咳が止まらないのはなぜ?アレルギーが原因かもしれません
風邪はひいてないけど、咳が止まらず困ったことはありませんか?
咳の原因は、風邪や呼吸器の感染症だけではなく、アレルギーのこともあります。
「季節の変わり目に咳が出る」
「咳が長引いている」
このような症状がある方は、アレルギーが原因で咳が止まらなくなっている可能性があります。
今回の記事では、アレルギーによる咳の特徴や気管支喘息の治療について詳しく解説します。
咳が出てお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
1.その咳、アレルギーのせいかも
アレルギーが原因で出る咳には、以下のような特徴があります。
・季節の変わり目に出やすい
・夜や朝方に咳が出る
・のどがイガイガする
・激しく咳き込んで止まらない
・咳が長引く
アレルギーが原因で咳が止まらない場合、「気道の炎症」があると考えられます。
気道の炎症が生じていると、気道が過敏な状態となり、さまざまな物質に対し反応を起こします。
その反応のひとつが咳です。
例えば、花粉やハウスダスト、砂埃、煙、冷たい空気などを吸い込むことで咳が出やすくなります。
アレルギーが原因で咳が出る疾患は、以下のとおりです。
・花粉症
・咳喘息
・アトピー性咳嗽
・咽頭アレルギー
・気管支喘息
◆『咳喘息とはどんな病気?』>>
どのようなアレルゲンに反応し咳が出るかは、検査をしなければわかりません。
アレルゲンの特定は採血すれば検査できます。
当院では、View39という39項目のアレルゲンを一括で調べる血液検査が可能です。
また、検査をしなくても「春先に鼻水や目のかゆみ、くしゃみ、咳が出る」や「掃除をした後は、鼻水や咳が出る」というように症状が出るタイミングもあるでしょう。
その場合は、何のアレルギーなのか、ある程度アレルゲンの特定が可能になります。
気になる方は、一度検査を受けてみることをおすすめします。
◆『季節の変化と喘息発作の予防』>>
◆『喘息や咳喘息がの症状がでたときに行くべき病院は?』>>
2.アレルギーって何?
アレルギーとは、身体の防御反応が異物に対し過剰に反応することです。
アレルギー反応には、2種類あります。
即時型アレルギー反応と遅発型アレルギー反応です。
<即時型アレルギー反応>
アレルゲンに接触した後、すぐに症状があらわれるアレルギー反応です。
代表的なのは、花粉症や気管支喘息、食物、ハチ毒などです。
例えば、花粉症の場合「外に出たら鼻水とくしゃみが止まらない」や、食物では「食べてすぐに喉がイガイガする」「嘔吐した」などがあります。
即時型アレルギーでも特に怖いのが、重症のアナフィラキシーです。
アナフィラキシーは、急速にアレルギー症状が進行し、重篤な状態を引き起こします。
重症の場合、命に関わるため、迅速な対応が必要となります。
【参考情報】『アナフィラキシーガイドライン 2022』日本アレルギー学会
https://anaphylaxis-guideline.jp/wp-content/uploads/2023/03/anaphylaxis_guideline2022.pdf
<遅発型アレルギー反応>
アレルゲンに接触したあと、数時間から数日後に症状があらわれるアレルギー反応です。
食物アレルギーや金属アレルギーなどでみられます。
例えば、「食事をした数時間後、蕁麻疹(じんましん)が出た」や「アクセサリーをつけていた部分が赤くなりかゆみがある」などです。
時間が経ってから症状があらわれるため、なかなかアレルゲンが特定できない場合があります。
3.気管支喘息の原因はアレルギー
咳が出る病気として、気管支喘息がありますが、この疾患もアレルギーが原因です。
気管支喘息は、空気の通り道である気管支でアレルギー反応が起き、気道が狭くなります。
さらに、狭くなった気道に分泌物が増えることで、「ヒューヒュー」「ゼィゼィ」といった喘鳴(ぜんめい)が聴かれるようになり、呼吸が苦しくなります。
喘息発作では、発作的に咳や痰が出ることや、喘鳴が聴かれることが特徴的な症状です。
気管支喘息の人の気道は、慢性的に炎症があり、過敏な状態です。
そのため、冷たい空気や激しい運動、気温の寒暖差などが刺激となり、咳が止まらなくなる場合があります。
また、夜間や早朝に症状があらわれるのも、気管支喘息の特徴です。
異常な咳症状や息苦しさを感じる場合には、早めに呼吸器内科の受診をしましょう。
【参考情報】『アレルギーの病気とは』日本アレルギー学会
https://www.jsa-pr.jp/html/sickness.html
【参考情報】Mayo Clinic『 Allergies』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/allergies/symptoms-causes/syc-20351497
4.アレルギーが原因の咳は、どんな治療をするの?
アレルギーが原因の咳の治療は、3つの方法でアプローチしていきます。
・症状に対する治療
・炎症に対する治療
・免疫療法
症状に対しては、薬の内服や吸入などで症状を和らげる治療をおこないます。
使用する薬は、抗ヒスタミン薬やステロイド吸入薬、気管支拡張薬などです。
炎症に対しては、ステロイドを使用した治療をおこないます。
ステロイドと聞くと不安に思う方もいますが、アレルギー治療では、吸入薬や外用薬、点鼻薬などでステロイドを使用し、内服のステロイドと比較して量も少ないです。
また、限られた部位に使用するため、全身的な副作用はほとんどないといえるでしょう。
免疫療法は、少しずつアレルゲンを摂取していくことで、アレルゲンにさらされたときにあらわれる症状を緩和する治療法です。
ダニや花粉がアレルゲンの場合、アレルゲンが含まれた薬の舌下投与をおこなう治療法があります。
舌下治療は、3〜5年の治療期間が推奨されているため、根気よく治療に取り組む必要があるでしょう。
また、咳の原因が気管支喘息の場合、吸入薬などを使用しながら専門的な治療を行う必要があります。
喘息の発作を繰り返すことで、気管支はより発作が起きやすい状態になります。
そうならないために、喘息発作が起きないようコントロールが大切です。
喘息の可能性がある場合、早めに呼吸器内科を受診し、専門的な検査や治療を受けるようにしましょう。
【参考情報】『アレルギーの治療について』アレルギーポータル
https://allergyportal.jp/knowledge/treatment/
5.おわりに
咳が出る場合、体力も消耗し夜も眠れず疲弊していく、非常につらい症状です。
アレルギーが原因で咳が出ている場合、アレルゲンを回避するだけでも症状は緩和されるでしょう。
しかし、それでは根本的な治療にはなりません。
専門的な検査を受け、アレルギーの治療をおこないましょう。
気管支喘息の場合は、アレルゲンだけでなく冷たい空気や運動などでも、発作を誘発します。
専門的な治療をおこない、発作が起きないようなコントロールが大切です。
熱はないけど咳だけが続く場合や咳をすると胸が痛い、2週間以上咳が止まらず続いているという方は、早めに呼吸器内科を受診しましょう。