花粉症とは

花粉症とは、植物の花粉が原因で引き起こされるアレルギー性疾患です。

多くの方が悩まされる季節性の問題として知られ、とくに春先から夏にかけてスギやヒノキの花粉が大量に飛散し、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状を引き起こします。

この記事では、花粉症の特徴や症状、増加の理由についてご解説します。予防や対策についてもご説明するので、ぜひ参考にしてください。

1.花粉症の特徴


花粉症は、植物の花粉が原因で引き起こされるアレルギー反応です。

主にスギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因となり、日本では春先から夏にかけて症状が現れることが多いです。

スギ花粉は2月から4月、ヒノキ花粉は3月から5月、ブタクサ花粉は8月から10月に飛散します。

これ以外にも、シラカバ(4月から6月)、イネ科(4月から11月)、ヨモギ(8月から10月)など、ほぼ年間を通して何らかの花粉が日本中で飛散しています。

夏や秋の植物でも花粉症の症状が出ることが多く、最近では花粉症が「通年病」とも言われるようになっています。

ここからは、主な花粉による特徴をご紹介しましょう。

<スギ花粉>
スギ花粉は飛散量が非常に多く、日本で最も多い花粉症の原因となっています。

飛散距離が長く、ごくわずかな飛散量の北海道や沖縄を除き、全国で花粉症を発症させます。

主な症状は鼻アレルギーです。そのほか、目、喉、皮膚の症状もあらわれます。

<ヒノキ花粉>
ヒノキ花粉はスギより少し遅れて飛散します。

スギと同じく飛散距離が長く、広範囲で花粉症を引き起こします。

スギ花粉症と合わせてヒノキ花粉症を持っている方も多く、その場合は症状が重症化しやすいです。

症状はスギ花粉症と同様に鼻や目に出ます。

<シラカバ花粉>
シラカバ花粉はとくに北海道で花粉症の主な原因となっています。

北海道では患者数が年々増加傾向にあり、主な症状には鼻水、目のかゆみ、くしゃみなどがあります。

また、シラカバ花粉症の方はリンゴなどを食べると口内がかゆくなる「口腔アレルギー」を引き起こすことがあります。

<イネ花粉>
イネ花粉の飛散距離は100メートルほどと短いですが、稲刈りの時期にはイネについた花粉が舞い上がることもあり、秋は注意が必要です。

主な症状には鼻や目のかゆみがあり、さらに小麦の食物アレルギーを発症しやすくなることもあります。

<ブタクサ花粉>
ブタクサ花粉は日本ではスギ、ヒノキに次いで多い花粉症の原因となっています。

ブタクサは背が低い草花で、飛散距離が短いです。近づかなければ避けられますが、特に早朝の風の強い時間帯には集中して飛散するため、散歩やジョギングの際には注意が必要です。

主に鼻や目の症状があらわれ、喘息の原因にもなります。

<ヨモギ花粉>
ヨモギは繁殖力が強く、河川敷や空き地などに群生していることが多いため、散歩などで近くを通る際には注意が必要です。

主な症状には鼻水・鼻づまりや目のかゆみがあります。

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【参考情報】Mayo Clinic 『Hay Fever』
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hay-fever/symptoms-causes/syc-20373039

2.花粉症の症状


花粉症はさまざまな症状が現れます。ここからは、代表的な花粉症の症状をご説明いたします。

2-1.鼻にでる症状

花粉症では、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が代表的です。くしゃみを連発したり、鼻水が止まらなかったりと連続して鼻の症状が起こります。

