【即実践可】咳を止めたい!効果的な3つの対処法
咳が続くと体力を消耗したり、睡眠の妨げになったりと、日常生活にさまざまな支障が及びます。
あまりに激しい時や、長く続いている場合は、病院で咳の原因を調べておくのが安心ですが、「今すぐ咳を止めたい!」という場合の応急処置も知っておくべきです。
この記事では、咳を止める効果的な方法や受診の目安についてお伝えします。少しでも早く咳を止めて体を楽にするために、参考にしてください。
1.咳が出るメカニズム
咳は空気中の異物(ほこりやウイルスなど)が体内に入らないために起こる生体防御反応です。医学的には「咳嗽(がいそう)反射」と呼びます。
具体的には、咳をすることで細菌やウイルス、アレルゲンなどの侵入を防ぎ、風邪や花粉症の予防をします。また、外敵から体を守る必要がある時は、健康な人でも咳をします。
例えば、通勤や通学の際などに、早朝の冷たい空気を吸い込んだ時に咳が出るのは、この反射によるものです。つまり、咳が出ること自体は、悪いことではないのです。
【参考情報】『せき、喘息』日本医師会
https://www.med.or.jp/clinic/sick_seki.html
しかし、あまりに咳が頻繁に出るのなら、何らかの病気やアレルギーの可能性があります。そのような場合は、咳の原因に合った治療が必要となります。
2.咳が止まらない時に自分でできること
咳が止まらない時に試してほしいのは、気道の粘膜を「潤す」「温める」ケアです。
以下に、効果的な3つの対処法を紹介します。
2-1.部屋の加湿
空気が乾燥すると、空気の通り道である気道の粘膜が刺激され、咳が出やすくなります。空気の乾燥を防ぐために、部屋の加湿を行いましょう。
湿度は40〜60%に調整します。加湿器がない場合は、以下の方法でも加湿ができるので試してみてください。
・濡れマスクを着用する
・濡らしたタオルをハンガーにかける
さらに、小まめに水分を補給すると、気道の粘膜が潤って刺激が和らぎます。
2-2.温かい飲み物を摂る
温かい飲み物は喉の保湿効果を高め、辛い咳症状を和らげます。
中でも、ハチミツ入りのホットドリンクは、咳を和らげるのに効果的との研究報告があります。
【参考情報】『Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18056558/
ハチミツには抗酸化物質が含まれ、刺激緩和作用があります。喉の保湿や痛みを和らげるため、寝る前に飲めば咳による寝苦しさを抑えてくれるでしょう。
また、甘味は唾液や気道粘液の分泌を促し、保湿効果を高めます。紅茶やしょうが湯に入れて飲めば、美味しく飲めるのでオススメです。
ただし、1歳未満のお子さんは乳児ボツリヌス症の危険があるため、ハチミツを与えてはいけません。
【参考情報】『ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
2-3.のどを温める
のどを温めると、気道を通る空気が温められるため、冷気による刺激を抑えることができます。
特に、冬の外出の際や、夏でもクーラーの効いた場所では、マフラーやネックウォーマーでのどを冷やさないように保護すると効果的です。
3.咳で病院を受診する目安
自宅でのケアで咳が改善せず、以下のような症状があるなら病院を受診しましょう。
3-1.咳が2週間以上続いている
咳が2週間以上続くなら、風邪以外の原因も視野に入れ、病院を受診しましょう。例えば、細菌に感染して症状が重くなっている可能性があります。
また、喘息や咳喘息などの病気で、咳が長引いている可能性もあります。
【参考情報】『呼吸器の病気』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/a/a-01.html
3-2.咳のほか、息苦しさが強い
息苦しさを伴う咳なら、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)も疑われます。
喘息は、気道が慢性的な炎症を起こし、狭くなることで、咳や息苦しさが生じる病気です。
COPDは、長年タバコの煙をはじめとした有害物質を吸い込んだことで、呼吸がしにくくなる病気です。
どちらも放置すると、呼吸困難などの重篤な状態に陥る恐れがあるため、早めに病院を受診してください。
3-3.咳のほか、発熱があり倦怠感が強い
発熱や倦怠感(だるさ)とともに咳があるなら、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の可能性も考えられます。
「流行している」「周囲に感染者がいる」なら、特にその疑いが濃厚となります。
