たんカプセルなど)、風邪症状がある方は「総合風邪薬」(杏林製薬 クールワン咳止めGXプラスなど)を選ぶようにしてください。咳止めの成分が入っている薬剤は、眠たくなりやすいので、乗り物を運転する際は気を付けてください。

6.おわりに

  
ムコダインは1960年代から臨床で使い始められ、歴史が長く比較的安全性が高いため、多くの医師や患者さんに馴染みのある薬剤です。

痰の粘り気を取り排出しやすくして痰の減少、咳の軽減が期待できる薬剤です。今現在、咳や鼻づまりや、痰などの辛い症状でお困りの方は、医療機関を受診し、医師に相談してみてください。
自身の症状や、ライフスタイルに合わせたお薬を処方してもらい、快適な生活を取り戻しましょう。