これら鼻の症状は、花粉が鼻腔内に侵入し、免疫システムが反応することで引き起こされます。鼻水は透明で水っぽいことが特徴です。

また、鼻のかゆみも多くの方が感じる症状の一つです。

2-2.目にでる症状

目の症状としては、かゆみ、涙目、目の充血が一般的です。

花粉が目に付着することで結膜に炎症が起き、不快な症状が引き起こされます。

かゆみのほかに、ごろごろとした異物感、目やになどの症状が出ることもあります。

目をこすることでさらに症状が悪化するため、こすらないように注意が必要です。

2-3.その他の症状

鼻や目以外の花粉症の症状として、喉や皮膚のかゆみ、身体のだるさなどがあります。

喉のかゆみは、花粉が気道に入ることで引き起こされます。乾燥した空気が症状を悪化させるので、マスク着用や適度な湿度が効果的です。

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皮膚に花粉が付着することで皮膚の乾燥や赤み、かゆみ、ピリピリする感じ、湿疹などが現れる場合があります。

花粉が原因の肌荒れは、花粉皮膚炎と呼ばれます。

化粧のノリが悪くなったり、ファンデーションと花粉の刺激で皮膚炎になることもあるため注意が必要です。

皮膚には、外からの異物の侵入を防ぐバリア機能があります。
しかし、乾燥などでバリア機能が低下すると、アレルゲンである花粉が侵入しやすくなるので保湿を心がけましょう。

3.花粉症の原因や理由


1985年以前は花粉症はまれな病気でしたが、その後急速に増加しています。そのため、現在では国民病と呼ばれるほど一般的な病気です。

ここからは、花粉症の方が最近になって増加したと考えられる4つの理由をご紹介いたします。

3-1.スギの植林

スギの植林は、戦後の日本で行われた大規模な森林再生計画の一環として行われました。

これにより、日本の多くの地域でスギが大量に植えられ、その花粉が花粉症の主な原因となっています。

3-2.大気汚染

大気汚染も花粉症の増加に影響しています。

大気中のPM2.5や排気ガスなどの汚染物質が花粉と結びつき、アレルギー反応を強めることが理由です。

アレルギー反応が強まることにより、症状の悪化や花粉症にかかる方が増える原因となっています。

3-3.食生活の変化

現代の食生活の変化も花粉症の方が増えた理由のひとつです。

腸内環境がアレルギーの発症に深く関係していることが多くの研究で示されています。そのため、腸内に住む善玉菌を増やし腸内環境を整えることが大切です。

昔ながらの和食には、善玉菌を増やす食物繊維や発酵食品が豊富に含まれています。

一方で、現代の食生活は、欧米化やファストフードの普及により和食離れが進んでいるといっていいでしょう。そのため、日々の食事で善玉菌を増やす機会が減っていると考えられます。

また、青魚に含まれるEPA・DHAなどのオメガ3系脂肪酸はアレルギー症状の改善に効果があるといわれています。和食が減り青魚の摂取量が減少したことも、花粉症の増加と関係があるでしょう。

3-4.住宅環境の変化

住宅環境の変化も、花粉症の増加に影響しています。

昔の日本家屋では、自然換気が行われていたため、ダニやカビの繁殖が抑えられていました。

現代の家は気密性が高く冷暖房が普及しています。季節を問わず快適な温度が保たれていることから、家の中でダニやカビが繁殖しやすい環境です。

ダニやカビは花粉症の症状を悪化させる一因といえるでしょう。

3-5.その他

その他の理由として、ストレスや不規則な生活が花粉症の増加に関与しています。

ストレスが免疫システムを乱し、アレルギー反応を強めることが知られています。不規則な生活はからだのバランスを崩し、花粉症の症状を悪化させる要因となります。

【参照文献】花粉症ナビ『花粉の飛散量と症状の関係』
https://www.kyowakirin.co.jp/kahun/about/relationship.html

4. おわりに

花粉症の予防には、メガネやマスクで花粉を防ぎ、こまめな掃除で家の中の花粉を減らすことが重要です。

また、できるだけ疲れやストレスを溜めない生活を心がけましょう。

症状が軽いうちから治療を受けることも有効です。花粉症に悩んでいる方は医療機関への受診を早めに検討しましょう。