【参考情報】『インフルエンザQ&A』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
『新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q1-3
3-4.咳とともに、血の混じった痰が出る
肺がんや肺結核が進行すると、痰(たん)に血が混じることがあります。そのため、病院で精密検査を行い、適切な治療を受ける必要があります。
【参考情報】『呼吸器Q&A』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q04.html
4.呼吸器内科で行う、咳の原因を調べる検査
咳の原因を調べたい時は、呼吸器内科を受診すると、必要に応じて以下の検査を受けることができます。
4-1.胸部画像検査
胸部を撮影してを確認する検査です。X線、CT(コンピュータ断層撮影)、MRIなどがあります。
気管支や肺に腫瘍や炎症などの病変があると白く写ることがあるので、原因部位の特定や炎症範囲の観察に役立ちます。
【参考情報】『呼吸器Q&A』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q19.html
4-2.血液検査
採取した血液の成分を分析して、炎症の程度やアレルゲン、血液中の酸素や二酸化炭素濃度を測る検査です。
例えば、炎症反応なら「CRP(C反応性タンパク)」や「WBC(白血球数)」を、アレルギー反応なら「IgE抗体(タンパク質の一種)」の値を確認します。
【参考情報】『検査結果の見方』日本予防医学協会
https://www.jpm1960.org/exam/exam06.html
4-3.呼吸機能検査
肺活量や呼吸器の状態などを調べる検査です。喘息や咳喘息、COPDの特定に用いられます。
肺機能検査(スパイロメトリー)、モストグラフなどの種類があります。
【参考情報】『Q29 肺機能検査とはどのような検査法ですか?』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q29.html
4-4.喀痰検査
痰(たん)の中の細菌や異物を調べて、原因菌を特定する検査です。
肺がんや細菌性肺炎、気管支炎などの疑いがある時に行われます。
【参考情報】『喀痰細胞診』日本予防医学協会
https://www.jpm1960.org/jushinsya/exam/exam14.html
5.咳を予防するためにできること
咳を予防するため普段からできる方法を3つ紹介します。
5-1.マスク着用
マスクを着用すると、ウイルスや細菌、アレルゲンの侵入を物理的に防ぐことができます。また、自分が人に病気を感染させないという観点からも重要です。
厚生労働省は、飛沫の飛散を抑える効果が高い「不織布マスク」を推奨しています。
加えて、マスクを着用すると吐いた息が水蒸気に変わるので、のどの粘膜の保湿効果も期待できるでしょう。のどの粘膜が保湿されるとウイルスの増殖が抑えられ、咳の予防につながります。
【参考情報】『マスク着用の考え方の見直し等について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001056912.pdf
5-2.うがい
うがいをすることで、のどに付着したウイルスや細菌を洗い流すことができます。また、うがい自体がのどへの刺激になり、血行促進の効果も期待できるでしょう。
正しいうがいの方法ですが、まず口の中をブクブクとゆすぎ、口の中の菌や食べ残しを洗い流します。
次に、のどの奥についたウイルスや細菌を洗い流すように「ガラガラ」と音を立てながら行います。
【参考情報】『正しい手洗いとうがいの仕方のご紹介』日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/chapter/hiroshima/news/2020/0428_015334.html
5-3.禁煙
タバコに含まれる物質は、、肺や気道に影響を及ぼし、炎症の原因となります。禁煙できれば、刺激が少なくなるため、咳も減らせるでしょう。
また、肺がんやCOPDの発症リスク、呼吸器疾患にかかった際の重症化リスクも減らせます。
【参考情報】『喫煙と呼吸器疾患』厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-003.html
6.おわりに
以上、咳を止める方法について紹介しました。咳が止まらず困っている人は、この記事で紹介した対処法をお試しください。
それでも咳が2週間以上続くなら、喘息や咳喘息、COPDなどの病気が疑われます。これらの病気は市販薬では改善できないので、早めに病院を受診して適切な治療を受けましょう。